日経 2/1 夕刊;生涯現役、助走が肝心
2018年2月1日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
2018/2/1付 日本経済新聞 夕刊
URL=https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26362970R30C18A1KNTP00/
【 セ カ ン ド ス テ ー ジ 】
生 涯 現 役 、 助 走 が 肝 心
ス キ ル に 磨 き 、 定 年 前 起 業
金 融 機 関 ➜ 飲 食 店
会社員の多くは60歳代でリタイアする。でも、まだまだ働き続けたいと思うなら、その助走は40~50代から始めたほうがいいかもしれない。自分の強みに磨きをかけ、生涯現役で働き続けられる仕事を見つけた3人に話を聞いた。
東京・六本木通りから少し入った静かな住宅街の一角にある「ビストロアンバロン」。日本版ミシュランガイドにも掲載されるこの店のオーナーソムリエは外資系金融機関で大型案件を手掛けた元バンカーの両角太郎さん(53)だ。
開業は2009年。前年に起きたリーマン・ショックのあおりを受け失職した。まだ40代だったが、「また金融機関に勤めても50代で役職定年、60代で定年になる。ならば年齢に関係なく続けられる仕事がいい」と決心した。
金融と飲食店経営はまったくかけ離れた分野に見えるが、両角さんにとって「食は金融の次に経験値が高い分野」だった。バンカー時代に飲食店の事業計画の作成などに携わっただけでなく、趣味が高じてワインやチーズのソムリエの資格を取得していたからだ。
経営は軌道修正の繰り返しだ。日々の売り上げは仕入れや家賃、従業員の給料などで消えるし、台風や大雪がくると客足はパッタリ途絶える。それでも、「会社勤めでも上司や取引先に何か言われれば変更の連続。今はすべてを自分で決められるだけいい」と笑う。
I R 業 務 ➜ 自 ら 会 社
40~50代が次のキャリアを模索するとき、武器になるのはこれまで会社で培ってきたスキルだ。
日東電工でIR部長を務めた板倉正幸さん(56)は昨年、上場・公開企業の投資家向け広報(IR)業務をサポートする会社を興した。まだ1年足らずだが、顧問契約などの取引がある会社は30を超える。
IR実務に携わるようになったのは06年のこと。「10年間担当してやりきった感があったが、同時にまだまだ現場でIRの仕事を続けたいという思いが湧いてきた」と振り返る。
「会社ごとにIRの目指す内容は異なる。自分の持つノウハウを中堅企業に役立てたい」と定年前に起業に踏み切った。起業前の数カ月間はコーチングの講座に通って準備をした。顧客企業のIR担当者と、対話をしながら活動の方向性を探りあてるために必要な技術だったからだ。
自分の強みがどこにあるのかわらかないという人は、「まず職務経歴書をまとめてみよう」と常見陽平・千葉商科大学専任講師は助言する。その上で「会社の同僚や自分の5年後の姿、立ち位置を想像すると、次に取り組むべきことが浮かんでくるはず」という。
在 職 時 か ら 講 座 、 資 格 取 得
メ ー カ ー ➜ 日 本 語 講 師
精密機器メーカー勤務の吉田修作さん(59)は中期展望を持ってキャリア形成をしている。
中国・上海勤務だった05年、反日運動が激化する中、現地で日本語を教える中国人教師が熱心に日本語教育の必要性を訴え続ける姿を見た。「定年を控えて何かしなければと思ったとき、日本語教師なら日中関係の役に立てるのではないかと考えた」
大原学園(東京・千代田)の日本語教師養成講座に1年3カ月通い、昨年、日本語教育能力検定試験に合格した。外国人を採用する日本企業は増えており、企業研修などの講師として日本語教師の需要は高まっている。
吉田さんは今年11月に定年を迎えるが、とりあえずは雇用延長で会社に残る考えだ。ただ、「70代になってじっと家にいるのはつまらない。日本語教師の資格を生かして、長く続けられる仕事を探したい」と話している。(川鍋直彦)
------------------------------------------------------------------------------------------------
4 0 代 に な っ た ら 2 0 年 計 画 を
強 み や 関 心 再 発 見
一橋大学特任教授の西山明彦氏は「40代になったら20年計画を立てること」を勧める。定年後の働き方には大きく分けて4分類ある。前職の経験を生かせればいいが、会社で身につけたことの4分の1は社外で通用しないともいわれる。西山氏は「常に学ぶ姿勢を忘れず、スキルの幅を広げる努力が大事」と話す。
40~50代こそキャリア磨きが必要・・・。16年に開講した「丸の内プラチナ大学」(東京・千代田)が掲げるコンセプトだ。特産品の販路開拓に興味があって街おこしコースに参加した会社員の井利順一さん(50)。受講後は「地場企業は人材不足や事業継承が課題」と気づき、人材ビジネスのプランを温め始めた。
自分の強みや関心を再発見する場として、社会人教育を活用するのもひとつの手だろう。
