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       N P O 法 人 ラ イ フ・ベ ン チ ャ ー・ク ラ ブ
                 ご  関  係  者  の  皆  様

  当Blogの8月23日(火)24日(水)「WISDOM:組織強化への自由な議論①②」〔原 晋氏:前編〕の続編として、本日・明日は青山学院大学の陸上競技部監督 原氏へのインタビュー記事を連日でお届けします。ご高覧の上ご意見をください。
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WISDOM ── Business Leaders Square/ヒトをつなぐ。ビジネスがつながる。
What’s NEW  
働く大人の学びと成長 第30回   マネジメント WISDOM編集部 2016年08月19日
原 晋氏(前編)
   ~ 組 織 を 強 く す る の は 、
       グ レ ー ゾ ー ン の あ る 自 由 な 議 論 だ ~
 
青山学院大学が箱根駅伝での2連覇を果たし、陸上競技部監督 原氏の指導法は大いに注目を集めました。その指導法が生まれた背景には、10年間の営業時代の経験があるといいます。原氏に、ビジネスパーソンとしての経験や、仕事と陸上における共通点について伺いました。
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働く大人の学びと成長 第31回   マネジメント WISDOM編集部 2016年09月16日
原 晋氏(後編)
  ~ 常 勝 チ ー ム の つ く り 方 は
        「 引 っ 張 り 、 声 を 聞 き 、
                  巻 き 込 む 」 こ と ~

  強いチームを作るためには、チーム哲学の定着と平等感が必要

Q: 青山学院大学陸上競技部は、今や箱根駅伝の3連覇を目指すほどの強豪チームになりました。強いチームを作るためには、優秀な選手をスカウトして育てることが重要だと思いますが、どのような基準でスカウトしているのでしょうか。
A  原:
陸上競技は、成績が数値としてはっきり表れるので、基本的にはそのデータがスカウトの基準になります。それに加えて、「青山学院大学らしいカラーの選手」を採用するようにしています。

青山学院大学らしいカラーの選手とは、例えば、表現力が豊かで、自分の言葉で会話ができて、しっかりと勉強する人。そして、努力を惜しまない人です。青山学院大学では、陸上競技部の選手だからといって単位が免除されるわけではありません。勉強がいやで、講義に出なくなると単位も取れませんし、それがストレスになって陸上に真剣に向き合えないのでは困るのです。ビジネスにおいても、その組織のカラーを意識して人を採用することは重要ではないでしょうか。

Q: それでは、採用した選手を育成していく時には、どのようなことを心がけているのでしょうか。
A 原:
1つは、チーム哲学の定着です。目標が何分何秒だと、答えはそこしかありませんが、みんながアイデアを出せるキーワードにしておくと、いろんな答えが出ます。例えば、「輝きのある選手」だと、「自分はどう輝くか?」を選手一人ひとりが考えることができますし、複数の道筋が出ます。

もう1つは平等感です。ビジネスにおいてもそうですが、きつい仕事でも正しく評価されると、やりがいにつながります。しかし、そこに平等感がないとやりがいは生まれませんし、不満ばかりが募ることになります。

私は、正当に人を評価するためには「まずチャレンジさせる」ことが大事だと思っています。「彼はうちのエースだから」とか「彼はこの仕事は向いていない」というように、固定概念で決めつけてしまうのは大変危険です。リーダーの役割とは「誰がそこに来ても輝けるようにする」ことなのです。

勝つために必要な「一体感」をいかに持たせるか

Q: 原監督は、2008年の箱根駅伝で関東学生連合選抜チーム(以下「関東学連」)の監督を率いて、チームを史上最高位の4位に導いています。選抜チームは、各大学のチームとは違い、組織としての経験が浅いと思いますが、なぜこのような結果を出せたのでしょうか。
A 原:
箱根駅伝では、予選会で次点になった大学の監督が関東学連の監督を引き受ける慣例になっており、その年は私が監督に選ばれました。

そもそも関東学連は、予選会で敗れた各大学のチームの上位選手が集結するため、個々の力は非常に高いものがあります。選ばれた選手10人の予選会のタイムを合計すれば、たいてい予選会トップのチームより上になります。つまり、本来は箱根駅伝本番でも好成績を残せるはずなのですが、実際のところ、そこまで結果を出せていなかったのです。

箱根駅伝までの期間は2ヶ月間しかありません。私は、関東学連には何が足りないのかを分析しました。ビジネスでも陸上でも共通して重要だと思うのは、仕事の核となるキーワードを見つけることだと考えていますが、この時に導きだしたキーワードは「一体感」でした。

これまでの関東学連チームでは、練習初日に選手がやることは自己紹介と写真撮影をする程度でした。しかし、私が監督になった年は、練習初日にミーティングをして「このチームは何位になりたいのかを議論してくれ」という課題を出したのです。青山学院大学でもこうした目標管理ミーティングを行っていますが、それに近いものを関東学連でも行いました。2時間に亘ってあれこれ自由に意見を言い合い、議論した結果、目標は「3位」に決まりました。

私は、関東学連の選手たちに「じゃあ、そのお手伝いをさせてもらいます」と伝えました。それだけではありません。各選手が所属する大学の監督にも電話をして「あなたのチームの○○君は3位を目標にしたので、ぜひ協力してください」と依頼したのです。

駅伝というのは「心の襷リレー」ですから、一体感のないチームがいい成績を上げることはできません。言い換えれば、寄せ集めのチームだったとしても、選手や監督、外部の協力者が確固たる目標を持てば、個々の力が強いチームに勝てる可能性があるということです。

最初にみんなで目標を共有したり、チーム名を決めたり、マネジャーもメールで各選手と頻繁に連絡を取ったりした結果一体感が生まれ、彼らは史上初めて4位に入ることができました。      つづく