仕掛人・玄 秀盛氏の心意気が資本金③
2015年10月5日 お仕事 今 後 は 刑 務 所 出 所 者 の 人 材 派 遣 業 も
庄子:新宿駆け込み餃子のオープンにこぎ着けたことで、出所者支援の目的は果たされたととらえていいのでしょうか?
玄:いや、この先、出所者の人材派遣業をやりたいと思っている。新宿駆け込み餃子のような店を、全国各地に作っていくという方法もあるかもしれないが、それには莫大な資金が必要となる。それに、出所者にとって、本来は選択できる職場の幅が広い方が望ましい。
刑務所からの出所者受け入れ企業の拡大を目指して、法務省は今年度から協力雇用主に奨励金を支払う制度をスタートさせた。それはもちろん結構なのだけれど、その中味は一定の基準を満たして、出所者を雇用すれば、月額2万~8万円を最長1年間支給するというもの。
出所者を雇ったら奨励金をもらえると言っても、それ以前に、多くの企業は刑務所から出た人を使えるのか、使えないのか、もっと言えば、使っていいのかどうかがよく分からない。例えば、クビにさせる必要が出たらどうすればいいのか、一般の人よりクビにさせるのは怖いよな、恨まれるんちゃうかって思ったりする。
だから、出所者の人材派遣業を通して、「3日でもいいから使ってみてください、お試しで」という取り組みを始めたい。3日間使ってもらって、それでよければ1カ月の試用期間。そこから次に、6カ月とか1年とかの契約を結ぶ。問題があればいつでも“返品”OK。責任を負うのは、派遣事業主。そういうふうにしてあげたら、企業側も出所者採用のハードルが低くなると感じている。
このプロジェクトも再チャレンジ支援機構で行っていこうと準備を進めているが、資金がない。人材派遣の許認可を取るのに2000万円、それと運転資金で1000万円、計3000万円が最低でも必要になる。資金集めは簡単ではないが、必ず成功させて、実現にこぎ着けたい。
それから、俺は出所者支援だけを全身全霊でやっているわけではない。ほかにも同時並行で、自分が非常に重要だと感じている2つの課題に今、取り組んでいる。
庄子:その中味は?
玄:一つ目の課題は、子供のいじめや虐待問題。この問題はますます陰湿化・深刻化している。
子供が発信するSOSにしっかり対応できるよう「いのちのはがき」を作った。被害者の子供自身や被害者の近くで聞いた人間が、このはがきに必要事項を記入してポストに投函してもらえれば、「日本駆け込み寺」に届くようになっている。
このはがきを、大手コンビニエンスストアチェーンに置いてもらえるよう、今、掛け合っている最中。学校に置いても、学校に行けていない子供たちがいるし、教師やほかの生徒の目線を気にして、はがきを手に取らない子供たちもいるからコンビニという発想。コンビニは24時間、365日開いているし。
駆け込み寺にはがきが届けば、俺は必ず動く。これまで駆け込み寺に子供からの相談が実際に寄せられていて、対応している実績もある。
一例として、9歳の女の子から電話が来た。親が再婚した。再婚相手のお父ちゃんが風呂に来る。見られる、触られる。母親に言ったら「違う、あんたのこと思うてやってるんや」と言われた。それで学校の先生に言ったら、「ママに言ったか」と聞かれ、「ママに言った」と答えたら、「あんたの勘違いや、風呂なんか誰だって…」と片づけられた。するとそれ以上、その子はしゃべられへんようなって、駆け込み寺に電話してきた。
俺は一通り話を聞いて、母親も学校も全然だめだということが分かったので、すぐに児童相談所に連絡した。「●●ちゃんというから、話を聞いたって」って。結局、その娘は施設で一時預かりとなって、親と距離をあけた。すると、のびのび学校へ行くようになった。たった一人の大人が救えるんよ。
とにかくいのちのはがきで、子どもを救いたい。大津や岩手のいじめ自殺、川崎の中一男子殺害のような悲惨な事件を、未然に防がんと。公益財団法人の日本駆け込み寺は、いじめ問題の第三者機関になることもできる。
死んで第三者機関を設けるより、死ぬ前の第三者機関や。 つづく
庄子:新宿駆け込み餃子のオープンにこぎ着けたことで、出所者支援の目的は果たされたととらえていいのでしょうか?
