「生涯現役」の真意は、個人的な「生涯現役」の考えから、社会全般的な「生涯現役社会」を包含してこそ超高齢社会日本の現状に役立つと私たちは考えています。

 「生涯現役」という四字熟語は、まだ国語辞典に掲載されていないようです。この言葉は、日常会話の中で誰もが一般的に表現する「定年後も仕事を続け、働くこと」というような狭義の意味で使われる場合と、社会全体の立場からの視点を持つ、広義の意味で使用されている場合があります。

 超高齢時代となったわが国は、これから定年期を迎えた団塊世代中心に、高齢者が急増。労働人口の減少は、経済社会全般の衰退を招くだけではなく、年金・医療・福祉など社会保障の財政負担増が、国や公共団体、ひいては現役世代の上に重くのしかかってきています。

 個人の自主性を頼りにした狭義の「生涯現役」活動だけでは、社会全般に活性化を及ぼすような総合力は期待できません。百人百様ともいえる主観的な「生涯現役」の解釈では、急速な超高齢化対策に対する成果は少ないといえるでしょう。

 数年前から、先進的な公共団体では「生涯現役社会づくり」という表現での、官民協働活動における、「生涯現役」の用語が使われはじめました。私たち日本生涯現役協議会(略称:生涯現役協)は、狭義・広義の意味を持つ「生涯現役」を簡略に説明するために、"生涯現役とは、自分の生きがい人生が世の中に役立つこと"と表現しています。

 そして、個人の「生涯現役」実践活動を会員だけで研鑽するのではなく、広く社会に対し「生涯現役社会づくり」推進をめざしていくために、2004年、純民間団体として生涯現役協が発足しました。

 設立発起人の中核団体である、NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ(略称:LVC/2004年当時は任意団体)が発足した当時の1980年代は、"生涯現役の趣旨に賛成はするが、やりたい人だけがやればいいのではないか"という考えが主流の時代でした。

 しかし、シニア・団塊世代が次々と定年退職期を迎え、超高齢時代が到来した現在は、"生きがいづくりに生涯現役を真剣に考えて社会に役立つシニア"が求められています。"まさに高齢者の尊厳が問われる時代"であるのです。

 「 生 涯 現 役 」 の 目 的

 永年にわたって懸命に、会社や家族のために汗水流し忍耐強く働き続けた結果、やっと自由放免。「毎日が日曜日」と期待し定年を迎えたはずなのに、これからも「生涯現役」で活動せよとは!! と反論される方に謹んで申し上げたいのです。

 「生涯現役」活動は、あなたご自身の健康を保持し、人生価値を倍増させます。日本生涯現役推進協議会(略称:生涯現役協)には、シニア・団塊世代の方々がご自分の個性をいかし、定年後もパワフルに人生が謳歌できるよう、当協議会参加の各種団体が連携し、お役立ちさせていただきます。

 「生涯現役」の目的は、シニア・団塊世代の方たちが現役時代に培った技術や経験、人生で習得した貴重な智慧を無駄にせず、社会に還元・継承し世の中に役立てることで、結果として皆様を豊かで生きがいある人生成功者にすることです。周囲の方に喜ばれる活動であれば、起業や就業で行う仕事でもボランティア活動でもかまいません。

 人生で磨き上げた知識や潜在能力を活用し社会貢献する人は、輝いた人生を謳歌できます。とはいえ、今後私たちが人生を楽しみ、豊かに過ごすためには、自分だけの「生涯現役」を考えるだけでなく、超高齢社会による労働力減退や社会保障負担の増大など、政治・経済面の数々の難題解消についても考え、社会構造を改革に向けての意識を育む必要があります。

 生涯現役協は、起業・就業・ボランティア活動などの支援事業を通し、「高齢社会対策基本法」がめざす健全な「生涯現役社会づくり」の実現に向け、関係団体と協働し、全力で励みます。シニア・団塊世代の方たちが定年後も希望を抱き、積極的に自主活動できるよう、有益な「生涯現役」情報発信やフォーラム開催、セミナー、研究会のご案内やご相談窓口でのサポート活動を行っていきます。