東京新聞8/28:草間高萩市長「生涯現役」
2012年9月12日 お仕事 先月28日付東京新聞「談論誘発」欄“生涯現役/高齢者の自立 財政も健康に”の見出しでの茨城県高萩市:草間吉夫氏(1966年生まれ。松下政経塾、東北福祉大学講師を経て2006年から現職2期目)の「だんろんOpinion 」記事を下記ご紹介します。
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【 生 涯 現 役 】 高 齢 者 の 自 立 財 政 も 健 康 に
わが国は、人類がまだ経験したことがない問題に直面している。超高齢社会がそれである。高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)が7%から14%に到達したスピードは、尋常ではない。フランスの150年に対して日本は何と24年で達成してしまった。これが、わが国の社会保障制度の持続性を破綻に向かわせている元凶であろう。
高齢化社会とは何か。ひと言で述べるなら、お金のかかる社会ということだ。現金を払う担い手(現役世代)が少なく、税金を使う世代の割合が多くなるからである。持続性のある社会を維持していくには、高齢者の方々に掛かる医療保険や介護保険といった社会保障費用をできるだけ減らしていく取り組みが強く求められる。この費用抑制策は、高齢化率23.3%の超高齢社会に突入している日本の大きな課題である。
そこで私は、この費用抑制の具体的施策に「生涯現役」を挙げたい。高齢者が生涯にわたって現役を貫き、何らかの形で社会に参画し続け、いつまでも元気に過ごすことを目指す社会の創出である。
高萩市はこれまで、全国に先んじて生涯現役社会の創出に挑戦してきた。2006年より、庁内横断による生涯現役支援検討会議を設けて推進計画を策定した。
翌年、高齢福祉課に窓口を設置した。そして庁内横断プロジェクトチームが主体となり、高齢者の三世代交流・健康維持増進・自立支援の四施策を展開している。例えば社会参画では、高齢者の学び(高齢者大学)・働き(シルバー人材センター)・ボランティア(ボランティアセンター)といった活動支援を行っている。
2008年からは、高齢者が小学校の総合学習に先生役として参画する「はぎッズサポーター」を開始した。これは、全国に例のない高萩市独自の取り組みとなている。2010年には、日本初となる生涯現役推進条例を制定した。昨年10月には、全国初の「生涯現役自治体サミット」を開催。仙台市・千葉県松戸市・東京都杉並区・山梨県大月市が参加し、各自治体の実践例を発表し合い、ノウハウの共有を図った。そして今年3月には、生涯現役都市宣言を全国に先駆けて行った。
成果は少しずつ表われている。一つは「生涯現役」が市民の間で一般語となっている。かなり浸透してきた。もう一つは、実践者が増えてきたことである。市を挙げて市民とともに進めている手応えを感じている。
生涯現役は、高齢者自身の自立が促されるため尊厳が保持されるばかりでなく、家族介護の負担軽減も図れる。加えて介護財政・医療財政の抑制にも寄与する。まさに本人良し、家族良しの三方良しが実現する。尊厳の実践を通して、コスト軽減を図れるのが生涯現役の果実である。
私は今後も、生涯現役の支援ノウハウを蓄積していくつもりである。そのノウハウを、日本よりもさらに速いスピードで高齢化が進んでいる韓国と中国に輸出したいと考えている。日本と同様の課題に悩む他国の国民へそっと寄り添う国際貢献外交は、わが国の地位向上につながり、国益に資するはずだ。生涯現役は、日本ばかりか世界を救う可能性を秘めている。
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【 生 涯 現 役 】 高 齢 者 の 自 立 財 政 も 健 康 に
わが国は、人類がまだ経験したことがない問題に直面している。超高齢社会がそれである。高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)が7%から14%に到達したスピードは、尋常ではない。フランスの150年に対して日本は何と24年で達成してしまった。これが、わが国の社会保障制度の持続性を破綻に向かわせている元凶であろう。
高齢化社会とは何か。ひと言で述べるなら、お金のかかる社会ということだ。現金を払う担い手(現役世代)が少なく、税金を使う世代の割合が多くなるからである。持続性のある社会を維持していくには、高齢者の方々に掛かる医療保険や介護保険といった社会保障費用をできるだけ減らしていく取り組みが強く求められる。この費用抑制策は、高齢化率23.3%の超高齢社会に突入している日本の大きな課題である。
そこで私は、この費用抑制の具体的施策に「生涯現役」を挙げたい。高齢者が生涯にわたって現役を貫き、何らかの形で社会に参画し続け、いつまでも元気に過ごすことを目指す社会の創出である。
高萩市はこれまで、全国に先んじて生涯現役社会の創出に挑戦してきた。2006年より、庁内横断による生涯現役支援検討会議を設けて推進計画を策定した。
翌年、高齢福祉課に窓口を設置した。そして庁内横断プロジェクトチームが主体となり、高齢者の三世代交流・健康維持増進・自立支援の四施策を展開している。例えば社会参画では、高齢者の学び(高齢者大学)・働き(シルバー人材センター)・ボランティア(ボランティアセンター)といった活動支援を行っている。
2008年からは、高齢者が小学校の総合学習に先生役として参画する「はぎッズサポーター」を開始した。これは、全国に例のない高萩市独自の取り組みとなている。2010年には、日本初となる生涯現役推進条例を制定した。昨年10月には、全国初の「生涯現役自治体サミット」を開催。仙台市・千葉県松戸市・東京都杉並区・山梨県大月市が参加し、各自治体の実践例を発表し合い、ノウハウの共有を図った。そして今年3月には、生涯現役都市宣言を全国に先駆けて行った。
成果は少しずつ表われている。一つは「生涯現役」が市民の間で一般語となっている。かなり浸透してきた。もう一つは、実践者が増えてきたことである。市を挙げて市民とともに進めている手応えを感じている。
生涯現役は、高齢者自身の自立が促されるため尊厳が保持されるばかりでなく、家族介護の負担軽減も図れる。加えて介護財政・医療財政の抑制にも寄与する。まさに本人良し、家族良しの三方良しが実現する。尊厳の実践を通して、コスト軽減を図れるのが生涯現役の果実である。
私は今後も、生涯現役の支援ノウハウを蓄積していくつもりである。そのノウハウを、日本よりもさらに速いスピードで高齢化が進んでいる韓国と中国に輸出したいと考えている。日本と同様の課題に悩む他国の国民へそっと寄り添う国際貢献外交は、わが国の地位向上につながり、国益に資するはずだ。生涯現役は、日本ばかりか世界を救う可能性を秘めている。