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   ミュージシャンは生涯現役、Moon 韓国の歌姫が考える音楽家とは②
              WINTERPLAYからソロデビュー


     音楽的に同じ空間を感じられることが重要
――スムーズに進んだわけですね。楽器のレコーディングにもMoonさんは参加されていたのでしょうか。
  はい。楽器を録る過程にも参加しました。私としてはそうすべきだと思いました。というのも、ミュージシャンの皆さんがこの曲でどういう風に演奏するかということを、私も実際に見て聴いてこそ、理解ができると思ったからです。アルバム制作は私が日本に来て進めるという形だったので、スケジュール的にはタイトでしたが、私にとってはそれが大変だったとか無理が生じたいうことはありませんでした。

――レコーディングでのハプニングはありましたか。
  大きなハプニングはありませんでした。それは私としても運が良かったことの一つですね。本当にミュージシャンのみなさんが素晴らしい演奏をしてくれて、私は横でその素晴らしい演奏に対して拍手をしていました。
  ただ、ギタリストの小沼ようすけさんが、当初レコーディングをする予定だった日に風邪をひかれてしまい、来られなくなってしまったんです。でも、レコーディング最終日にスケジュールを調整して来てくださいまして。無事に録音することが出来ました。

――小沼さんが参加した「イン・ア・センチメンタル・ムード」はデュオでの共演ですね。Moonさんにとってデュオとは?
  デュオというのは、ミュージシャン同士が呼吸をし合って、音楽的に同じ空間を感じられてこそ、ちゃんと曲が成立すると思います。私と小沼さんで一つの作品を作るということは、初共演だったにも関わらず非常に上手くいったので、この「イン・ア・センチメンタル・ムード」を無事に録り終えた時に「これで私のアルバムが完成した!」と安堵の息をついたのを今でも鮮明に覚えています。
  もしあの時、小沼さんが来られなければ、アルバムは完成したにせよ数%の心残りがあったと思います。もともと私が小沼さんのファンだったので是非ご一緒したいと思っていたので、参加して頂けて幸せでした。

――そして、「恋のひとこと」ではTOKUさんともデュエットされていますが、レコーディングは同時に録られたのでしょうか。(編注=TOKUは日本唯一のボーカリスト&フリューゲルホーンプレーヤー)
  レコーディングは別々のブースでしたが、しっかりお互いの顔が見えるところで一緒に録りました。別々に録るのと同時に録るのでは違ってきますね。一緒に演奏、歌うということは呼吸というものが非常に大切になって来ます。特にブレスやダイナミクスのタイミング別々に録るのと同時に録るのでは違ってきますね。一緒に演奏、歌うということは呼吸というものが非常に大切になって来ます。。特にブレスやダイナミクスのタイミング別々に録るのと同時に録るのでは違ってきますね。一緒に演奏、歌うということは呼吸というものが非常に大切になって来ます。特にブレスやダイナミクスのタイミングです。物理的に同じ場所というよりも、音楽的に一緒の場にいるなと感じられないと、なかなか難しい作業になります。

――音楽的に通じ合うというのは難しそうですね。
  私がこの方達と一緒にやりたいなと感じた人たちだったので、私は作業に取り掛かる時点ですでに心が開かれていましたし、ミュージシャンの皆さんもオープンな気持ちで臨んでくれたので、音楽的に通じ合うという部分では全然難しいことではなかったです。そうやって音楽制作をすることでリスナーの皆さんにもきちんと伝わるのかなと思うので、とても重要な部分じゃないかなと思います。

      「絆」はうまく繋げてくれるキーワード的な1曲
――資料で拝見させていただいたのですが、Moonさんはエラ・フィッツジェラルドさんの「トゥー・ダーン・ホット」に魅了されて、ジャズを始めたとのことなのですが、今作に収録しようという案はなかったのでしょうか。
  そのアイデアもありましたが、今作にはちょっとカラーが違うと思いました。もちろん私の大好きな曲であり、多くのボーカリストたちが作曲家としてコール・ポーターの名前が挙げ、アルバムに収録してきたと思います。
  でも、今回アルバムを作るにあたり昔のスタンダード曲に関しては、音としての温度をきちんと合わせられる曲を選んでいくという過程を踏んだので、「イン・ア・センチメンタル・ムード」や「スピーク・ロウ」を入れることになりました。でも「トゥー・ダーン・ホット」は大好きな曲なので、また次の機会に歌ってみたいなと思います。

