日経Web:熟年力生涯現役定年見直し
2018年1月7日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
2018/1/6 13:45日本経済新聞電子版
URL=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25413510W8A100C1905E00/
熟 年 力 で 生 涯 現 役
定 年 見 直 し 、 企 業 の 戦 力 に
定年を過ぎてからも元気に第一線で働くシニアが増えている。戦後すぐの日本人の平均寿命は50代だったのが最近は80代に延び、さらに「人生100年時代」が視野に入りつつある。高齢化が進む中、企業にとってシニアの活用が課題となっているだけでなく、個人にとっても生きがいを持ち続けながら豊かに暮らしていくにはどうすればいいのか手探りだ。お手本となりそうなシニアの働きぶりを追ってみた。
■ 4 4 年 の 経 験 武 器
年 齢 上 限 な し
「あなたが勧めてくれるならと契約してくれた時はうれしくてたまらない」。日本生命保険東京西支社の八王子中央営業部で働く安齊正枝さん(72)は勤続44年の今も人から感謝されることを励みに現役を続ける。
営業職員として28回連続で「グランプリ」を受賞した。グランプリは同社で年間の新規契約数などが多い優秀な営業職員上位1割に与えられる栄誉。安齊さんは飛び込み営業で獲得した顧客と丁寧に付き合い、今では契約者の孫、ひ孫の代まで契約を預かる。
日生の営業職員に年齢上限はない。定年を迎えた後も原則、本人が希望するまで働き続けることができる。現在約5万人の営業職員のうち、70歳以上は1700人に達する。給料は固定給と歩合給の組み合わせで、歩合部分は契約獲得数に応じて上乗せとなるため、高齢者も仕事に意欲的になれる仕組みだ。昨年4月からは定年後の職員の固定給も最大1万円引き上げた。
「あなたが勧めてくれるならと契約してくれた時はうれしくてたまらない」。日本生命保険東京西支社の八王子中央営業部で働く安齊正枝さん(72)は勤続44年の今も人から感謝されることを励みに現役を続ける。
営業職員として28回連続で「グランプリ」を受賞した。グランプリは同社で年間の新規契約数などが多い優秀な営業職員上位1割に与えられる栄誉。安齊さんは飛び込み営業で獲得した顧客と丁寧に付き合い、今では契約者の孫、ひ孫の代まで契約を預かる。
日生の営業職員に年齢上限はない。定年を迎えた後も原則、本人が希望するまで働き続けることができる。現在約5万人の営業職員のうち、70歳以上は1700人に達する。給料は固定給と歩合給の組み合わせで、歩合部分は契約獲得数に応じて上乗せとなるため、高齢者も仕事に意欲的になれる仕組みだ。昨年4月からは定年後の職員の固定給も最大1万円引き上げた。
■ 広 い 人 脈 生 か す
大和ハウス工業では65歳の定年後も働く社員が2017年4月に100人を超えた。その一人、福村哲さん(67)は「後進の指導などで80歳まで働きたい」と意気盛んだ。
福村さんは、現在所属する営業本部営業推進室東京法人第一営業推進室で定年前まで室長を務めていた。32年前に中途で入社して以来、営業畑一筋。今は土地の売却情報などを収集する役割を担う。
福村さんが仕事を続ける理由は「健康的な生活を送るため」。週4日出勤し若手と営業先を1日4件ほど回る。「営業先との間で築いた信頼関係を引き継ぐには最低2年はかかる」と福村さん。一緒に働く渡辺光博さん(52)は「難しい交渉時には一緒に来てくれる。人脈が広いので頼りになる」と評する。
同社は15年に65歳の定年後も嘱託社員として再雇用する「アクティブ・エイジング制度」を導入。社員が61歳になる前に面談をして役職定年後も携わりたい仕事や勤務地を聞き取りし、希望に合う配属先を決める。「月給は定年前の約3分の1。公的年金と企業年金を合わせれば定年前と給与差は大きくない」(福村さん)。賞与も一般社員の2分の1が支給される。
大和ハウス工業では65歳の定年後も働く社員が2017年4月に100人を超えた。その一人、福村哲さん(67)は「後進の指導などで80歳まで働きたい」と意気盛んだ。
福村さんは、現在所属する営業本部営業推進室東京法人第一営業推進室で定年前まで室長を務めていた。32年前に中途で入社して以来、営業畑一筋。今は土地の売却情報などを収集する役割を担う。
福村さんが仕事を続ける理由は「健康的な生活を送るため」。週4日出勤し若手と営業先を1日4件ほど回る。「営業先との間で築いた信頼関係を引き継ぐには最低2年はかかる」と福村さん。一緒に働く渡辺光博さん(52)は「難しい交渉時には一緒に来てくれる。人脈が広いので頼りになる」と評する。
