準備4年 ロボット参入:ソフトバンク孫兵法
2014年7月19日 お仕事 「生涯現役社会づくり」推進運動をめざして2004年6月に旗揚げした日本生涯現役推進協議は、いち早く当時任意団体のライフ・ベンチャー・クラブ中心にその推進役を担う『生涯現役プロデューサー』構想を樹立しましたが、まだまだ亀の歩みの如しです。
それに比べてソフトバンクのロボット参入は、すでに4年前から社内公募コンテスト優勝者の提案が見事に4年潜行準備のもと、業務領域を超越する市場マーケット概念ソフトバンク孫氏兵法型の意気込みが窺がえるのも、興味深いものがあります。
「生涯現役社会づくり」にロボット進出の影響がどう現れてくるか?・・・は今後のお楽しみとして、生涯現役ベンチャー理念にソフトバンク孫兵法の市場開拓精神がなければ、超高齢社会日本では時代遅れになりかねないことも覚悟して、11月サミット準備を推進しようではありませんか!
関係URL=http://digital.asahi.com/articles/DA3S11237558.html?_requesturl=articles%2FDA3S11237558.htmlamp
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【朝日新聞 Digital News/2014年7月12日05時00分】
ロ ボ ッ ト 参 入 、 孫 氏 の 兵 法
ソ フ ト バ ン ク 、 準 備 に 4 年
ソフトバンクがロボットビジネスに参入する。ヒト型ロボットを家庭向けに売り出し、規格の異なるさまざまなロボットを駆動させる共通OS(基本ソフト)も開発。米携帯電話大手を買収し世界的な通信大手に飛躍した同社が、なぜいまロボットなのか。唐突に見えた新事業には、4年もの周到な準備があった。
■ 社 内 コ ン ペ 契 機
登壇した菅沼美和氏は絶叫した。「日本の少子高齢化を解決するのはロボットです」。ふだんは寡黙なウェブデザイナーの彼女が、スライドをめくりながら感情を込めて訴える。
2010年6月10日、都内のソフトバンク本社25階で行われた「新30年ビジョンコンテスト」の決勝戦。創業30年を迎える同社が次に何をなすべきか、2万3千人の全グループ社員に募った新事業の提案会だ。
「ロボットの企画、仕入れ、プログラムの開発・インストール、そしてレンタル。上流から下流まで握るんです」。そこでたたみかける。「ソフトバンクの得意とするところでしょ!」
その様子に、孫正義社長ら集まった約200人が笑い転げる。決勝に進んだ他の上位者が理づめの発表をするなか、優勝を決めた菅沼氏は異彩を放った。
この日を境に、ソフトバンクは一気に動き出す。
15日後に発表した新30年ビジョンで、孫氏は「私たちはテレパシー通信会社になっているかも」と大風呂敷を広げた。「知的ロボットと共存する時代が来る」
だがこのときは、まだ幹部社員でさえ、「ホンマかいな」と半信半疑だった。翌年、福島第一原発事故が起きると孫氏は自然エネルギーに没頭し、ロボットは忘れ去られたかに見えた。
■ 極 秘 の 計 画 進 む
実はその前後から、孫氏はひそかに米国のロボット学者から猛勉強を始めていた。お掃除ロボット「ルンバ」がなぜ成功したのか、質問攻めにした。念頭にあったのは、研究用でも産業用でもなく、消費者向けのロボットだった。
孫氏がロボットベンチャーを物色すると、フランスのアルデバラン・ロボティクス社に出くわした。
06年に発売された同社のヒト型ロボット「ナオ」を見て、「デザインがいい」と孫氏。米インテル・キャピタルや仏クレディ・アグリコルの出資分を買い取るなど78・5%を保有する。以来、「フランスプロジェクト」と呼ばれる極秘計画が進められてきた。
その成果が、今年6月5日発表された新型ロボット「ペッパー」だった。
音声や画像の認識技術を通じ、接する人間の喜怒哀楽の様子をクラウド上の人工知能(AI)にためこむ。孫氏は「何台ものペッパーを通じ、AIにたまった情報を共有することで各ペッパーが進化する」と説明する。
