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Forbes JAPAN News ライフスタイル 2020/03/05 10:00
ご参考URL=https://forbesjapan.com/articles/detail/32594?internal=nav_cat_lifestyle

      長 生 き を リ ス ク に し な い 。
            定 年 後 の セ カ ン ド ラ イ フ 設 計 は 生 命 保 険 か ら 考 え ろ


ファイナンシャルプランナーとして、お金のよろず相談に乗るようになってから早20年を過ぎた。以前は「50代で早期退職したい」「60歳以降はやりたいことに打ち込みたい」といった相談が多かったが、最近は「生涯現役で働きたい」「退職後に起業したい」といった相談もじわりと増えてきている。

そんなときに気になるのが、実は生命保険だ。「70歳定年」が閣議決定された今、「セカンドライフも働く」という生き方と生命保険について触れてみたい。

  老 後 2 0 0 0 万 円 問 題 で 明 ら か に な っ た 長 生 き の 「 リ スク 」

日本人の寿命は、ずっと伸び続けている。2018年の平均寿命は、男性が81.25歳、女性は87.32歳。日本人の長寿化には、衛生環境の改善と医療技術の発達が背景にあるが、最近はIT技術などの進歩もあり、さらなる医療技術の発展が長寿に結びついている。

とはいっても、喜んでばかりはいられない。寿命が延びるということは、つまりは、老後が伸びるということ。公的年金で老後の生活費のすべてをまかなえるなら気にもならないが、公的年金だけでは足りない現状があるから、長寿を「リスク」ととらえて対策を講じておかないと、長生きがつらくなりかねない。

例えば、去年の6月に話題となった「老後2000万円問題」は、公的年金だけでは足りなくなる月々の生活費を5.5万円という前提で、65歳から95歳までの不足額をざっくり計算したものだ。

5.5万円×12カ月×30年=1980万円(約2000万円)

今の50代が就職した頃は、「人生80年時代」だったから、同じ設定でも不足額は5.5万円×12カ月×15年=990万円で済み、退職金を充てれば、なんとか帳尻を合わすことはできた。

それが、もっと長生きするとなると、不足額は年々膨らみ、退職金だけでは足りなくなる。人が長生きするということは、「器」となる家も長生きさせなければならないから、リフォーム費用なども見込む必要が出てくる。

この老後生活費の不足に対する特効薬は、やはり就労収入を増やすことだ。50代半ばで役職定年による収入ダウンになる人も多く、転職して収入アップを図ろうとするにも50代の求人は少ない。となると、まずは長く働くという選択肢が現実的だということになる。

  6 5 歳 以 上 で も 働 く 人 は 1 0 年 前 の 1 . 6 倍 に

では、実際、どれくらいの高齢者が働いているのだろうか。調べてみると、65歳以上の高齢就労者数は、2018年は862万人(男性512万人、女性350万人)で、年々増加傾向にある。

ファイナンシャルプランの相談の現場でも、長く働くという選択をする人が増えてきている。そして、「70代まで返済が続く住宅ローンを借りている」「子どもの留学や大学院への進学など、晩婚の影響で教育費が60代までかかる」「ねんきん定期便で確認した退職後の年金収入が思っていたより少なくて、このままでは心もとなく感じる」というのが、長く働く理由のベスト3だ。

実は、そうしたプランニングをする際に気になるのが、生命保険の見直しについてだ。若い夫婦や働き盛りの世代で、生命保険に入っていなかったり、入っていても保障額が少なかったりということで、「保障不足」が叫ばれて久しいが、最近は、シニアの保障不足が目立っているのだ。

どういうことかというと、これまでの保険の常識は、60歳定年をイメージして語られてきたものだ。生命保険は基本的に就労収入をカバーするものだから、高額な保障は退職までの60歳や65歳まででプランニングしているものが多い。定年を迎えるころには子どもは独立しているだろうし、余分な遺族保障(生命保険)は減額して、老後保障(貯蓄や個人年金など)にシフトしよう、という考えが当たり前だった。

けれども、いまは、60歳でも退職していないし、子どもがまだ独立していない人もいる。65歳を過ぎても働き続ける人もいるし、リフォームローンなどを抱えている人もいる。

生命保険として入るべき額は、自分に何かあったときに不足するお金を積み上げて計算する。例えば、生命保険に入る際に、教育費については国公立大学に進学するという想定で算出していたものの、実際には私立大学でしかも医学部で6年間というようなケースでは、本来であれば大学入学時に見直して、差額の学費分の生命保険を上乗せする、という考え方で再算出する。

そのため、これまでの「保険の常識」にのっとってうっかり減額したり、若いころに入った生命保険でそのまま気にせずに見直さずにいたりすると、いざというときに「保障が足りない!」というケースを見かけることが増えてきているのだ。

前述の「老後2000万円問題」で言うところの2000万円は毎月の不足額5.5万円を積み上げた結果のため、1年経つごとに必要な額は減っていく計算だから、年々保障額が減っていくしくみの「収入保障保険」を利用する手もある。

「定期保険」「収入保障保険」といえば、以前は80歳までしか続けられないものがほとんどだったが、最近は90歳満期のものも登場してきていて、退職後の就労期間が長くなっても、ほぼほぼカバーできる。

なかには、病気やケガで働けなくなったときに、月給のように毎月保険金が受け取れる「就業不能保障」を付けられるものもある。自身の働き方に合わせて検討したい。

ちなみに、「終身保険」という選択肢もないわけではないが、保険金額2000万円というと、目が飛び出るような保険料になるので、あまり現実的ではない。

先日ひとりでフィナンシャルプランの相談に訪れた女性は、夫が12歳年上で、そのうえ男性と女性の平均寿命は6歳以上の差もあるわけだから、まだ小さな子どもも抱えている状況で、老後がとても心配とのことだった。

住宅購入や教育資金、保険などの検討をするなかで、夫の定期保険の加入を決め、「これで私自身の老後2000万円問題は解決ですね」と晴れやかな顔をして帰っていったのが印象的だった。保険のそんな使い方も有りなのだ。

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