同社は15年に65歳の定年後も嘱託社員として再雇用する「アクティブ・エイジング制度」を導入。社員が61歳になる前に面談をして役職定年後も携わりたい仕事や勤務地を聞き取りし、希望に合う配属先を決める。「月給は定年前の約3分の1。公的年金と企業年金を合わせれば定年前と給与差は大きくない」(福村さん)。賞与も一般社員の2分の1が支給される。
■ 6 0 歳 で 資 格 取 得
大和証券は17年6月に営業職の定年制限を撤廃した。制度を利用する11人のうち最高齢が神戸支店に在籍する鶴野哲司さん(68)だ。若手に負けじと街を飛び回る。「経験を重ね、お客さまに深みのある助言ができるようになってきたかな」と胸を張る。
鶴野さんは転勤のない「上席アドバイザー」として週5日勤務。顧客に資産運用を助言する。
「 国 の た め に 」
大和証券が高齢者活用を進めるのは「会社の成長にはベテラン社員の経験が必要」だからだ。同社の試算では10年後には社員1万人のうち60歳以上が約1500人を占める見通し。戦力としてシニアの存在感が高まる。シニア社員の活用のため、英語や証券アナリストなどの資格を取った50代が給料が上がる仕組みを導入。鶴野さんは60歳でファイナンシャルプランナー(FP)の資格を再び取った。
「55歳を超えてから、働くことで社会貢献につながればいいと思うようになった」という鶴野さん。年金はまだもらっておらず、「自分が働いて税金を払うのが国のためにもなる」と意欲十分だ。
■ 長 寿 見 据 え 備 え を
平均寿命が延び「人生100年時代」が到来すると、定年を迎え横並びでリタイアするのではなく、気力・体力が許す限り働き続ける人や、新たな知識やスキルを習得して再スタートをきる人が増えそうだ。第一生命経済研究所の的場康子上席主任研究員は「多様な生き方が求められる生涯現役社会になる」と予想する。
国の財政悪化で将来の年金の支給開始年齢が上がることも予想され、「生活のために働き続ける必要がある社会になる」(的場氏)可能性は高い。
同研究所が2017年1月に実施した調査で失業や給与低下のために準備していることを複数回答で聞いたところ、貯蓄が約50%と最も多かった。ただ、非正規雇用の増加など老後に備えた財産形成が難しくなっており、「ふくぎょうなどのパラレルワーク、大学などでの学び直し、地域でのボランティア活動などが(将来への)究極のリスクヘッジになる」(的場氏)。
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
2018/1/6 13:45日本経済新聞電子版
URL=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25413510W8A100C1905E00/
熟 年 力 で 生 涯 現 役
定 年 見 直 し 、 企 業 の 戦 力 に
定年を過ぎてからも元気に第一線で働くシニアが増えている。戦後すぐの日本人の平均寿命は50代だったのが最近は80代に延び、さらに「人生100年時代」が視野に入りつつある。高齢化が進む中、企業にとってシニアの活用が課題となっているだけでなく、個人にとっても生きがいを持ち続けながら豊かに暮らしていくにはどうすればいいのか手探りだ。お手本となりそうなシニアの働きぶりを追ってみた。
■ 4 4 年 の 経 験 武 器
年 齢 上 限 な し
「あなたが勧めてくれるならと契約してくれた時はうれしくてたまらない」。日本生命保険東京西支社の八王子中央営業部で働く安齊正枝さん(72)は勤続44年の今も人から感謝されることを励みに現役を続ける。
営業職員として28回連続で「グランプリ」を受賞した。グランプリは同社で年間の新規契約数などが多い優秀な営業職員上位1割に与えられる栄誉。安齊さんは飛び込み営業で獲得した顧客と丁寧に付き合い、今では契約者の孫、ひ孫の代まで契約を預かる。
日生の営業職員に年齢上限はない。定年を迎えた後も原則、本人が希望するまで働き続けることができる。現在約5万人の営業職員のうち、70歳以上は1700人に達する。給料は固定給と歩合給の組み合わせで、歩合部分は契約獲得数に応じて上乗せとなるため、高齢者も仕事に意欲的になれる仕組みだ。昨年4月からは定年後の職員の固定給も最大1万円引き上げた。
「あなたが勧めてくれるならと契約してくれた時はうれしくてたまらない」。日本生命保険東京西支社の八王子中央営業部で働く安齊正枝さん(72)は勤続44年の今も人から感謝されることを励みに現役を続ける。
営業職員として28回連続で「グランプリ」を受賞した。グランプリは同社で年間の新規契約数などが多い優秀な営業職員上位1割に与えられる栄誉。安齊さんは飛び込み営業で獲得した顧客と丁寧に付き合い、今では契約者の孫、ひ孫の代まで契約を預かる。
