こんにちは、松村拓也です。
このメールは、ご縁のあった皆様に月2回ほどbccでお届けしています。
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◆◆1.トピックス・・・・・・・【日本土地資源協会】の概要◆◆
◆◆2.レポート・・・・・・・・世田谷区立三宿中 夜間学級 訪問記◆◆
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◆◆1.トピックス・・・・・・・【日本土地資源協会】の概要◆◆
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いろいろお騒がせしている日本土地資源協会ですが、いよいよ今月下旬の内閣府相談会に向けて事業構築を進めています。結局はお役所相手の話なので、法律根拠を参照しながら申請書類を作成し、彼らの土俵で相撲を取らなければなりません。不慣れで面倒な作業ですがしかし、これがまさに「現実社会の中で新しいことを始めること」に他ならない・・・と自分に言い聞かせています。

でも、私が目指す公益法人は、今はやりの「新しい公共」に相当するのであれば、それは皆さんの賛同を得ることが必須要件です。そこで、私の主張の核心部分をA41枚にまとめましたので、ぜひご一読ください。賛同あるいは、批判していただけるには、少なくとも概ね理解できるかどうかが大切です。まだ、こなれていない難しい言葉を使っている部分がありますが、それも含め、忌憚のないご意見をいただ得れば幸いです。
(FBと同内容です、重複はお許しください)

■日本土地資源協会 の概要

私たちは、世界でも有数の豊かな自然と文化に満ち、最高に便利で安全なインフラの整った国土を持っています。ところが今、多くの山林や田畑が放置されているばかりでなく、都市部においても空き家・空き店舗が急増しています。こうした問題を引き起こしている元凶は、土地を使わず、使わせもせず、手放そうともしない土地所有者たちだと判っています。でも、これを責めることもできず、誰にも問題の拡大を止められないのは、一体なぜでしょう?

その答えは、土地所有者に与えられている「所有権」そのものです。所有権とは、土地を利用し、収益を得て、処分できる所有者の権利です。土地を使わなくても、収益を上げなくても、処分せず放置しても何の攻めも負わないのは、それも「所有権の範囲内」だからです。
私たちは、正当な権利を行使している人を責めることはできません、でも、それでいいのでしょうか?。これではまるで、土地を「資産=お金」と捉え「使わず、運用せず、溜め込んでいる」のと変わりません。

「土地資源」とは、「土地資産」に対抗する概念です。

先代から継承した土地を、次世代に継承したいと願う人たちは、土地を売る気など毛頭ありません。 売るための土地が「土地資産」だとすれば、使うための土地を「土地資源」と呼びたいと思います。土地を資産や商品として売買や貯蓄する人には確かに「独占的所有権」が必要でしょうが、土地を次世代に引き継ぐべき資源だと考える人のは、むしろ次のような「公益的所有義務」を自らに課しています。

●土地は利用しなければならない、さもなければ自然に返さなければならない
●土地から得られる収益は、土地を保全するための費用に充てなければならない
●土地は放棄せず、永続的に使い続けなければならない

日本土地資源協会は、土地を資源と考え、その所有者としてより管理者として利活用することで公益に寄与したいと望む人たちの団体です。どのような土地であっても、そのあるべき姿を描き、資源としての最大限の活用と最良の環境を実現するため、土地資源の所有者及びその後継者を管理者として育成し、後継者がいない場合は資源の寄贈を受け、自らが資源を保有し管理をやり続けます。
2014年10月1日
日本土地資源協会 代表理事 松村拓也
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◆◆2.レポート・・・・・・・・世田谷区立三宿中 夜間学級 訪問記◆◆
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今年の3月で世田谷区の仕事など諸々すべてやめたつもりだったんですが、唯一世田谷区の国際交流事業の一部をお手伝いすることにしました。とはいえ、昨年まで4年間続いた「世田谷世界交流プロジェクト」の延長ではなく、今年度から「多文化共生」をテーマにした事業を行うとのこと。この「多文化共生」という言葉は、「国際」という言葉の後継機種というか、社会の変化を色濃く映しているように思えます。

