J.I.メールニュース No.672 2014.09.18発行
2014年9月19日 お仕事このメールは 日本生涯現役推進協議会 様宛にお送りしました。
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J.I.メールニュース No.672 2014.09.18発行
「 サ ス テ ィ ナ ブ ル か ら サ バ イ バ ル へ 」
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<巻頭寄稿文>
「 サ ス テ ィ ナ ブ ル か ら サ バ イ バ ル へ 」
森と風のがっこうコーチョー、岩手子ども環境研究所 理事長
吉 成 信 夫
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毎年「森と風のがっこう」で開催している夏の子どもサマースクールでは、今年も子どもたちと「にわとりのいのち」をいただくことに取り組んだ。私達はいのちを殺し、そのいのちをいただいて生き続けていることに向き合うことなしに、エコロジーを語れないと思ったからだ。
(宮沢賢治の童話よだかの星の一節に、夜の空を飛ぶよだかの口に羽虫が入り、これを泣きながら飲み込む場面がある)
すべての生きる原点に、いのちを感じることがある。森の気配、朝の清冽な空気感を感じるからこそ、じゃあ今朝は野外にテーブルを出してみんなでご飯にしようねとか、この川のそばでお茶会をしようかとか、気持ちよさを共有する感情が生まれて来る。この「感情を共有する」ところからすべての歩みを始めたいというのがこのがっこうの根本にある。
原発なしで暮らしたいと考えているひとは多いだろう。でも暮らし方の代替案を描くのは難しい気がする。どう自然エネルギーを活用すれば幸せな生活につながるのか。幸せな生活の質感はどうイメージできるのか。本で読んでも、サステイナブルという言葉を知識として取り込もうとしても、どうすれば現実に「場」をデザインできるかを生き生きと具体的に思い浮かべることはできない。教本となるマニュアルなどどこにもないからだ。これは、やってみなければ誰にもわからない。
森と風のがっこうは13年前から廃校を再利用して、お金がないならないなりにそこにあるものを再利用しながらやってきた。コンポストトイレやバイオガスプラントを自作し、空き缶風呂を作り、環境共生建築のエコハウスやカフェを創り出してきた。春夏秋冬を通じて子どもたちのための自然エネルギースクールや、大人や家族向けのワークショップを、山の中で開催し続けてきた。その歩みを通して実現できたことや失敗。ソフトとハード、それぞれどんな細部にも底に流れる恊働の考え方や、デザインのプロセスを明らかにしておくことは、今後食とエネルギーの地産地消を実践しようとする人々にとって、きっと意味あるものとなるはずだ。
3.11の後、国や補助金に頼らず、地域に住む自分たちの手で未来を創り直そうとする被災地の自治会やNPOの方々がここにやって来て、それぞれにイメージを描いて帰って行く。誰もそう私には言わないけれど、自分ならもっとここはうまくできるなどとイメージしているはずだ。これからの暮らし方のビジョンを可視化すること、「森と風のがっこう」のすべての意図はここにある。
「森と風のがっこう」はどんな場所なのですかと問われれば、今はこう言いたい。子どもたちと今、そしてこれからを生き延びていくためのデザインを学びあうための「がっこう」なのだと。子どもたちがしたたかにサバイブするために必要な知恵や技術、恊働の方法を彼らといっしょに学びあって行きたいと思うのだ。
森と風のがっこうでは現在、2014後期研修生を募集している。興味ある方はぜひHPを見ていただきたい。
http://www.morikaze.org/event.html#kouki
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【吉成信夫(よしなりのぶお)プロフィール】
東京生まれ。CIコンサルティング会社役員等を経て、1996年に家族で岩手に移住。石と賢治のミュージアム(岩手県一関市)研究専門員、県立大型児童館いわて子どもの森初代館長として抜本的改革に関わる。2001年、葛巻町の協力を得て森と風のがっこうを開校。北欧のライフスタイルに学ぶ新たな道を模索している。著書に「ハコモノは変えられる!子どものための公共施設改革」(学文社)等がある。