通信の世界に価格破壊をもたらした孫氏らしく、アップルのiPhone製造を受託する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に生産を任せ、ロボットでも価格破壊を仕掛ける。15年2月の発売時の販売価格は、部品代にもならない19万8千円。孫氏は「部品代が下がる先を見越している。いろんなビジネスが参入できるようにしたい」と話す。
世界中の開発者やソフト会社が加われるよう9月にも仕様をオープンにし、機能を増やせるアプリの開発を促す。パソコンやスマホと同じビジネスモデルだ。
■ 新 た な 会 社 設 立
一方でソフトバンクは13年、新会社アスラテックを設立した。そこでチーフロボットクリエーターとしてスカウトされたのが、吉崎航(わたる)氏(28)だった。
小3でプログラムを始めた吉崎氏はロボットオタク。中学校の自由研究で「油圧を使えば8メートルのロボット開発が可能」と発表し、NHKロボコンの強豪出場校の徳山高専に進学。奈良先端科学技術大学院大学へと進み、ロボットOS「V―Sido」(ブシドー)を個人で開発した。
吉崎氏は言う。「パソコンやスマホはCPU(中央演算処理装置)やソフトなどパーツごとに分業していますが、ロボットは一から全部つくらないといけない。駆動装置の違いを越え、汎用(はんよう)的なOSをつくりたかった」。ブシドーはいわば、ロボットの「運動神経」を担うOSだ。
アスラテックは年内にも、チップに搭載した「ブシドー・コネクト」を1万円以下で販売する。販売先には、メーカーだけではなくマニアも見込む。ペッパーもブシドーも、当初は「オタク」に買われそう。「パソコンもそうでしょ。最初は好きでたまらないギーク(オタクの意)からですよ」と孫氏は言う。
ロボットブームにわく米国は、一足先にOS開発も進む。孫氏は「同じ時代観。いろんなロボットが出てくるから、あらゆるものを動かすOSが必要」と言う。パソコンの「インテルインサイド」のように、やがてはロボットに「ブシドーインサイド」と内蔵されることを夢見る。
日本ではソニーが撤退、ホンダの「アシモ」は一向に商用化されず、東京大発ロボットベンチャーのシャフトは、グーグルに買収された。ロボットを成長戦略の目玉に位置づける安倍政権は、夏にも「ロボット革命実現会議」を開き、官のてこ入れを図る。
だが、企業がリスクをとってビジネスとして成立させないと、成長を支える新しい産業は生まれない。ソフトバンクの参入からは、そんな当たり前のことも浮かび上がる。 (大鹿靖明)
それに比べてソフトバンクのロボット参入は、すでに4年前から社内公募コンテスト優勝者の提案が見事に4年潜行準備のもと、業務領域を超越する市場マーケット概念ソフトバンク孫氏兵法型の意気込みが窺がえるのも、興味深いものがあります。
「生涯現役社会づくり」にロボット進出の影響がどう現れてくるか?・・・は今後のお楽しみとして、生涯現役ベンチャー理念にソフトバンク孫兵法の市場開拓精神がなければ、超高齢社会日本では時代遅れになりかねないことも覚悟して、11月サミット準備を推進しようではありませんか!
関係URL=http://digital.asahi.com/articles/DA3S11237558.html?_requesturl=articles%2FDA3S11237558.htmlamp
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【朝日新聞 Digital News/2014年7月12日05時00分】
ロ ボ ッ ト 参 入 、 孫 氏 の 兵 法
ソ フ ト バ ン ク 、 準 備 に 4 年
ソフトバンクがロボットビジネスに参入する。ヒト型ロボットを家庭向けに売り出し、規格の異なるさまざまなロボットを駆動させる共通OS(基本ソフト)も開発。米携帯電話大手を買収し世界的な通信大手に飛躍した同社が、なぜいまロボットなのか。唐突に見えた新事業には、4年もの周到な準備があった。
■ 社 内 コ ン ペ 契 機
登壇した菅沼美和氏は絶叫した。「日本の少子高齢化を解決するのはロボットです」。ふだんは寡黙なウェブデザイナーの彼女が、スライドをめくりながら感情を込めて訴える。
2010年6月10日、都内のソフトバンク本社25階で行われた「新30年ビジョンコンテスト」の決勝戦。創業30年を迎える同社が次に何をなすべきか、2万3千人の全グループ社員に募った新事業の提案会だ。
