組織順応型サラリーマンの日和見人生に、多少われながら中年の惰性が感じ始めたのが30代である。人生マラソン折返し点が見えてくるという意識を感じ始めた頃、某未公開成長企業のオーナー創業者からIPO含みでスカウトの誘いがあった。生涯現役で充実人生のライフワーク目標選びに迷っていた虚を突かれた感じで、その誘いを受け「生涯現役 自己評価」の課題研究に取り組むこととなった。

 人生をマラソン競争に例えると、80年人生ならば40歳が折返し点だ。その往路では両親から貧しいながらも不自由なく育てられ、近隣の人たち、学校教師や生徒仲間たちとの交わりでの人間関係から生きることの意味も学べた。さらに社会人として職場と家庭を得て、30代前半に思いがけない重病からも生還できた。その神の恵みを感謝するなら、人生復路は貧者の一灯でも社会に役立つことでわが人生の「生涯現役 自己評価」が大事だと悟ったのである。

 人生往路で与えられた自分の持ち味・得意技、それを存分に活用できることが第一条件。そして永続して自分がやってみたいと本気で願望していることが第二条件。その第一条件と第二条件をそれぞれ円で描いて交差する部分に、第三条件として、いま生かされている時代と社会に優先度高く役立つ分野の円が前二者と巧く交差重複する分野なら、人生復路で挑戦するのに最適な目標となり得る。

 自分の得意分野でやりたい活動が、社会的にも重要なことなら申し分なく躊躇せずに実行すべきだ。そのタイミングを何時にすべきか・・・大いに迷い悩んだ時期は人生折返し点を回った直後からの40代だった第二の職場である。前記の自分が挑戦すべき最適の目標として考えたものとは、多分にやりたい理想と現実とのズレを感じ始めたときである。

 「このままでは、当時の定年55歳はすぐに到達してしまう」という焦りが出始めたのかもしれない。サラリーマン人生におさらばしたいという無謀な願望が先立つようになると、冷静に自己の最適な人生目標を追求するという判断能力にも齟齬を生じかねない。それでは人生後半を「生涯現役 自己評価」できる判断基準が歪められる事態になりかねない。   つづく