毎日新聞2014年10月08日付東京夕刊Net紹介に「働かないおじさん」の人生退役型シニア増の警告記事が出るようになってきました。
  『生涯現役社会づくり』をめざす私たち生涯現役仲間に、その対策の如何を真剣に問う時節到来ということを意味しています。当事者ご本人だけを責めることは決してできない様々なご意見・ご提言があると存じます。
  ノーベル賞受賞に人生輝く人もいる喜びの反面、良く考えれば、どういう人にも人知れぬ苦難を克服した成果の晴れ姿だと思うのです。わが身の不運・不遇を嘆く現状だけに沈まず、一念発起して、人生の長短にこだわりなく『終り良ければ全て佳し』の苦難に満ちた境遇を切り拓く、そこに『生涯現役人生』が『生涯現役社会づくり』への見事な社会貢献を果たしていると確信するのです。
ご参考URL=http://mainichi.jp/shimen/news/20141008dde012040003000c.html
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【 特 集 ワ イ ド 】:
  「 働 か な い お じ さ ん 」 増 殖 中 !?    
         原 因 は 大 企 業 の 年 齢 構 成 の 悪 さ ? /
              I T 化 の ス ピ ー ド に つ い て い け ず …

 最近、会社の「働かないおじさん」が、インターネットや雑誌でにわかに話題になっている。東洋経済オンラインでは連載記事「なぜあのオジサンは、働かないのか?」が大ヒット。週刊ダイヤモンドでは「オジサン世代に増殖中!職場の『お荷物』社員」などが特集された。今、なぜ「働かないおじさん」なのか。【田村彰子】

 「とにかく仕事をやってるふりがうまい」。大手金融機関勤務の男性会社員(35)は、40代後半の男性上司について苦笑いしながら話す。「会議でのプレゼンは彼の役割ですが、作っているのは全部部下で彼は読むだけ。内容も理解してないので、質疑応答は部下が全部対応します。でもちゃっかり手柄は自分のものにするんです」。飲み会では「俺が昔関わった大きなプロジェクト」について演説する。さらに上の上司から仕事を簡単に引き受けてきては「あとよろしく」と部下に押しつけてさっさと帰る。「なるべく仕事を押しつけられないよう、目に留まらないようにしてます」という。

 いるよなあ、そういうおじさん。しかも最近よく聞くような……。

 シニア社員の教育事業を手がける社会人材学舎代表理事の野田稔さん(57)は「大手企業の年齢構成に問題がある」と指摘する。野田さんによると、実は「働かないおじさん」問題が本当に深刻化するのは数年後、1989〜92年入社の「バブル組」が役員に登用される時期だ。「ある都市銀行には89年入社が1700人もいて、一つの地方銀行分に匹敵する。正社員の半分以上が50代になる大手電機メーカーもあります」と野田さん。

 かつては大企業などには「部長付」などさまざまな管理職があり、年齢を重ねるとプレーヤーからは離れていった。しかし近年は不況と合理化でポストが激減。野田さんは「早い会社では50歳で役職定年になって蓄積した経験を生かす場をなくし、急に若者と同様に現場でバリバリ働くことを求められる。それぞれが果たすべき役割や発揮する力は違うのに、急に同じ土俵に戻してしまう構造の問題がすでに起きている。バブル世代は人数が多いので特にそうなります。一方で、数少ない若手は『おじさんが働かないせいで自分たちが忙しい』と思いがちです」と話す。経済環境の変化も激しく、情報技術(IT)の進化は日進月歩。「新卒で採用され、受け身のまま業務を転々としてきた人たちにとって、今の会社の変化は急です。英語のできないおじさんの部署が突然海外に移転したら、何もできないでしょう? だから働きたくても働けないのです。無理に皆にグローバル化を求めなくてもいいはずなのに」と野田さんは解説する。

 若者だけではない。おじさんたちと同世代の働く女性たちの目はより厳しい。本来「働かないおばさん」だっているはずだが、この世代はそもそも女性が会社に少ない。男女雇用機会均等法施行前に入社したある女性管理職(52)は、「私が入社した時『試験の順位で採用すると女性ばかりになって困るから、成績が悪くても男性を採用している』と人事担当者が平気で言っていた。そうして採用された男性が今、働かないおやじになっている。その姿を見ると、採用されなかった女性の姿が目に浮かんできて余計頭にくる」と話す。

