原彰浩氏:8年後必ず到来/2025問題2
2017年9月22日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
認 知 症
厚生労働省は2015年1月、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を発表しました。この中では、認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値が発表されています。これは、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となります。 認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しです。
社会現象としては、全国民の10人に1人が、程度はともかく認知症になっているようです。 現時点でも、軽度のものを含めれば、少なくとも820万人が認知症を患っているという厚労省のデータがあります。
国際医療福祉大学教授の高橋泰氏は、2025年には今の1.5倍、1,200万人以上が認知症になっていてもおかしくないと指摘しています。 若年性認知症も増えているようで、生活習慣病からのさまざまな病気が問題となってくるでしょう。この認知症の増加は、未来の社会構造に大きな変化をもたらせます。
生産者人口への影響もそうですが、医療、特に介護の世界の必要性が増し、同時に人手不足も深刻化していきます。
皆保険制度の崩壊危機、医療機関の破綻続出
その医療・介護の世界も深刻な状況に追い込まれていきます。すべての国民が等しく医療を受けることができる国民皆保険制度について、現場の医師の半数が維持できないと考えているそうです。
人手不足もそうですが、お金がない、つまり国家財政の逼迫が、医療制度を直撃します。皆保険制度維持のために考えられるのは、保険料増、窓口自己負担額増、および増税(おそらく消費税)ですが、これらは国民の負担感が増し、選挙を意識する政治家にとっては踏み込めない領域のようで、年金制度改革と一緒で、おそらくは抜本的改革は進まないでしょう。
国民負担増なしで皆保険制度を維持させるには、医療給付費を抑えるしかありません。医療給付費抑制は医療機関経営を圧迫します。2025年問題は、医療機関の倒産が増えるという側面もあるのです。 皆保険制度維持のために国民負担増、現存する医療機関の淘汰、さらには外資による日本医療法人M&Aというのも考えられます。
さらに、医療制度維持のために制度そのものの縮小、つまり、保険適応の対象範囲を縮小することも考えられます。 医療制度の未来像の詳しいことは、別の項目で記事を書いていますので、そちらもご参照ください。(年金制度よりも「医療制度」の方が深刻 医師の半数が「国民皆保険」を維持できないとの考えを持っている現状とは)
年金制度破綻はいよいよ現実のものに
2025年というのは、今まさに行われている、60歳から65歳への年金支給開始年齢引き上げが最終段階にさしかかっている頃です。おそらく、年金の実質的破綻は誰の目にも明らかになっているでしょうから、70歳への支給開始年齢引き上げも実行に移されるはずというのが、ある社会保険労務士の方の見解です。
年金をはじめとする社会保障費は、現在の約120兆円から、2025年には総額150兆円に増えると考えられます。 遅くとも2030年代前半には、年金積立金は枯渇するという話も聞こえています。消費税1%分の税収は約2兆円、向こう10年で今より15%消費税率を引き上げないと、年金制度は維持できないという試算もあります。
多くの国民が不安に思いつつ、半ば諦めムードになりかけている今の公的年金制度ですが、それがいよいよ、「ムード」から「リアル」になっていくときが来るのでしょう。 つづく
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認 知 症
厚生労働省は2015年1月、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を発表しました。この中では、認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値が発表されています。これは、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となります。 認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しです。
社会現象としては、全国民の10人に1人が、程度はともかく認知症になっているようです。 現時点でも、軽度のものを含めれば、少なくとも820万人が認知症を患っているという厚労省のデータがあります。
国際医療福祉大学教授の高橋泰氏は、2025年には今の1.5倍、1,200万人以上が認知症になっていてもおかしくないと指摘しています。 若年性認知症も増えているようで、生活習慣病からのさまざまな病気が問題となってくるでしょう。この認知症の増加は、未来の社会構造に大きな変化をもたらせます。
生産者人口への影響もそうですが、医療、特に介護の世界の必要性が増し、同時に人手不足も深刻化していきます。
皆保険制度の崩壊危機、医療機関の破綻続出
その医療・介護の世界も深刻な状況に追い込まれていきます。すべての国民が等しく医療を受けることができる国民皆保険制度について、現場の医師の半数が維持できないと考えているそうです。
人手不足もそうですが、お金がない、つまり国家財政の逼迫が、医療制度を直撃します。皆保険制度維持のために考えられるのは、保険料増、窓口自己負担額増、および増税(おそらく消費税)ですが、これらは国民の負担感が増し、選挙を意識する政治家にとっては踏み込めない領域のようで、年金制度改革と一緒で、おそらくは抜本的改革は進まないでしょう。
国民負担増なしで皆保険制度を維持させるには、医療給付費を抑えるしかありません。医療給付費抑制は医療機関経営を圧迫します。2025年問題は、医療機関の倒産が増えるという側面もあるのです。 皆保険制度維持のために国民負担増、現存する医療機関の淘汰、さらには外資による日本医療法人M&Aというのも考えられます。
さらに、医療制度維持のために制度そのものの縮小、つまり、保険適応の対象範囲を縮小することも考えられます。 医療制度の未来像の詳しいことは、別の項目で記事を書いていますので、そちらもご参照ください。(年金制度よりも「医療制度」の方が深刻 医師の半数が「国民皆保険」を維持できないとの考えを持っている現状とは)
年金制度破綻はいよいよ現実のものに
2025年というのは、今まさに行われている、60歳から65歳への年金支給開始年齢引き上げが最終段階にさしかかっている頃です。おそらく、年金の実質的破綻は誰の目にも明らかになっているでしょうから、70歳への支給開始年齢引き上げも実行に移されるはずというのが、ある社会保険労務士の方の見解です。
年金をはじめとする社会保障費は、現在の約120兆円から、2025年には総額150兆円に増えると考えられます。 遅くとも2030年代前半には、年金積立金は枯渇するという話も聞こえています。消費税1%分の税収は約2兆円、向こう10年で今より15%消費税率を引き上げないと、年金制度は維持できないという試算もあります。
多くの国民が不安に思いつつ、半ば諦めムードになりかけている今の公的年金制度ですが、それがいよいよ、「ムード」から「リアル」になっていくときが来るのでしょう。 つづく