昨21日付Blogのつづき

6. お わ り に
  高齢者の就業率を年齢階級別にみると、65~69歳は約4割、70~74歳は2割、75歳以上は1割と他の年齢層に比べても大きく違う。65歳以上を高齢者と一括りに考えることに慣れてしまっているが、こうした考え方は改める必要がある。
  また、1995年から2010年の15年間で、都道府県別の高齢者の就業率も大きく動いている。岐阜県の高齢者就業率は全国を上回っているものの他の自治体から差を縮められている状況にある。岐阜県の高齢者、特に70歳以上の高齢者には活躍できる余地がまだまだあると考える。
  今回、岐阜版生涯現役社会の実現について提案した。高齢者がいきいきと活躍する社会の実現のためには妙手はない。高齢者の働きたいという意欲を丁寧にくみ取る、高齢者が活躍する場を企業・地域が一体となって考え、作っていく。そして、こうした取り組みを行政がサポートするといった一連の動きを粘り強く続けていくことが、生涯現役社会の実現に近づく道であると考える。
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(注1) 高年齢者雇用安定法の改正により、65歳までの高年齢者雇用確保措置が義務化され、事業主は、①定年制の廃止、②65歳以上の定年年齢の引上げ、③継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講ずることが必要となった。平成27年「高年齢者の雇用状況」の集計結果によれば、2015年6月1日現在、我が国の99.2%の企業(従業員31人以上)が、①~③のいずれかの措置を実施している。なお、③継続雇用制度導入企業の一部企業は、65歳未満でも厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢到達者について継続雇用の対象者を限定する経過措置が認められている。このため、希望者全員が65歳以上まで働くことができる企業は中小企業の約7割、大企業の約5割にとどまっている。
(注2) 福岡県経営者協会、福岡県商工会議所連合会、福岡県商工会連合会、福岡県中小企業団体中央会、日本労働組合総連合会福岡県連合会、公益社団法人福岡県高齢者能力活用センター、公益社団法人福岡県シルバー人材センター連合会、社会福祉法人福岡県社会福祉協議会、公益社団法人福岡県老人クラブ連合会、福岡県地域婦人会連絡協議会、特定非営利活動法人福岡NPOセンター、高齢社会をよくする北九州女性の会、地域づくりネットワーク福岡県協議会、特定非営利活動法人えふネット福岡、福岡県、福岡県市長会、福岡県町村会の計17団体。
(注3) 「就職件数」を「新規求職申込件数」で除して算出 したもの。
(注4) 設立当初は、岐阜県人材チャレンジセンター。その後、「ジョブステーションぎふ」「ジョブステーションたじみ」と統合し、現在の「岐阜県総合人材チャレンジセンター(愛称:ジンチャレ!)となる。
〈参考文献〉
福岡県ホームページ『福岡県70歳現役社会づくり研究会( 7 0 歳現役社会づくり報告書)』
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/70kenkyukai.htm(l 2016年2月15日アクセス)
厚生労働省ホームページ『「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」報告書をとりまとめました( 報告書( 本文))』
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034ttj.htm(l 2016年2月16日アクセス)
厚生労働省ホームページ『「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」報告書を取りまとめました(報告書(本文))』
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000087875.htm(l 2016年2月16日アクセス)
        (2016.6.10)
                              OKB総研 調査部 纐纈 光元
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  以上の「岐阜版生涯現役社会の実現に向けて」全文紹介を5回に分けて掲載ご紹介しました。しかし、これまでの「生涯現役社会の実現」標題に関わる文献で、30年余の実践研鑽当事者として永らく関わり、これら内容に現実効果を期待すべき立場にある者としては、本日の日経新聞朝刊第一面記事「日本、安定政権で改革急げ(景気動向研究班)」欄の要望に応答できる前提条件を果して備えているか、下記部分記事紹介文から『あるべき生涯現役社会の実現』を熟慮いただきたいと願っている。
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【2016年7月22日付:日本経済新聞当該記事の末尾抜粋部分】
  (全文略)参院選で与党が勝った日本は、世界的にみれば政治が安定している方だ。それなのに、腰を据えた構造改革は進まない。投資家の関心も、追加の金融緩和や短期的な経済対策に集まりがちだ。
  アベノミクスの目的である脱デフレはいまだ実現していない。節約志向が続く個人消費は勢いがなく、ニトリHDの似鳥会長は「いかなることがあっても値上げはしない」と言い切る。
  モノやサービスの値段が持続的に上がって企業業績が改善し、賃上げで個人消費が上向く経済の好循環が生まれていないのだ。
  政府は月内に大規模な経済対策をまとめる。もっとも、中身は公共事業をはじめ財政に頼った短期的な刺激策ばかりが目に付く。
  日本経済に一番足りないのは、従来と全く違う発想で新たな成長軌道をつくり出す政治の意思だ。1995年度から2015年度までの実質成長率と潜在成長率の平均はともに0.8%。これでは海外発のショックでたちまちマイナス成長に戻ってしまう。
  遠回りにみえても、成長力を底上げする構造改革こそ、政治が安定している日本に課せられた課題である。(日経紙景気動向研究班)