――アルバム曲で橋幸夫さんの「絆」が収録されているのですが、韓国では有名な日本の曲みたいですね。なぜこの楽曲収録しようと思ったのでしょうか。
  韓国でも昔の歌謡曲で良い曲はたくさんあるのですが、「絆」はそのなかの1曲です。原曲は日本ですが、私は日本語の歌詞の内容はわかりません。韓国語のバージョンは「悲しい縁(スルプンインヨン)」というタイトルで、男女の別れ、その瞬間をとても残念に思う当事者の気持ちを歌っている歌詞です。 私は韓国の歌手で日本に来て、日本のミュージシャンの方と一緒に制作してという、そういうものをうまく繋げてくれるキーワード的な1曲があったらいいなという思いもありました。
  あと、ハクエイ・キム(日本と韓国のクォーターでジャズピアニスト)さんとご一緒したいなと思った時に、この曲が良いのではと思いました。アルバム全体を見た時も「絆」が、日本と韓国のちょうど中間に位置する存在の曲になって、この曲が架け橋になってくれると感じました。。

――「絆」は韓国で一番有名な日本の曲なのでしょうか。
  この曲はすごく有名なのですが、おそらく韓国の人で日本が原曲だということを知っている人はほとんどいないと思います。この「絆」が韓国で流行っていた時は公式に日本文化が入ってくることが禁止されていた時代でした。それもあって日本の曲だという認識がないんです。
  日本の曲でここ20年間くらいで言うと、中島美嘉さんの「雪の華」や尾崎豊さんの「I LOVE YOU」は韓国でもリメイクされたこともあり、人気のある有名曲です。最近は日本の曲が入ってくるので、日本の曲を原曲とするものを韓国でリメイクしたりカバーしたりするケースも増えています。

――陰ながら韓国と日本の“絆”に一役買った楽曲かもしれませんね。さて、歌への愛を非常に強く感じさせるMoonさんですが、もし音楽や歌が出来なくなってしまうことになったらどうされますか。
  音楽ができなくなる、それは非常に災難なことだと私は思います。ミュージシャンの方はみんな思っていることだと思いますが、一生懸命アルバムを作って出したとしても、それがマーケットでたくさん売れたりすることや、好評を博すという状況ではなくなって来ていますよね。

――確かに音楽を取り巻く状況は良くないですね。
  音楽をするということは、音楽に対する情熱と、本当に好きだという愛情をなくしては、続けていくことが困難な状況だと感じています。ミュージシャン仲間ともよく話すのですが、私たちが音楽をしていなかったら何をしていたかと話しをするのですが、答えは出ないんです。
  それはやっぱり私たちの過去、今も未来も音楽無くしては何も考えられない、それほど大切な存在になっています。音楽をやりつつ人生を全う出来たら幸せですね。――その中で日本は今、安室奈美恵さんや小室哲哉さんなどビッグアーティストが引退を表明したのですが、Moonさんをはじめ、ミュージシャンの方達は引退ということをどこかで考えたりするのでしょうか。個人的にはミュージシャンは生涯現役という感覚もあったので、最近の引退表明にびっくりしまして。
  音楽を始め、芸術家の方達にとってはこれ以上新しいものが出来ない、クリエイティブな面でこれ以上楽しみや喜びを与えられない、これ以上良い姿を見せることが出来ないなど、これまでのレベルに達しないと自分が感じるものを提示するよりも、自分はここで締めくくりを迎えようと、考える人ももちろんいるとは思います。でも、私はまだまだやりたいこともたくさんあるし、引退を考えたことはないですね。私もミュージシャンは生涯現役という認識はありますから。

――貴重なご意見ありがとうございます。最後に日本のファンの方へメッセージをお願いします。
  Moonという名前で新しくスタートします。今までも私は良いアルバムを皆さんに紹介したいと思っていましたが、今回そんな素敵なアルバム『Kiss Me』が完成しました。自信を持ってみなさんにおすすめが出来る作品ができて嬉しいです。たくさん聴いていただき、素敵な場所でみなさんとお会いして、その時にも良い音楽、良い歌をお届けしたいと思います。