打つ手未熟なマスコミの定年後雇用意見
2012年10月9日 お仕事 『生涯現役社会づくり支援ネットワーク』を活動プラットフォーム戦略拠点とする日本生涯現役推進協議会の立場から、本日付下記のような有力マスコミの社説を読むと、残念ながら余りにも建前論に止まった論説としか言いようのない物足りなさを感じる。
これは何もマスコミ論説者だけに限らない。行政担当の厚生労働省の高年齢者雇用審議会関係の方々の答申意見などでも、しばしば研究論議不足ではないかと実感させられる資料を幾度も見かけるからである。
当Blog9月9日付に第一生命経済研究所 経済調査部 熊野英生氏の「高齢者の働き方に対する疑問」~生涯現役モデルを一般化することは難しい~をご紹介して、果たしてどうだろうかとの疑問符で諸兄姉に呼びかけている。
いままでの処、その疑問符に明確な意見・提言はどなたからもいただいてないが、やはり当Blog8月14日付掲載の、「40歳定年 」を唱える東大大学院教授、柳川範之氏の提言も含め考察すべきではなかろうか。
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【日本経済新聞 2012年10月9日付 社説】-
「 打 つ 手 は あ る 定 年 後 の 雇 用 」
65歳までの希望者の継続雇用を企業に義務づける改正高年齢者雇用安定法が成立したのを受け、厚生労働省は省令見直しなど来年4月の施行に向けた準備を進めている。だが、定年の60歳以降の雇用確保のため政府が取り組むべきことは、もっとあるのではないか。
在職中からを含め、別の企業や仕事に移って第二の人生に踏み出しやすくする労働市場づくりや、再就職に必要な知識や技能を習得する能力開発の支援などだ。雇用確保には何が効果的か、視野を広げてもらいたい。
法改正は年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられるためだが、副作用が多いと私たちは指摘してきた。企業の人件費が増えて競争力が落ちれば景気を冷やす。新規採用が抑えられると若者の雇用が一段と悪化する。
加えて大きな懸念が、同じ企業で雇用を延長することで成長分野に労働力が移りにくくなり、産業の新陳代謝が妨げられることだ。
医療介護やサービス、新エネルギーなど、人材の需要増が見込める分野は多い。経済産業省によると、人口が減っても1人当たりの国民所得を増やすには200万人規模の職種転換が必要になる。日本を元気にするために、働く人たちが違う仕事に取り組める力をつけ、企業や業種の枠を越えて移っていける環境をつくりたい。
カギは民間の活用だ。求職者本人から手数料を取る民間職業紹介は対象が部長以上などの制約があるが、規制を緩めるべきだ。
ハローワークの職業紹介も民間に開放し、人材サービス会社が活動しやすくして転職を後押ししたい。能力開発面でも在職者向けの公共職業訓練は民間委託で進め、企業が求める専門性が身につくようにするなどの工夫が要る。
年金支給開始年齢は財政難で65歳からさらに引き上げられる可能性がある。そのときも支給開始までの継続雇用義務づけで対処しようというのだろうか。持続的な雇用確保策として人の移動を促す労働市場づくりに取り組むときだ。
これは何もマスコミ論説者だけに限らない。行政担当の厚生労働省の高年齢者雇用審議会関係の方々の答申意見などでも、しばしば研究論議不足ではないかと実感させられる資料を幾度も見かけるからである。
当Blog9月9日付に第一生命経済研究所 経済調査部 熊野英生氏の「高齢者の働き方に対する疑問」~生涯現役モデルを一般化することは難しい~をご紹介して、果たしてどうだろうかとの疑問符で諸兄姉に呼びかけている。
いままでの処、その疑問符に明確な意見・提言はどなたからもいただいてないが、やはり当Blog8月14日付掲載の、「40歳定年 」を唱える東大大学院教授、柳川範之氏の提言も含め考察すべきではなかろうか。
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【日本経済新聞 2012年10月9日付 社説】-
「 打 つ 手 は あ る 定 年 後 の 雇 用 」
65歳までの希望者の継続雇用を企業に義務づける改正高年齢者雇用安定法が成立したのを受け、厚生労働省は省令見直しなど来年4月の施行に向けた準備を進めている。だが、定年の60歳以降の雇用確保のため政府が取り組むべきことは、もっとあるのではないか。
在職中からを含め、別の企業や仕事に移って第二の人生に踏み出しやすくする労働市場づくりや、再就職に必要な知識や技能を習得する能力開発の支援などだ。雇用確保には何が効果的か、視野を広げてもらいたい。
法改正は年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられるためだが、副作用が多いと私たちは指摘してきた。企業の人件費が増えて競争力が落ちれば景気を冷やす。新規採用が抑えられると若者の雇用が一段と悪化する。
加えて大きな懸念が、同じ企業で雇用を延長することで成長分野に労働力が移りにくくなり、産業の新陳代謝が妨げられることだ。
医療介護やサービス、新エネルギーなど、人材の需要増が見込める分野は多い。経済産業省によると、人口が減っても1人当たりの国民所得を増やすには200万人規模の職種転換が必要になる。日本を元気にするために、働く人たちが違う仕事に取り組める力をつけ、企業や業種の枠を越えて移っていける環境をつくりたい。
カギは民間の活用だ。求職者本人から手数料を取る民間職業紹介は対象が部長以上などの制約があるが、規制を緩めるべきだ。
ハローワークの職業紹介も民間に開放し、人材サービス会社が活動しやすくして転職を後押ししたい。能力開発面でも在職者向けの公共職業訓練は民間委託で進め、企業が求める専門性が身につくようにするなどの工夫が要る。
年金支給開始年齢は財政難で65歳からさらに引き上げられる可能性がある。そのときも支給開始までの継続雇用義務づけで対処しようというのだろうか。持続的な雇用確保策として人の移動を促す労働市場づくりに取り組むときだ。