国際とは、国の際(きわ)、つまり国境を介した諸問題を意味する言葉でもあります。しかし、現代社会には国境以外にも様々な境や障壁が生まれ、複雑化しています。所詮「国」という単位は「国境を介した問題」のためにある仕組みなので、イスラム国のような「国の体もなさず、国境も無視した地域」が発生すると、せいぜい軍事攻撃するくらいの対応しかできません。アメリカが中東諸国を誘ってみんなで攻撃する「地球防衛軍」のふりをしていますが、まさに「国が解決手段足り得ない」証拠に見えます。地域社会における外国人問題も、「国際問題」では処理しきれていません。先日まさにそんな現場を訪れたので、今日はその報告をしたいと思います。

世田谷区立三宿中学校は、私が以前関わった世田谷ものづくり学校が廃校となる前の池尻中学校と新星中学校が統合したできた学校です。ここには今では珍しい「夜間学級」が併設され、山田洋二監督の映画「学校」さながらのいわゆる「夜間中学」が実在します。この夜間学級は、義務教育を修了できずに就学年齢を超えてしまった人・・・つまり中学を卒業せずに高校生以上の年齢になってしまった人たちのための学校で、あくまで「義務教育」の一環です。なので、すべての日本国民はもちろんのこと、日本在住の外国人も入学することができます。他にも区立中学に併設された夜間学級は都内で8か所。都内在住、在勤者本人及びその家族が対象で、実際には埼玉や神奈川からも通ってくる人がいるそうです。

夜間学級を覗いて驚くのは、在校生のほとんどが外国人で、数少ない日本人も国籍が日本というだけで、中国日本人孤児などの帰還者、日本人と結婚した外国人やその子弟など、日本国籍と日本人は一致しません。かつては映画に出てくる田中邦衛のように様々な事情で中学を卒業できなかった成人日本人が学ぶ場でしたが、現在ではそうした人々も高齢化が進みほとんどいなくなったそうです。また、不登校で中学校に行なかった生徒に対し、卒業時に「今卒業しなければ、夜
間学級に行くことができますよ」とアドバイスする教員に出会った若者がいて、外国人たちとともに生き生きと学校に通っている姿を見ると、義務教育の取りこぼしが如何に多様であるかを考えさせられました。

夜間学級は個人の進度に合わせ、1~3年の履修期間を設定しますが、外国人の多くは日本語学習が必要なため、1年間の日本語学級を履修します。なにしろ週15時間の学習が無料で受けられるという口コミのせいか、現在は生徒の半数をネパール人が占めていて、その多くが日本語学級だけで来なくなってしまうとのこと。夜間学級の本来の目的である普通学級9教科の履修・つまり義務教育の終了を目指してほしいと、学校関係者は声をあげます。本当の目的は、日本語の学習
でも、9教科の学習でもなく、中学卒という社会への切符なんだと。あくまで推計値ですが、我が国の義務教育未履修者は110万人だとか。人に知られたくない情報なので把握は難しいそうですが、夜間学級が探しているのは「この人たちとの接点」なんですね。

今回の訪問を通じて、「国際」から「多文化共生」への移行とは、こうした課題をも含んでいると改めて知りました。そして今、「多文化共生」などという難しい言葉でなくもっといい言葉、それは「世界」ではないかと再認識しました。
もっと周囲のこと、みんなのこと、全体のこと、すべてのことに思いを馳せてみれば、もっと大切なことが見えてくる。私は改めて「世田谷-世界」という言葉を大切にしよう!・・・と世田谷区に提案しています。
世田谷区立三宿中学校 夜間学級 http://school.setagaya.ed.jp/tmiya/
学校の授業は、昼夜とも随時見学可。その他行事への一般参加も歓迎。
問合せ先info@coupler.or.jp
NPO法人カプラー 担当:松村拓也