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J.I.メールニュース No.672 2014.09.18発行
「 サ ス テ ィ ナ ブ ル か ら サ バ イ バ ル へ 」
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<巻頭寄稿文>
「 サ ス テ ィ ナ ブ ル か ら サ バ イ バ ル へ 」
森と風のがっこうコーチョー、岩手子ども環境研究所 理事長
吉 成 信 夫
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毎年「森と風のがっこう」で開催している夏の子どもサマースクールでは、今年も子どもたちと「にわとりのいのち」をいただくことに取り組んだ。私達はいのちを殺し、そのいのちをいただいて生き続けていることに向き合うことなしに、エコロジーを語れないと思ったからだ。
(宮沢賢治の童話よだかの星の一節に、夜の空を飛ぶよだかの口に羽虫が入り、これを泣きながら飲み込む場面がある)
すべての生きる原点に、いのちを感じることがある。森の気配、朝の清冽な空気感を感じるからこそ、じゃあ今朝は野外にテーブルを出してみんなでご飯にしようねとか、この川のそばでお茶会をしようかとか、気持ちよさを共有する感情が生まれて来る。この「感情を共有する」ところからすべての歩みを始めたいというのがこのがっこうの根本にある。
原発なしで暮らしたいと考えているひとは多いだろう。でも暮らし方の代替案を描くのは難しい気がする。どう自然エネルギーを活用すれば幸せな生活につながるのか。幸せな生活の質感はどうイメージできるのか。本で読んでも、サステイナブルという言葉を知識として取り込もうとしても、どうすれば現実に「場」をデザインできるかを生き生きと具体的に思い浮かべることはできない。教本となるマニュアルなどどこにもないからだ。これは、やってみなければ誰にもわからない。
森と風のがっこうは13年前から廃校を再利用して、お金がないならないなりにそこにあるものを再利用しながらやってきた。コンポストトイレやバイオガスプラントを自作し、空き缶風呂を作り、環境共生建築のエコハウスやカフェを創り出してきた。春夏秋冬を通じて子どもたちのための自然エネルギースクールや、大人や家族向けのワークショップを、山の中で開催し続けてきた。その歩みを通して実現できたことや失敗。ソフトとハード、それぞれどんな細部にも底に流れる恊働の考え方や、デザインのプロセスを明らかにしておくことは、今後食とエネルギーの地産地消を実践しようとする人々にとって、きっと意味あるものとなるはずだ。
3.11の後、国や補助金に頼らず、地域に住む自分たちの手で未来を創り直そうとする被災地の自治会やNPOの方々がここにやって来て、それぞれにイメージを描いて帰って行く。誰もそう私には言わないけれど、自分ならもっとここはうまくできるなどとイメージしているはずだ。これからの暮らし方のビジョンを可視化すること、「森と風のがっこう」のすべての意図はここにある。
「森と風のがっこう」はどんな場所なのですかと問われれば、今はこう言いたい。子どもたちと今、そしてこれからを生き延びていくためのデザインを学びあうための「がっこう」なのだと。子どもたちがしたたかにサバイブするために必要な知恵や技術、恊働の方法を彼らといっしょに学びあって行きたいと思うのだ。
森と風のがっこうでは現在、2014後期研修生を募集している。興味ある方はぜひHPを見ていただきたい。
http://www.morikaze.org/event.html#kouki
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【吉成信夫(よしなりのぶお)プロフィール】
東京生まれ。CIコンサルティング会社役員等を経て、1996年に家族で岩手に移住。石と賢治のミュージアム(岩手県一関市)研究専門員、県立大型児童館いわて子どもの森初代館長として抜本的改革に関わる。2001年、葛巻町の協力を得て森と風のがっこうを開校。北欧のライフスタイルに学ぶ新たな道を模索している。著書に「ハコモノは変えられる!子どものための公共施設改革」(学文社)等がある。
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