 一言で「働かないおじさん」といっても、さまざまなタイプがあるようだ。6月に出版され、話題の「働かないオジサンになる人、ならない人」の著者で、生命保険会社に勤務する楠木新さん(60)によると、仕事に対する意欲が全くない「無気力タイプ」▽常に批判的だが、自分では何もしない「批評家タイプ」▽まだ現役なのに嘱託になったような気持ちでいる「定年前嘱託タイプ」▽何人かで集まると長々と雑談したり、長時間昼食に行くなどして目立つ「団体行動タイプ」がある=別表略。

 「一番多いのは『団体行動タイプ』。自分では働いているつもり。でも、本音では会社から期待されていないと分かっているので、表面的な仕事しかしない」。誰もが最初から働かないわけではない。若い頃は順調に組織の階段を上っていたが、40代後半で自分は誰の役に立っているのか疑問を抱き、出社できなくなった経験のある楠木さんは「20〜30代では、会社で懸命に働き、社会の仕組みを学ぶことは大事なこと。でも、40〜50代になっても受け身のまま仕事を続けると意欲は当然低下する。40歳を『こころの定年』ととらえ、一旦立ち止まって定年後も含めた自分の人生を、どのように働き、過ごしていきたいのか考えてほしい」と話す。

 現役会社員で、自称「窓際OL」として会社内を赤裸々に描くエッセイストの斎藤由香さん(52)は「働かないおじさん」に親近感を持つ。「私も仕事はできないし、語学力ゼロ。みんなに、『働かないおばさん』と思われています。すでに同期はグループ会社の社長になったり、マネジャーとして活躍したりしている。人ごとではないです」と苦笑いする。それでも斎藤さんは「でも、仕事ができる社員ばかりでも社内の雰囲気はつらい。多くの企業が成果主義を求めるあまり、サラリーマンのうつ病は増えている気がしています。いろいろな人が会社には必要ではないでしょうか」という。

 たびたび斎藤さんのエッセーに登場していた「胃袋部長」は、「働かないおじさん」だった。昼は2時間、夜は3時間の会食を毎日続け、会社にはいない。パソコンは操作できず、メールも見ない。それでも定年退職の際には役員や部長、社外の方々から連日退職祝いの食事会に招かれたという。「いろいろな人と会食をしているから、ネットに出ていない特別な情報を知っている。クリエーティブ力、人間力があって尊敬されていました。そんな胃袋部長を自由にさせていた会社もすごいと思う。みんなと同じような『働き』じゃなくても、知識や経験を積んだおじさんは社員の心の安心感のために必要です」

 野田さんは「中小やベンチャー、地方には、おじさんならではの知識や経験を求めている企業がある。自分にできること、やりたいことを見つめ直して、柔軟にセカンドキャリアを考えてほしい」と力を込める。

 いつまでも若い頃のようには働けない。「働かないおじさん」問題を機に、ライフプランを一度見直してみてはどうだろうか。
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 ◇「働かないおじさん」のタイプ別特徴
 A 無気力タイ
□自分が関心のないメールは開かない
□書類やパソコンを見ずに、虚空を眺めている時がある
□顧客とのアポイントの時間に遅れることがある
 B 批評家タイプ
□会議での問題指摘は鋭いが、指摘だけなので若手社員の仕事が増える
□話は立派だが、決して自分の手足は動かさない
□「俺はそんな話は聞いていない!」とよく言う
□昼食時の飲食店にクレームをつける
 C 定年前嘱託タイプ
□自分以外の電話や時間後の電話は極力とらない
□喫煙室や社内の売店に立ち寄る時間が長い
□雇用延長せずに、60歳で定年退職することを妻が許してくれない
□新たに入ったパートさんに、嘱託だと思われていた
 D 団体行動タイプ
□普段はどこにいるか分からないが、部長が近くにいる時は必ず席にいる
□話題は、朝見たニュースかプロ野球
□飲食代は、できるだけ会社の経費で落とそうとする
□上司と後輩社員とで、態度を変えることが多い
 ※楠木新さん監修