日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
       NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ  活 動 で 
                ご  支  援  く  だ  さ  る   会  員  皆  様


  戦後ベビーブームの後は、人口構成大変化期到来は確定予測できているというのに、官民挙げて安易に見過ごした私たち日本国民です。だから何とか人生後半なりと、『生涯現役なくば生きがいなし』を前提に30有余年協働を呼びかけるのが、わが日本生涯現役推進協議会です。
  その心構えを確と裏付けるには、何といっても健康と経済両面も加えたの自律精神(Kokoro.Kenkou.Keizai)の3Kが不可欠なのは当然のことです。その経済面を入口から補強する財力開発力の重要性にやっと社会の眼が向き始めた感のある日経記事が出始めましたので、皆様お気付きとは存じますが、以下にその関係部分をご紹介します。  
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【迫真】 動 か ぬ 個 人 資 産 1 8 0 0 兆 円 ①   
             投 機 か 預 金   育 た ぬ 投 資 家

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO19952370U7A810C1PE8000/

 〔前文略〕日本の個人金融資産は1800兆円と30年前から倍増した。だが、増えたのは預貯金ばかり。銀行や信用金庫の預金残高は、この春に1000兆円を超えた。マイナス金利政策による超低金利下でも、個人の資金は市場に向かわず銀行の金庫で眠る。株の短期売買や仮想通貨など先鋭化する一部の個人に対し、大半は投資と距離を置く。
 「株はもう二度とやりたくない」。7月8日、金沢市で開かれた投信フォーラムを訪れた主婦の市原京子(68)は話す。40年前、大手証券の営業マンに勧められて買った日立ツール(現三菱日立ツール)の株で大きな損失を出し株式投資を封印した。資産のほとんどは農協に預けている。
 金沢市の女性会社員(43)は「投資はよく分からないし怖い」。この日のお目当ては世界的に著名なパティシエ、辻口博啓(50)による「スイーツの経済学」という特別講演だった。
 日経平均株価はバブル絶頂だった1989年12月に3万8915円の最高値を付けた。その後は長期にわたり低迷しリーマン・ショック後の2008年10月には7162円とピークの2割以下まで下げた。短期売買を推奨する証券会社の営業姿勢も追い打ちをかけ「投資は損をする」との先入観が個人の心理に植え付けられた。
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 だが預金だけでは豊かな老後は築けない。フィデリティ退職・投資教育研究所によれば退職後に金銭面の不安がある人の比率は5割を超える。6割は退職前に十分な資産形成をしておけばよかったと後悔している。
 「このままだと客が相当、減ってしまう」。東海東京フィナンシャル・ホールディングス社長の石田建昭(71)は証券業界の悩みを語る。対面型の証券会社では顧客の平均年齢が上がり相続などに伴い証券市場から退出していく時期が迫っている。若い世代に投資を浸透させなければ客が本当にいなくなってしまう。
 「これで米国の背中がさらに遠のいた」。6月6日、市場のあちこちで失望の声があがった。
 600万人以上が加入する企業型の確定拠出年金(DC)。厚生労働省は初期設定となる商品選定を進めてきた。元本を保証しないリスク商品である投信が初めて選ばれるとの市場の期待はこの日、空振りに終わった。
 初期商品に選ばれれば加入者が自分で変更しない限り、年金は投信で運用される。投資に関心を持たなかった人が運用の意義に気付く契機になるはずだった。「投資は危ないと考えた経済団体が最後に巻き返したのではないか」(証券大手幹部)との恨み節が漏れる。
 「もうかるもうからないではない。100年の計を決めるつもりで取り組むべきだ」。7月24日、日本証券業協会の会長に就いた鈴木茂晴(70)は都内で開いた就任パーティーで若者への積み立て投資の普及を訴えた。「貯蓄から投資」という言葉だけが躍り「50年以上、何も変わっていない」という現状に危機感を募らせる。
 日本株の個人の保有比率は3月末時点で17.1%と過去最低を更新してしまった。投機と預貯金という2極に分かれ未来に向けて資産を増やす普通の投資家が育たない。日本の投資文化は変わるだろうか。
(敬称略)

 1800兆円もの金融資産はなぜ動かないのか。個人の資産運用の現場に密着し理由を探る。
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    動かぬ個人資産1800兆円②   野村「超対面主義」に活路
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO19988130V10C17A8EA1000/

 7月14日、野村証券の井上直記(41)は顧客である80代の女性とともに神奈川県の湯河原町役場を訪れた。この女性から遺産をすべて慈善団体に寄付したいとの申し出を受けた。井上は遺言の証人という立場だ。
 親族には財産を一切残さないため証券口座から女性の資産はなくなる。それでも井上は4カ月近く書類作成を手伝った。
 井上の肩書は小田原支店のファイナンシャル・コンサルティング課長。かつては昔ながらの証券マンを地でいく猛烈営業で名をはせた。何人もの株好きの顧客を抱え、短期間で利益が出そうな銘柄を熱心に勧めてきた。顧客に寄り添う現在の営業スタイルとは正反対だ。
 支店長の足川国広(47)は「単なる株の仲介ではダメだ」が口癖だ。入社から25年間、営業として全国の支店を渡り歩いてきた足川を、2008年のリーマン・ショックが変えた。
 暴力的な株価急落になすすべがなく、大切にしてきた顧客の資産が消えていく。「長い目で顧客の資産を増やせないと真の金融サービスとはいえない」。短期売買の推奨から預かり資産を徐々に積み増す営業方針にカジを切った。顧客からの入金も増え、13年に始まった顧客満足度の高い営業担当者に与えられる賞を2年連続で受賞した。
 「お客さまを主語にした会話を徹底し、信頼と満足度を高めてほしい」。3月25日、東京・高輪の研修センターに集まった450人の幹部を前に、国内営業を束ねる専務の山口英一郎(54)は訴えた。
 野村は今、20年ぶりの営業改革のまっただ中にある。柱は支店への大幅な権限委譲だ。高齢化が進み相続や企業の事業承継など「顧客の悩みはかつてないほど深くなっている」と社長の森田敏夫(56)は見る。地区同士の競争に走るとの反省から4月にエリアごとに支店を統括する地区制度を全廃した。
 野村は20年前にも地区制度を廃止した歴史がある。この時は顧客に寄り添う営業を目指すとの意図が伝わらず、競争軸を失った現場が混乱し、わずか1年で撤回を余儀なくされた。
 12年にグループのトップに就いた永井浩二(58)は預かり資産を重視する評価体系など改革を進めてきた。その仕上げともいえる「超対面主義」。「もう後戻りはしない」という永井らの決意は個人マネーを引き寄せられるか。
(敬称略)