昨20日付Blogにつづく

5.岐 阜 県 版 生 涯 現 役 社 会 実 現 を 目 指 し て

  福岡県の事例、「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」の提言などを参考として、岐阜県版生涯現役社会づくりについて提案したい。
(1) 総 合 支 援 拠 点 の 整 備
  岐阜県では、2004年4月に、若者の能力向上と就職促進を図るため、若者が雇用関連サービスをワンストップで受けられる「岐阜県総合人材チャレンジセンター(愛称:ジンチャレ!)」が設けられた(注4)。2008年度からは対象を拡げ、中高年への就職支援サービスも提供されている。
  まずは、このジンチャレ!を岐阜県版生涯現役社会づくりの総合拠点として整備することが必要と考える。すでにジンチャレ!では、中高年の就業支援にワンストップで対応できる体制がある。そこで、この機能に、シルバー人材センターが持つ軽易な仕事を紹介する機能や、ボランティア・サービスについての相談に対応する機能などを付加することにより、高齢者の多岐にわたるニーズに幅広く対応できる、総合的なサービス提供が可能となる。
  また、「福岡県70歳現役応援センター」におけるコーディネーターのような、高齢者向け求人開拓をする人員も必要であろう。福岡県では、経済団体、労働者団体、高齢者関係団体、NPO団体、行政などからの出身者を構成員とした検討会をもとに、「福岡県70歳現役応援センター」が開設された。
  岐阜県では地方創生のため、産、官、学、金、労、言の各界代表者によって、「清流の国ぎふ」創生総合戦略が策定され、推進されている。このような各界代表者が広くそろって地方創生を議論する場を活かして、高齢者の就業・社会参加を総合的に支援する拠点の整備(機能拡充)を検討することが必要と考える。
(2)県 内 ネ ッ ト ワ ー ク の 構 築
  ~ポテンシャルが高いシルバー人材センターとの連携~
  現在のジンチャレ!は、本所(県シンクタンク庁舎)、サテライトぎふ(JR岐阜駅アクティブG)、サテライトたじみ(多治見駅前プラザ・テラ4F)の3ヵ所のみであり、県全体をカバーするためにはもう少し拠点が欲しいところだ。そこで以下の強みを持つシルバー人材センターと連携し、県内ネットワークを構築することが考えられる。
A.充実したネットワーク
  シルバー人材センターは、岐阜県内42市町村すべてに拠点がある。
B.幅広い就業メニュー
  シルバー人材センターの仕事といえば草刈、剪定などをイメージされる方が多いと思うが、そういった軽易な就業の提供の他に、労働者派遣事業、有料職業紹介事業を行うこともできる。また、ただ単に収入を得るためだけでなく、お互い協力し、助け合いながら働く「共働・共助」を事業理念として掲げていることから、高齢者の社会参加へのニーズを満たすこともできる。
C.更に機能強化
  シルバー人材センターの登録者を派遣、職業紹介する場合、就業時間は概ね週20時間程度までに限定されている。この要件が4月1日から緩和され、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、週40時間まで就業が可能となった。これによりシルバー人材センターが派遣、職業紹介できる業務が増えることが期待できる。
  「福岡県70歳現役応援センター」には、シルバー人材センターの出張窓口が週に1回設けられている。ここでは、同センター近隣のシルバー人材センターの担当者が中心となって対応している。同様に、ジンチャレ!にもシルバー人材センターの窓口を設け、県内のシルバー人材センターの担当者が交代で担当することが、ジンチャレ!と県内の各シルバー人材センターとの連携を機能的にも、人的にも強化することにつながると考える。
(3)意識改革
  生涯現役社会実現のためには、高齢者が持つ就業希望を実現するための仕組みづくりに加え、高齢者、企業経営者や従業員、その他社会全体の意識改革が必要である。社会保障の議論をする際、65歳以上を高齢者(「支えられる側」)と区分する。しかし、この定義は、半世紀以上前のものである。その後、平均寿命が大きく伸びるなか、65歳以上を高齢者とする定義は実態にそぐわない。
  高齢者に対するこうした意識を変革するため、福岡県での取組みのように、高齢者を採用する企業、高齢者双方に対する意識改革の取り組みが求められる。こうした活動が広まることは、若者が職業選択、ライフプランの設計を考えるうえでも有益と考える。定年まで働き、余生は年金等で暮らすのではなく、一生涯続けられる仕事に就く、そのために生涯スキルアップを続けるといった意識改革がこれからの若者にも求められると考える。          つづく