社会保障改革議論まとめ役/清家篤氏
2013年2月16日 お仕事 本来は国民会議での「社会保障改革」が「消費税増税」に優先すべきものを民主党野田内閣自爆解散の結果、自公安倍内閣成立後の民・自・公三党合意設置の社会保障制度改革が、7月参院選迄にどれだけ進展するかは、国民の大きな関心の的だろう。
そこで、2月14日(木)付日経夕刊に“将来世代を考えて警句”の表題で、社会保障改革 国民会議の議論まとめる・・・清家 篤(せいけ あつし)さんが、「当分休みはなさそうだが、社会保障制度改革は『うれしい挑戦』と話す」の顔写真入りで、下記の通り記事紹介されたので、ご参考迄にご紹介したい。
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【 日本経済新聞 2013.2.14付 夕刊 9P 生活・ひと欄 】
民主党政権が末期にあると誰の目にも明らかになった昨秋、火中の栗を拾った。民主、自民、公明の3党合意で設置が決まった社会保障制度改革国民会議の会長役を引き受けた。打診を受けた時、慶応義塾の塾長と両立できるかどうかだけが不安だったという。相談した評議員会議長の西室泰三・東芝相談役の「引き受けないと駄目ですよ」の一言が後押しになった。
民主党が提示した会長人事案に、「なかなかいい人を選んだな」と自民党幹部もうなった。バランス感覚に優れる。「生涯現役社会」が持論だ。過去には、年金の支給開始年齢を65歳から68歳まで引き上げるように訴えたことがある。今は、「会長は議論をまとめる役目」
と持論を封印する。それもこの人らしい。
安倍内閣が本格始動し、国民会議は2回開かれた。2月19日と28日は経済団体や地方団体からのヒヤリングを実施する。年金、医療・介護、子育てと検討分野は決まったが、議論はいっこうに深まっていない。3党が優先的に議論するテーマをどれにするかで綱引きを続けているためだ。「参院選までは負担増、給付抑制といった選挙にマイナスになる話はできない」とこぼす議員が出てきた。
そんな批判をひょうひょうとした表情で一蹴する。「社会保障は政権が代わったとしても安定したものであるべきだと3党で合意した。政争の具にならない」と言い切る。今の世代に文句を言われても、将来世代のことを考え、警句を発するのが自らの役割だとの信念がある。
根っこにあるのは、福沢諭吉が唱えた「学者は国の奴雁(どがん)なり」だ。雁の群れが田畑で餌をついばんで羽を休めている時、1羽だけ、休まずに空から警戒している雁がいる。危険が迫ると、いち早く甲高い声をあげ、仲間に知らせる奴雁に自らの姿を重ね合わせる。
専攻の労働経済学とは、学生時代、慶大のゼミで出合った。今は千葉商科大学学長を務める島田晴雄ゼミの1期生だ。友人にさそわれたのがきっかけだという。
労働経済学は進学の選択から引退まで暮らしに関わることを経済的手法で分析する。人間くさい事象を経済学で読み解ける分野でとても面白いとすぐに思った。だが、自分のキャリアについてはあまり真剣に考えていなかった。内定をもらった企業もあったが、研究職への道を進む。
大学で教鞭をとっていた父親の影響もあったという。父親は有名な現代建築家の故清家 清氏。「違いのわかる男」としてテレビコマーシャルにも出演したことがある。「自分には芸術家の才能はない」と話すが、既存の考え方にとらわれない姿勢は受け継いでいるようだ。
社会保障の持続可能性を高めるには、現役世代の活力を引き出すのがカギだとみる。行き着いた結論が生涯現役社会だ。現役期間が長くなれば、給付を受ける期間は短くなる。「打ち出す小づちはないと愚直に議論していくしかない」と腹を固めている。
