生涯現役論者が消費税増税問題点を斬る
2011年11月23日 お仕事今朝の日本経済新聞「大機小機」欄に、「自民党は消費税増税に反対できるか」という観点から、次の意見が掲載されていた。昨日の自民党石原伸晃幹事長が福岡での講演会で「消費増税賛成の代りに、話し合い解散」を模索する発言に対して、政治を弄ぶ安易な態度への自民党批判の下記内容に賛同を覚えた。
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環太平洋経済連携協定(TPP)の次のアジェンダ、消費税増税の論議が始まろうとしている。これまでの消費税導入、税率の引き上げは、所得税減税とセットとなった直間比率の見直しだったが、今回は、社会保障と税の一体改革として、戦後初のネット増税だ。それだけに首相は、なぜ税率を上げる必要があるのか、根拠をしっかりと説明し、国民を説得する必要がある。
まずは、増税分5%のうち社会保障の充実にどれだけ回リ、財政再建にどの程度役立つのかの説明である。国民の多くは前者に興味があり、市場や国際社会は後者に興味がある。加えて、経済との関係や低所得者対策など説得力ある説明が必要である。かって細川護煕政権が、消費税増税の根拠についての「腰だめ発言」で瓦解した歴史がある。
民主党が増税やむなしでまとまった場合、キャスチングボードは自民党に移る。自民党は消費税率引き上げ法案に対しどう対応するのか。ここまでの谷垣禎一総裁の戦略は「民主党はマニフェストにない消費税率引き上げ法案を提出する前に国民に信を問うべきだ」というものである。
しかし、総選挙になったとして、国民は「手続き論」で消費税率引き上げに反対した自民党に投票するであろうか。そもそも政権交代は、自民党が既得権益から離れ、大所高所から国家を語る政党に変わることを期待してお灸を据えた結果生じた。にも拘らず、自民党はこの2年間、高齢化・格差と空洞化に悩むわが国の将来像に何ら提言してこなかった。ひたすら政局運営だけの自民党に票を入れる有権者が、果たしてどの程度いるのだろうか。
より大きな問題は、自公連立で政権が転がり込んだ場合に起きる。消費税率の引き上げ無しに予算が組めるのだろうか。国際社会や投機筋に、日本の財政運営についての説得力あるメッセージを送ることができるのだろうか。
このように、自民党にとって消費税問題を政争の具にすることのメリットはなく、デメリットは限りなく大きい。
そもそも来年3月末までに消費税などの成案を得るという付則は、自民党時代のものだ。夏の参院選のマニフェストでも消費税の10%への引き上げを言明している。自民党に必要なのは、民主党に先駆けて一体改革案を策定・公表し、国民に、自民党は変わったと肌身で感じさせることではなかろうか。(ミスト)
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環太平洋経済連携協定(TPP)の次のアジェンダ、消費税増税の論議が始まろうとしている。これまでの消費税導入、税率の引き上げは、所得税減税とセットとなった直間比率の見直しだったが、今回は、社会保障と税の一体改革として、戦後初のネット増税だ。それだけに首相は、なぜ税率を上げる必要があるのか、根拠をしっかりと説明し、国民を説得する必要がある。
まずは、増税分5%のうち社会保障の充実にどれだけ回リ、財政再建にどの程度役立つのかの説明である。国民の多くは前者に興味があり、市場や国際社会は後者に興味がある。加えて、経済との関係や低所得者対策など説得力ある説明が必要である。かって細川護煕政権が、消費税増税の根拠についての「腰だめ発言」で瓦解した歴史がある。
民主党が増税やむなしでまとまった場合、キャスチングボードは自民党に移る。自民党は消費税率引き上げ法案に対しどう対応するのか。ここまでの谷垣禎一総裁の戦略は「民主党はマニフェストにない消費税率引き上げ法案を提出する前に国民に信を問うべきだ」というものである。
しかし、総選挙になったとして、国民は「手続き論」で消費税率引き上げに反対した自民党に投票するであろうか。そもそも政権交代は、自民党が既得権益から離れ、大所高所から国家を語る政党に変わることを期待してお灸を据えた結果生じた。にも拘らず、自民党はこの2年間、高齢化・格差と空洞化に悩むわが国の将来像に何ら提言してこなかった。ひたすら政局運営だけの自民党に票を入れる有権者が、果たしてどの程度いるのだろうか。
より大きな問題は、自公連立で政権が転がり込んだ場合に起きる。消費税率の引き上げ無しに予算が組めるのだろうか。国際社会や投機筋に、日本の財政運営についての説得力あるメッセージを送ることができるのだろうか。
このように、自民党にとって消費税問題を政争の具にすることのメリットはなく、デメリットは限りなく大きい。
そもそも来年3月末までに消費税などの成案を得るという付則は、自民党時代のものだ。夏の参院選のマニフェストでも消費税の10%への引き上げを言明している。自民党に必要なのは、民主党に先駆けて一体改革案を策定・公表し、国民に、自民党は変わったと肌身で感じさせることではなかろうか。(ミスト)