加藤特許事務所:知財とびうめ号外便
2017年2月12日 お仕事┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
「加藤合同国際特許事務所~~ 知 財 と び う め 便 り ~」 号外
発信日:2017年 2月10日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 最 近 話 題 の「 P P A P 」 の 商 標 問 題 に つ い て
◆
みなさんは「PPAP」という言葉をご存知でしょうか。
「PPAP」は、芸人「ピコ太郎」(古坂大魔王)氏による歌のタイトルです。ペン-パイナップル-アップル-ペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)それぞれの頭文字をくっつけたもので、米国のジャスティン・ビーバーがこの歌を面白いとする投稿をtwitterに呟いたことで、世界的に知れ渡ることになりました。
最近、この「PPAP」が、古坂大魔王氏が所属するエイベックス・グループHD社より先に、第三者によって商標登録出願されたことがニュースやワイドショーで話題になっています。
「PPAP」を出願したのは、ベストライセンス社という大阪の会社です。
ベストライセンス社は、出願印紙代を支払わずに大量の商標を出願して、却下される前に、分割出願して延命を図り、正当に商標登録しようとする者の邪魔になったり、特許庁の業務を圧迫したりしていることで、業界では以前から有名な会社です。
私どもも、お客様から商標登録のご依頼をいただき、調査を行っている中で、度々、ベストライセンス社の出願が検索されるため、その存在と手法を数年前から把握していました。
無駄なことを大量に行っているように見えますが、そのビジネスモデルは、出願した商標を使用している者にライセンス契約を持ち込み、利益を得るというものです。大量の出願は、そのための布石です。
「PPAP」は、ベストライセンス社が2016年10月5日に出願しています。
エイベックス・グループHD社の出願日が10月14日で、ベストライセンス社の最初の出願から9日後と、一足違いだったようです。
おそらく、ベストライセンス社の出願の存在をエイベックス・グループHD社は知らなかったと推測されます。ベストライセンス社の出願が公開され、その存在を知ったときには驚いたのではないでしょうか。
「PPAP」はあまりに有名であるため、ベストライセンス社の出願は、仮に出願印紙代が支払われていても、特許庁の審査にて拒絶されるものと考えられます。
これは、商標法では、基本的に、先に出願した者を優先的に登録する先願主義を採っていますが、他人の有名な会社名,マーク,商品名,営業表示を無断で使うことによって、著名性にタダ乗りするような行為(フリーライド)を禁止しているためです。
しかし、これは本件のように、出願した商標が既に著名性を獲得している場合といった特例的なもので、単に以前から使用しているだけといった場合や、一部の業界ではメジャーでも、特許庁の審査官が知らないような商品やサービスを表す名称であれば、登録になる可能性があります。
一旦登録になっても、商標登録を取り消す手段(前号メルマガの知財講座「登録異議申立・無効審判について」をご参照ください。)はありますが、大変な労力が掛かりますし、取り消せない可能性もあります。
そうなれば、今迄使用していた屋号や商品名が使用できなくなり、また、パンフレットやチラシ、パッケージ、看板等は全て破棄等という事態にもなりかねません。
「PPAP」のように著名性を得た場合を除くと、以前から使用している商標を、今後も安心して使用し続けられるようにするためには、やはり、いち早く商標登録しておくことが大事であることには変わりありません。
本件に関して、ご心配な点、ご不明な点等ございましたら、どうぞ気軽にお問い合わせください。
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★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-
福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 博多駅前ビジネスセンター411号
URL:http://www.kato-pat.jp/
TEL:092-413-5378 E-mail:mail@kato-pat.jp
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【日刊ゲンダイ/2017. 1.27付】
P P A P な ど 大 量 出 願
“ 商 標 ゴ ロ ” 元 弁 理 士 厚かましい開き直り 特許庁もオカンムリ
ピコ太郎の「PPAP」に関連したワードが、縁もゆかりもない会社から大量出願されている騒動。商標は先に出願した人の権利が認められる「早い者勝ち」が原則だけに、そのガメツサには、関係者でなくても目がテンだ。どうやら、その世界では知られている商標ゴロらしい。
問題の会社は、大阪府茨木市に本社を置く「ベストライセンス株式会社」。登記によると資本金は500万円で、2014年に設立され、元弁理士の上田育弘氏が代表を務めている。
ベスト社が出願しているのは「PPAP」をはじめ、「ペンパイナッポーアッポーペン」など。過去には「STAP細胞はあります」「あまちゃん」「じぇじぇ」「民進党」といったはやりのフレーズも出願。2015年にはベスト社と上田氏が計14,786件の商標を出願。国内全体の1割を占める異常な数字だ。特許庁が異例の注意喚起を出すほどのいわくつきらしい。
「上田氏は数年前、弁理士会への登録をやめたので、今は正規の弁理士活動はできません。ちょうどそのころから、無関係の商標の大量出願を始めたようです。しかも、出願時に必要な登録手数料(1件12,000円)を全く支払わないので、特許庁も業を煮やし、対策を練っている矢先だったのです」(法曹関係者)
朝日新聞社の昨年の取材に、50代の上田氏は悪びれもせずにこう答えている。商標出願の理由について「将来自分で使う、他人に権利を譲渡する、先に出願することで権利を仮押さえする3つが狙い」「権利が欲しいという人が現れれば、ビジネスになる」などとし、売買目的であることを認めた。手数料の不払いは「権利化してメリットあるものだけを厳選している」と開き直った。
今回はどう答えるのか。固定電話にかけると、「お客さまのおかけになった電話番号は現在使われていません」。ちなみに、登記されている住所は築40年の住宅向け3階建ての賃貸アパート。間取りは1Rで家賃は3万円ほどの格安物件だった。日々の生活にも困窮しているのか。