玄:いや、この先、出所者の人材派遣業をやりたいと思っている。新宿駆け込み餃子のような店を、全国各地に作っていくという方法もあるかもしれないが、それには莫大な資金が必要となる。それに、出所者にとって、本来は選択できる職場の幅が広い方が望ましい。
刑務所からの出所者受け入れ企業の拡大を目指して、法務省は今年度から協力雇用主に奨励金を支払う制度をスタートさせた。それはもちろん結構なのだけれど、その中味は一定の基準を満たして、出所者を雇用すれば、月額2万~8万円を最長1年間支給するというもの。
出所者を雇ったら奨励金をもらえると言っても、それ以前に、多くの企業は刑務所から出た人を使えるのか、使えないのか、もっと言えば、使っていいのかどうかがよく分からない。例えば、クビにさせる必要が出たらどうすればいいのか、一般の人よりクビにさせるのは怖いよな、恨まれるんちゃうかって思ったりする。
だから、出所者の人材派遣業を通して、「3日でもいいから使ってみてください、お試しで」という取り組みを始めたい。3日間使ってもらって、それでよければ1カ月の試用期間。そこから次に、6カ月とか1年とかの契約を結ぶ。問題があればいつでも“返品”OK。責任を負うのは、派遣事業主。そういうふうにしてあげたら、企業側も出所者採用のハードルが低くなると感じている。
このプロジェクトも再チャレンジ支援機構で行っていこうと準備を進めているが、資金がない。人材派遣の許認可を取るのに2000万円、それと運転資金で1000万円、計3000万円が最低でも必要になる。資金集めは簡単ではないが、必ず成功させて、実現にこぎ着けたい。
それから、俺は出所者支援だけを全身全霊でやっているわけではない。ほかにも同時並行で、自分が非常に重要だと感じている2つの課題に今、取り組んでいる。
庄子:その中味は?
玄:一つ目の課題は、子供のいじめや虐待問題。この問題はますます陰湿化・深刻化している。
子供が発信するSOSにしっかり対応できるよう「いのちのはがき」を作った。被害者の子供自身や被害者の近くで聞いた人間が、このはがきに必要事項を記入してポストに投函してもらえれば、「日本駆け込み寺」に届くようになっている。
このはがきを、大手コンビニエンスストアチェーンに置いてもらえるよう、今、掛け合っている最中。学校に置いても、学校に行けていない子供たちがいるし、教師やほかの生徒の目線を気にして、はがきを手に取らない子供たちもいるからコンビニという発想。コンビニは24時間、365日開いているし。
駆け込み寺にはがきが届けば、俺は必ず動く。これまで駆け込み寺に子供からの相談が実際に寄せられていて、対応している実績もある。
一例として、9歳の女の子から電話が来た。親が再婚した。再婚相手のお父ちゃんが風呂に来る。見られる、触られる。母親に言ったら「違う、あんたのこと思うてやってるんや」と言われた。それで学校の先生に言ったら、「ママに言ったか」と聞かれ、「ママに言った」と答えたら、「あんたの勘違いや、風呂なんか誰だって…」と片づけられた。するとそれ以上、その子はしゃべられへんようなって、駆け込み寺に電話してきた。
俺は一通り話を聞いて、母親も学校も全然だめだということが分かったので、すぐに児童相談所に連絡した。「●●ちゃんというから、話を聞いたって」って。結局、その娘は施設で一時預かりとなって、親と距離をあけた。すると、のびのび学校へ行くようになった。たった一人の大人が救えるんよ。
とにかくいのちのはがきで、子どもを救いたい。大津や岩手のいじめ自殺、川崎の中一男子殺害のような悲惨な事件を、未然に防がんと。公益財団法人の日本駆け込み寺は、いじめ問題の第三者機関になることもできる。
死んで第三者機関を設けるより、死ぬ前の第三者機関や。 つづく