人 を や る 気 に さ せ る 目 標 設 定 と は
       組 織 全 体 を 最 適 化 す る 科 学 的 思 考 3 分 セ ミ ナ ー
                                    岸 良  裕 司

【岸良 裕司 (きしら ゆうじ)氏プロフィール】  ゴールドラット・コンサルティング・ジャパン代表取締役。日本TOC推進協議会理事。1959年生まれ。 TOC(Theory Of Constraint:制約理論)をあらゆる産業界、行政改革で実践。活動成果の一つとして発表された「三方良しの公共事業改革」は、ゴールドラット博士の絶賛を浴び、2007年4月に国策として正式に採用される。成果の数々は国際的に高い評価を得て、2008年4月、ゴールドラット博士に請われてゴールドラット・コンサルティング・ディレクターに就任した後、日本代表となる。主な著書に『全体最適の問題解決入門』『考える力をつける3つの道具』『最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント』『よかれの思いが会社をダメにする』『出張直前!一夜漬けのビジネス英会話』などがある。
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  企業の成長を阻む課題や問題を発見し、改善を図る。その成否を分けるのは、経営者の「考える力」です。このプログラムで科学的に考える力を鍛え、組織全体の最適化を実現する経営能力を養いましょう。講師は、ハードサイエンス(自然科学)の考え方を活用した全体最適のマネジメント理論TOC(Theory Of Constraint:制約理論)をあらゆる産業界、行政改革で実践し、その成果が国際的に高い評価を得ている岸良裕司さん。変化の激しい時代を生き残るための知恵とヒントがここにあります。
http://www.nikkeibp.co.jp/atclcsm/15/433316/073100018/?n_cid=nbpbpn_tg
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  誰しも、目標達成はしたいもの。それは必ずしも自分の評価のためだけではない。自分が達成できなかったことで、みんなに迷惑をかけたくないという気持ちからも、目標達成はしたいと思うのが人情というものだ。

  もし、目標をずっと継続して100%達成できるならば本人はうれしいに違いないし、また周りも「あいつの目標数値は信頼できる」と安心するだろう。そういう状況をぜひ実現したいと思うのは、当たり前のことなのかもしれない。

  しかし、“何が起こるかわからない”、“常に変化する“という環境下で、常に100%目標達成することは本当に可能なのだろうか? 本人の調子だっていつも同じであるとは限らない。調子がいい時だって、悪い時だってあり得る。

  このような変動の要因がある中で、常に100%目標達成できるとしたら、よほどのゆとりがなければ難しいかもしれない。言い換えれば、100%常に達成できているとしたら、それはもしかしたら目標設定が低く、目標にまだまだゆとりがあるということになるのかもしれない。

  ここで、どうやって目標設定をしたら良いかという疑問が湧いてくる。

  あまりに難しく、とても達成できそうもない高い目標では、人はやる気を起こさないだろうし、逆にあまりに低い目標では、本来ある能力を活かし切っていないということになる。できて当たり前の目標では、わざわざ設定する必要もないほどのつまらない目標とも言える。

  輪投げというゲームをやったことがあるだろうか? あまりに遠くの目標では、できっこないのでやる気にならない。あまりに近い目標だと誰でもできて、ゲームにすらならないほどつまらなくなる。輪が入れられるかどうか五分五分。そんな距離でやると、失敗したり成功したりとゲームは楽しくなる。

  できるかできないか五分五分ということは、あなたがうまくかかわると、できる方向に傾くということ。あなたのかかわりが、目標達成に大きな影響をもたらす。そんな時に、人のモチベーションも一番上がるのではないだろうか? 仕事をするのは人である。モチベーションが上がれば、目標達成の可能性は必然的に高まるのは言うまでもないこと。

  100%達成できる目標設定よりも、できるかできないか五分五分の目標設定の方がレベルが必然的に高くなる。より高い目標に向かってみんなのモチベーションが高まり、チャレンジしているならば、仕事も楽しいし、結果的により高い成果も得られるようになる。

  五分五分の目標は人をやる気にさせる。そして、より高い成果につながることになる。

TOCとは
企業収益の鍵を握る「制約条件」にフォーカスする事によって、最小の努力で最大の効果(利益)をあげる全体最適のマネジメント理論。ベストセラー小説『ザ・ゴール』の著者で物理学者のエリヤフ・ゴールドラット博士によって開発された組織経営のための理論である。