日生の営業職員に年齢上限はない。定年を迎えた後も原則、本人が希望するまで働き続けることができる。現在約5万人の営業職員のうち、70歳以上は1700人に達する。給料は固定給と歩合給の組み合わせで、歩合部分は契約獲得数に応じて上乗せとなるため、高齢者も仕事に意欲的になれる仕組みだ。昨年4月からは定年後の職員の固定給も最大1万円引き上げた。
■ 広 い 人 脈 生 か す
大和ハウス工業では65歳の定年後も働く社員が2017年4月に100人を超えた。その一人、福村哲さん(67)は「後進の指導などで80歳まで働きたい」と意気盛んだ。
福村さんは、現在所属する営業本部営業推進室東京法人第一営業推進室で定年前まで室長を務めていた。32年前に中途で入社して以来、営業畑一筋。今は土地の売却情報などを収集する役割を担う。
福村さんが仕事を続ける理由は「健康的な生活を送るため」。週4日出勤し若手と営業先を1日4件ほど回る。「営業先との間で築いた信頼関係を引き継ぐには最低2年はかかる」と福村さん。一緒に働く渡辺光博さん(52)は「難しい交渉時には一緒に来てくれる。人脈が広いので頼りになる」と評する。
同社は15年に65歳の定年後も嘱託社員として再雇用する「アクティブ・エイジング制度」を導入。社員が61歳になる前に面談をして役職定年後も携わりたい仕事や勤務地を聞き取りし、希望に合う配属先を決める。「月給は定年前の約3分の1。公的年金と企業年金を合わせれば定年前と給与差は大きくない」(福村さん)。賞与も一般社員の2分の1が支給される。
大和ハウス工業では65歳の定年後も働く社員が2017年4月に100人を超えた。その一人、福村哲さん(67)は「後進の指導などで80歳まで働きたい」と意気盛んだ。
福村さんは、現在所属する営業本部営業推進室東京法人第一営業推進室で定年前まで室長を務めていた。32年前に中途で入社して以来、営業畑一筋。今は土地の売却情報などを収集する役割を担う。
福村さんが仕事を続ける理由は「健康的な生活を送るため」。週4日出勤し若手と営業先を1日4件ほど回る。「営業先との間で築いた信頼関係を引き継ぐには最低2年はかかる」と福村さん。一緒に働く渡辺光博さん(52)は「難しい交渉時には一緒に来てくれる。人脈が広いので頼りになる」と評する。
同社は15年に65歳の定年後も嘱託社員として再雇用する「アクティブ・エイジング制度」を導入。社員が61歳になる前に面談をして役職定年後も携わりたい仕事や勤務地を聞き取りし、希望に合う配属先を決める。「月給は定年前の約3分の1。公的年金と企業年金を合わせれば定年前と給与差は大きくない」(福村さん)。賞与も一般社員の2分の1が支給される。
■ 6 0 歳 で 資 格 取 得
大和証券は17年6月に営業職の定年制限を撤廃した。制度を利用する11人のうち最高齢が神戸支店に在籍する鶴野哲司さん(68)だ。若手に負けじと街を飛び回る。「経験を重ね、お客さまに深みのある助言ができるようになってきたかな」と胸を張る。
鶴野さんは転勤のない「上席アドバイザー」として週5日勤務。顧客に資産運用を助言する。
「 国 の た め に 」
大和証券が高齢者活用を進めるのは「会社の成長にはベテラン社員の経験が必要」だからだ。同社の試算では10年後には社員1万人のうち60歳以上が約1500人を占める見通し。戦力としてシニアの存在感が高まる。シニア社員の活用のため、英語や証券アナリストなどの資格を取った50代が給料が上がる仕組みを導入。鶴野さんは60歳でファイナンシャルプランナー(FP)の資格を再び取った。
「55歳を超えてから、働くことで社会貢献につながればいいと思うようになった」という鶴野さん。年金はまだもらっておらず、「自分が働いて税金を払うのが国のためにもなる」と意欲十分だ。
■ 長 寿 見 据 え 備 え を
平均寿命が延び「人生100年時代」が到来すると、定年を迎え横並びでリタイアするのではなく、気力・体力が許す限り働き続ける人や、新たな知識やスキルを習得して再スタートをきる人が増えそうだ。第一生命経済研究所の的場康子上席主任研究員は「多様な生き方が求められる生涯現役社会になる」と予想する。
国の財政悪化で将来の年金の支給開始年齢が上がることも予想され、「生活のために働き続ける必要がある社会になる」(的場氏)可能性は高い。
同研究所が2017年1月に実施した調査で失業や給与低下のために準備していることを複数回答で聞いたところ、貯蓄が約50%と最も多かった。ただ、非正規雇用の増加など老後に備えた財産形成が難しくなっており、「ふくぎょうなどのパラレルワーク、大学などでの学び直し、地域でのボランティア活動などが(将来への)究極のリスクヘッジになる」(的場氏)。