「ロボットの企画、仕入れ、プログラムの開発・インストール、そしてレンタル。上流から下流まで握るんです」。そこでたたみかける。「ソフトバンクの得意とするところでしょ!」
その様子に、孫正義社長ら集まった約200人が笑い転げる。決勝に進んだ他の上位者が理づめの発表をするなか、優勝を決めた菅沼氏は異彩を放った。
この日を境に、ソフトバンクは一気に動き出す。
15日後に発表した新30年ビジョンで、孫氏は「私たちはテレパシー通信会社になっているかも」と大風呂敷を広げた。「知的ロボットと共存する時代が来る」
だがこのときは、まだ幹部社員でさえ、「ホンマかいな」と半信半疑だった。翌年、福島第一原発事故が起きると孫氏は自然エネルギーに没頭し、ロボットは忘れ去られたかに見えた。
■ 極 秘 の 計 画 進 む
実はその前後から、孫氏はひそかに米国のロボット学者から猛勉強を始めていた。お掃除ロボット「ルンバ」がなぜ成功したのか、質問攻めにした。念頭にあったのは、研究用でも産業用でもなく、消費者向けのロボットだった。
孫氏がロボットベンチャーを物色すると、フランスのアルデバラン・ロボティクス社に出くわした。
06年に発売された同社のヒト型ロボット「ナオ」を見て、「デザインがいい」と孫氏。米インテル・キャピタルや仏クレディ・アグリコルの出資分を買い取るなど78・5%を保有する。以来、「フランスプロジェクト」と呼ばれる極秘計画が進められてきた。
その成果が、今年6月5日発表された新型ロボット「ペッパー」だった。
音声や画像の認識技術を通じ、接する人間の喜怒哀楽の様子をクラウド上の人工知能(AI)にためこむ。孫氏は「何台ものペッパーを通じ、AIにたまった情報を共有することで各ペッパーが進化する」と説明する。
通信の世界に価格破壊をもたらした孫氏らしく、アップルのiPhone製造を受託する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に生産を任せ、ロボットでも価格破壊を仕掛ける。15年2月の発売時の販売価格は、部品代にもならない19万8千円。孫氏は「部品代が下がる先を見越している。いろんなビジネスが参入できるようにしたい」と話す。
世界中の開発者やソフト会社が加われるよう9月にも仕様をオープンにし、機能を増やせるアプリの開発を促す。パソコンやスマホと同じビジネスモデルだ。
■ 新 た な 会 社 設 立
一方でソフトバンクは13年、新会社アスラテックを設立した。そこでチーフロボットクリエーターとしてスカウトされたのが、吉崎航(わたる)氏(28)だった。
小3でプログラムを始めた吉崎氏はロボットオタク。中学校の自由研究で「油圧を使えば8メートルのロボット開発が可能」と発表し、NHKロボコンの強豪出場校の徳山高専に進学。奈良先端科学技術大学院大学へと進み、ロボットOS「V―Sido」(ブシドー)を個人で開発した。
吉崎氏は言う。「パソコンやスマホはCPU(中央演算処理装置)やソフトなどパーツごとに分業していますが、ロボットは一から全部つくらないといけない。駆動装置の違いを越え、汎用(はんよう)的なOSをつくりたかった」。ブシドーはいわば、ロボットの「運動神経」を担うOSだ。
アスラテックは年内にも、チップに搭載した「ブシドー・コネクト」を1万円以下で販売する。販売先には、メーカーだけではなくマニアも見込む。ペッパーもブシドーも、当初は「オタク」に買われそう。「パソコンもそうでしょ。最初は好きでたまらないギーク(オタクの意)からですよ」と孫氏は言う。
ロボットブームにわく米国は、一足先にOS開発も進む。孫氏は「同じ時代観。いろんなロボットが出てくるから、あらゆるものを動かすOSが必要」と言う。パソコンの「インテルインサイド」のように、やがてはロボットに「ブシドーインサイド」と内蔵されることを夢見る。
日本ではソニーが撤退、ホンダの「アシモ」は一向に商用化されず、東京大発ロボットベンチャーのシャフトは、グーグルに買収された。ロボットを成長戦略の目玉に位置づける安倍政権は、夏にも「ロボット革命実現会議」を開き、官のてこ入れを図る。
だが、企業がリスクをとってビジネスとして成立させないと、成長を支える新しい産業は生まれない。ソフトバンクの参入からは、そんな当たり前のことも浮かび上がる。 (大鹿靖明)