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ご参考URL=http://www.alterna.co.jp/32385

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ESGの広がりとともに、改めてダイバーシティ(多様性)への関心が高まっていますが、ダイバーシティの推進は、女性活躍だけではありません。ジェンダー、LGBTQ、障がいの有無、国籍、宗教、価値観などの多様性を尊重し、一人ひとりが能力を発揮できる環境を整え、包摂(インクルージョン)していくことが求められています。これまでオルタナで掲載したダイバーシティ関連の注目記事をご紹介します。(オルタナ副編集長=吉田広子)

   「発達障がいを体験して」、当事者らが「エキスポ」

「発達障がい当事者博(ハッタツエキスポ)」が10月18日、大阪市中央公会堂で開催される。14の発達障がい当事者グループ(自助グループ)が集まり、自助グループ体験ができる。テーマは仕事の悩みや恋愛トークなどで、対象も若者向けや中高年、発達障がいの子どもを持つ親向けなど幅広い。(ライター・遠藤一)

■「対象外」と追い返された経験も

立ち上げ人は、ADHD(注意欠如・多動症)当事者である小松健児さん。小松さんは、10年前に仕事のミスが多すぎることに悩み、病院を受診したところADHDと診断された。

「同じ仕事が3年以上続いたことがない」という小松さんは、その後も転職を繰り返しながら、様々な発達障がいの自助グループに通った。自助グループとは、当事者たちで集まって日々の出来事や気持ちを語りつつ、他の当事者の話を聞く集まりだ。

小松さんは「しんどさが大きくなった時に」自助グループに通っていたという。「楽しかった。気を使わず、表に出せない気持ちを出せる。(同じ障がいを抱えながら)頑張っている人を知ると、触発される」と、生活の中で大事なものになっていった。

小松さんには苦い思い出がある。診断される前後、「自分が世界で一番困っている」と思い、複数の発達障がい関連の支援機関に出向いていた時期だ。

「話す能力が少し高いので、かえって『困り度』が伝わらない。下手に説明能力があると『そんなに困っていないな』という印象を与えてしまう。結局『私たちはもっと困っている人を助けるので、あなたは対象外です』と追い返された。助けてもらなかった」と、支援の外に置かれてしまった経験がある。

そんな中、当事者たちで集まり共感しあう自助グループは、小松さんの中で大きな助けになった。

当時、小松さんの周りには発達障がい全般や、ASD(高機能自閉症)のものはあっても、ADHD単体でのものが見つからなかった。そこで小松さんは2018年に自助グループを立ち上げた。

心がけたのは「楽しくすること」と「曜日を固定しないこと」だ。人が来やすいようにと、クリスマスパーティやバーで一周年を祝うイベントなども開いた。開催日も曜日をバラバラにして、月に2、3回ペースで告知していた。

「楽しくなかったら来ないし、続かない。曜日を固定すると、参加する人も固定される」と、風通しの良いグループを目指した。

メディアを通じてではなく触れ合ってほしい

2019年の冬、知り合いの繋がりで、地域活性化の企画コンペに参加することになった。「当事者グループに参加する間口を広げたい」と考えていた小松さんは、ここ数年で多く立ち上げられるようになった様々な当事者グループたちを集めて「博覧会」をできないかと考えた。

「まだまだ自助グループは、クローズな印象があり、参加するのに心理的なハードルが高い。お祭りのような形式にすることで、参加しやすくなるのでは」と、今回のイベントを行うことを決めた。

体験型の「博覧会」にするため、テーマごとにエリアを4つに分ける。「働く」「恋愛」「家族」そして「グレーゾーン」だ。グレーゾーンとは、未診断であったり、自分が発達障がいかどうかまだ分からなかったりする人。また、似たような特性で悩んでいるが「重度ではない」ため、以前の小松さんのように支援には繋がれていない人たちだ。

小松さんは「一日で一気に色んなグループに参加できると、自分に合った会を見つけやすい。もし見つけられなくても『他の会に行ってみたら自分に合う会が見つけられるかも』と思える」と、現在の自助グループの多様性を感じてほしいという。

さらに「今はテレビやメディアで、発達障がいのことを知ることができるけれど、当事者と交流することがなかなかない。定型(発達障がいではない)の人でも、こういう会に来てもらうことで『発達障がいでも色んな人がいるんだな』と体験してほしい」と、当事者の多様性にも触れてほしいと語る。

新型コロナウイルス対策のため、500人の会場に定員は200人まで。安全を徹底するため、50人ものボランティアスタッフで運営する。マスクや消毒の徹底はもちろんだが、非接触型の体温計も複数購入する。しかし「敷居を下げるため」入場料は無料だ。

そのため多額の経費がかかりクラウドファウンディングも募集しているが、9月30日までの締め切りに、26日現時点で24%しか集まっていない。集まらなければ支援を受け取ることのできない「All-or-Nothing方式」となっている。

2018年に自助グループを始めた当時、小松さんは「レンタルADHDおじさん」という、街中で無料相談に応じるサービスを行っていた。

「好奇心で始めてみた」という小松さんだったが、お客さんはほぼ全員が発達障がい特性を持つが、未診断の「グレーゾーン」な人ばかり。特に大学生くらいの若い女性が多かったと言う。

「(発達障がいの)話を聞かせてくれと呼びだされるが、会うと皆自分のことをしゃべってくる。自分は聞くほうが多かった。話す機会が少ないんだな、他の当事者とまだ繋がっていないんだなと感じた」と言う。

「自助グループと聞くと、まだ『気持ち悪い』『怖い』という人も多いかもしれない。でも気軽に体験してみてほしい。『お化け屋敷かと思って行ってみたら、実はディズニーランドでした』みたいな」と笑う小松さん。イベントは人数制限があるため、申込制となっている。

◆10月18日開催、発達障がい当事者博

◆生きづらさと向き合うきっかけに。発達障がい当事者会博を開催!(クラウドファンディング)

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