日本私立大学連合会の会長も務める。当分、休みはなさそうだ。「自分の好きなことを研究しているありがたい商売で、少しは恩返しをしないといけない」と気負った様子はない。うれしい挑戦と話す社会保障制度改革で、どんな絵を描くのか。 (経済部 藤川 衛)
そこで、2月14日(木)付日経夕刊に“将来世代を考えて警句”の表題で、社会保障改革 国民会議の議論まとめる・・・清家 篤(せいけ あつし)さんが、「当分休みはなさそうだが、社会保障制度改革は『うれしい挑戦』と話す」の顔写真入りで、下記の通り記事紹介されたので、ご参考迄にご紹介したい。
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【 日本経済新聞 2013.2.14付 夕刊 9P 生活・ひと欄 】
民主党政権が末期にあると誰の目にも明らかになった昨秋、火中の栗を拾った。民主、自民、公明の3党合意で設置が決まった社会保障制度改革国民会議の会長役を引き受けた。打診を受けた時、慶応義塾の塾長と両立できるかどうかだけが不安だったという。相談した評議員会議長の西室泰三・東芝相談役の「引き受けないと駄目ですよ」の一言が後押しになった。
民主党が提示した会長人事案に、「なかなかいい人を選んだな」と自民党幹部もうなった。バランス感覚に優れる。「生涯現役社会」が持論だ。過去には、年金の支給開始年齢を65歳から68歳まで引き上げるように訴えたことがある。今は、「会長は議論をまとめる役目」
と持論を封印する。それもこの人らしい。
安倍内閣が本格始動し、国民会議は2回開かれた。2月19日と28日は経済団体や地方団体からのヒヤリングを実施する。年金、医療・介護、子育てと検討分野は決まったが、議論はいっこうに深まっていない。3党が優先的に議論するテーマをどれにするかで綱引きを続けているためだ。「参院選までは負担増、給付抑制といった選挙にマイナスになる話はできない」とこぼす議員が出てきた。
そんな批判をひょうひょうとした表情で一蹴する。「社会保障は政権が代わったとしても安定したものであるべきだと3党で合意した。政争の具にならない」と言い切る。今の世代に文句を言われても、将来世代のことを考え、警句を発するのが自らの役割だとの信念がある。
根っこにあるのは、福沢諭吉が唱えた「学者は国の奴雁(どがん)なり」だ。雁の群れが田畑で餌をついばんで羽を休めている時、1羽だけ、休まずに空から警戒している雁がいる。危険が迫ると、いち早く甲高い声をあげ、仲間に知らせる奴雁に自らの姿を重ね合わせる。
専攻の労働経済学とは、学生時代、慶大のゼミで出合った。今は千葉商科大学学長を務める島田晴雄ゼミの1期生だ。友人にさそわれたのがきっかけだという。
労働経済学は進学の選択から引退まで暮らしに関わることを経済的手法で分析する。人間くさい事象を経済学で読み解ける分野でとても面白いとすぐに思った。だが、自分のキャリアについてはあまり真剣に考えていなかった。内定をもらった企業もあったが、研究職への道を進む。
大学で教鞭をとっていた父親の影響もあったという。父親は有名な現代建築家の故清家 清氏。「違いのわかる男」としてテレビコマーシャルにも出演したことがある。「自分には芸術家の才能はない」と話すが、既存の考え方にとらわれない姿勢は受け継いでいるようだ。
社会保障の持続可能性を高めるには、現役世代の活力を引き出すのがカギだとみる。行き着いた結論が生涯現役社会だ。現役期間が長くなれば、給付を受ける期間は短くなる。「打ち出す小づちはないと愚直に議論していくしかない」と腹を固めている。
日本私立大学連合会の会長も務める。当分、休みはなさそうだ。「自分の好きなことを研究しているありがたい商売で、少しは恩返しをしないといけない」と気負った様子はない。うれしい挑戦と話す社会保障制度改革で、どんな絵を描くのか。 (経済部 藤川 衛)