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
2018/2/1付 日本経済新聞 夕刊
URL=https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26362970R30C18A1KNTP00/
【 セ カ ン ド ス テ ー ジ 】
生 涯 現 役 、 助 走 が 肝 心
ス キ ル に 磨 き 、 定 年 前 起 業
金 融 機 関 ➜ 飲 食 店
会社員の多くは60歳代でリタイアする。でも、まだまだ働き続けたいと思うなら、その助走は40~50代から始めたほうがいいかもしれない。自分の強みに磨きをかけ、生涯現役で働き続けられる仕事を見つけた3人に話を聞いた。
東京・六本木通りから少し入った静かな住宅街の一角にある「ビストロアンバロン」。日本版ミシュランガイドにも掲載されるこの店のオーナーソムリエは外資系金融機関で大型案件を手掛けた元バンカーの両角太郎さん(53)だ。
開業は2009年。前年に起きたリーマン・ショックのあおりを受け失職した。まだ40代だったが、「また金融機関に勤めても50代で役職定年、60代で定年になる。ならば年齢に関係なく続けられる仕事がいい」と決心した。
金融と飲食店経営はまったくかけ離れた分野に見えるが、両角さんにとって「食は金融の次に経験値が高い分野」だった。バンカー時代に飲食店の事業計画の作成などに携わっただけでなく、趣味が高じてワインやチーズのソムリエの資格を取得していたからだ。
経営は軌道修正の繰り返しだ。日々の売り上げは仕入れや家賃、従業員の給料などで消えるし、台風や大雪がくると客足はパッタリ途絶える。それでも、「会社勤めでも上司や取引先に何か言われれば変更の連続。今はすべてを自分で決められるだけいい」と笑う。
I R 業 務 ➜ 自 ら 会 社
40~50代が次のキャリアを模索するとき、武器になるのはこれまで会社で培ってきたスキルだ。
日東電工でIR部長を務めた板倉正幸さん(56)は昨年、上場・公開企業の投資家向け広報(IR)業務をサポートする会社を興した。まだ1年足らずだが、顧問契約などの取引がある会社は30を超える。
IR実務に携わるようになったのは06年のこと。「10年間担当してやりきった感があったが、同時にまだまだ現場でIRの仕事を続けたいという思いが湧いてきた」と振り返る。
「会社ごとにIRの目指す内容は異なる。自分の持つノウハウを中堅企業に役立てたい」と定年前に起業に踏み切った。起業前の数カ月間はコーチングの講座に通って準備をした。顧客企業のIR担当者と、対話をしながら活動の方向性を探りあてるために必要な技術だったからだ。
自分の強みがどこにあるのかわらかないという人は、「まず職務経歴書をまとめてみよう」と常見陽平・千葉商科大学専任講師は助言する。その上で「会社の同僚や自分の5年後の姿、立ち位置を想像すると、次に取り組むべきことが浮かんでくるはず」という。
在 職 時 か ら 講 座 、 資 格 取 得
メ ー カ ー ➜ 日 本 語 講 師
精密機器メーカー勤務の吉田修作さん(59)は中期展望を持ってキャリア形成をしている。
中国・上海勤務だった05年、反日運動が激化する中、現地で日本語を教える中国人教師が熱心に日本語教育の必要性を訴え続ける姿を見た。「定年を控えて何かしなければと思ったとき、日本語教師なら日中関係の役に立てるのではないかと考えた」
大原学園(東京・千代田)の日本語教師養成講座に1年3カ月通い、昨年、日本語教育能力検定試験に合格した。外国人を採用する日本企業は増えており、企業研修などの講師として日本語教師の需要は高まっている。
吉田さんは今年11月に定年を迎えるが、とりあえずは雇用延長で会社に残る考えだ。ただ、「70代になってじっと家にいるのはつまらない。日本語教師の資格を生かして、長く続けられる仕事を探したい」と話している。(川鍋直彦)
------------------------------------------------------------------------------------------------
4 0 代 に な っ た ら 2 0 年 計 画 を
強 み や 関 心 再 発 見
一橋大学特任教授の西山明彦氏は「40代になったら20年計画を立てること」を勧める。定年後の働き方には大きく分けて4分類ある。前職の経験を生かせればいいが、会社で身につけたことの4分の1は社外で通用しないともいわれる。西山氏は「常に学ぶ姿勢を忘れず、スキルの幅を広げる努力が大事」と話す。
40~50代こそキャリア磨きが必要・・・。16年に開講した「丸の内プラチナ大学」(東京・千代田)が掲げるコンセプトだ。特産品の販路開拓に興味があって街おこしコースに参加した会社員の井利順一さん(50)。受講後は「地場企業は人材不足や事業継承が課題」と気づき、人材ビジネスのプランを温め始めた。
自分の強みや関心を再発見する場として、社会人教育を活用するのもひとつの手だろう。