「加藤合同国際特許事務所~~ 知 財 と び う め 便 り ~」 号外
発信日:2017年 2月10日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 最 近 話 題 の「 P P A P 」 の 商 標 問 題 に つ い て
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みなさんは「PPAP」という言葉をご存知でしょうか。
「PPAP」は、芸人「ピコ太郎」(古坂大魔王)氏による歌のタイトルです。ペン-パイナップル-アップル-ペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)それぞれの頭文字をくっつけたもので、米国のジャスティン・ビーバーがこの歌を面白いとする投稿をtwitterに呟いたことで、世界的に知れ渡ることになりました。
最近、この「PPAP」が、古坂大魔王氏が所属するエイベックス・グループHD社より先に、第三者によって商標登録出願されたことがニュースやワイドショーで話題になっています。
「PPAP」を出願したのは、ベストライセンス社という大阪の会社です。
ベストライセンス社は、出願印紙代を支払わずに大量の商標を出願して、却下される前に、分割出願して延命を図り、正当に商標登録しようとする者の邪魔になったり、特許庁の業務を圧迫したりしていることで、業界では以前から有名な会社です。
私どもも、お客様から商標登録のご依頼をいただき、調査を行っている中で、度々、ベストライセンス社の出願が検索されるため、その存在と手法を数年前から把握していました。
無駄なことを大量に行っているように見えますが、そのビジネスモデルは、出願した商標を使用している者にライセンス契約を持ち込み、利益を得るというものです。大量の出願は、そのための布石です。
「PPAP」は、ベストライセンス社が2016年10月5日に出願しています。
エイベックス・グループHD社の出願日が10月14日で、ベストライセンス社の最初の出願から9日後と、一足違いだったようです。
おそらく、ベストライセンス社の出願の存在をエイベックス・グループHD社は知らなかったと推測されます。ベストライセンス社の出願が公開され、その存在を知ったときには驚いたのではないでしょうか。
「PPAP」はあまりに有名であるため、ベストライセンス社の出願は、仮に出願印紙代が支払われていても、特許庁の審査にて拒絶されるものと考えられます。
これは、商標法では、基本的に、先に出願した者を優先的に登録する先願主義を採っていますが、他人の有名な会社名,マーク,商品名,営業表示を無断で使うことによって、著名性にタダ乗りするような行為(フリーライド)を禁止しているためです。
しかし、これは本件のように、出願した商標が既に著名性を獲得している場合といった特例的なもので、単に以前から使用しているだけといった場合や、一部の業界ではメジャーでも、特許庁の審査官が知らないような商品やサービスを表す名称であれば、登録になる可能性があります。
一旦登録になっても、商標登録を取り消す手段(前号メルマガの知財講座「登録異議申立・無効審判について」をご参照ください。)はありますが、大変な労力が掛かりますし、取り消せない可能性もあります。
そうなれば、今迄使用していた屋号や商品名が使用できなくなり、また、パンフレットやチラシ、パッケージ、看板等は全て破棄等という事態にもなりかねません。
「PPAP」のように著名性を得た場合を除くと、以前から使用している商標を、今後も安心して使用し続けられるようにするためには、やはり、いち早く商標登録しておくことが大事であることには変わりありません。
本件に関して、ご心配な点、ご不明な点等ございましたら、どうぞ気軽にお問い合わせください。
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★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-
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URL:http://www.kato-pat.jp/
TEL:092-413-5378 E-mail:mail@kato-pat.jp
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【日刊ゲンダイ/2017. 1.27付】
P P A P な ど 大 量 出 願
“ 商 標 ゴ ロ ” 元 弁 理 士 厚かましい開き直り 特許庁もオカンムリ
ピコ太郎の「PPAP」に関連したワードが、縁もゆかりもない会社から大量出願されている騒動。商標は先に出願した人の権利が認められる「早い者勝ち」が原則だけに、そのガメツサには、関係者でなくても目がテンだ。どうやら、その世界では知られている商標ゴロらしい。
問題の会社は、大阪府茨木市に本社を置く「ベストライセンス株式会社」。登記によると資本金は500万円で、2014年に設立され、元弁理士の上田育弘氏が代表を務めている。
ベスト社が出願しているのは「PPAP」をはじめ、「ペンパイナッポーアッポーペン」など。過去には「STAP細胞はあります」「あまちゃん」「じぇじぇ」「民進党」といったはやりのフレーズも出願。2015年にはベスト社と上田氏が計14,786件の商標を出願。国内全体の1割を占める異常な数字だ。特許庁が異例の注意喚起を出すほどのいわくつきらしい。
「上田氏は数年前、弁理士会への登録をやめたので、今は正規の弁理士活動はできません。ちょうどそのころから、無関係の商標の大量出願を始めたようです。しかも、出願時に必要な登録手数料(1件12,000円)を全く支払わないので、特許庁も業を煮やし、対策を練っている矢先だったのです」(法曹関係者)
朝日新聞社の昨年の取材に、50代の上田氏は悪びれもせずにこう答えている。商標出願の理由について「将来自分で使う、他人に権利を譲渡する、先に出願することで権利を仮押さえする3つが狙い」「権利が欲しいという人が現れれば、ビジネスになる」などとし、売買目的であることを認めた。手数料の不払いは「権利化してメリットあるものだけを厳選している」と開き直った。
今回はどう答えるのか。固定電話にかけると、「お客さまのおかけになった電話番号は現在使われていません」。ちなみに、登記されている住所は築40年の住宅向け3階建ての賃貸アパート。間取りは1Rで家賃は3万円ほどの格安物件だった。日々の生活にも困窮しているのか。