欧米と違いなぜ日本人は「老後」を恐れるか2
2019年7月19日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
【 昨日Blogに続く】
欧米で老後2000万不足が起こらない理由
なぜ日本人は「老後」を恐れるのか2
バックオフィスを同僚と呼ぶのは日本だけ
スペシャリストは両者の中間で、組織に属していることもあれば、そうでないこともある。その典型が医師で、どこかの病院に属して「勤務医」として働く人もいれば、独立して「開業医」になる人もいる。弁護士や会計士などのいわゆる「士業」も同じだし、プログラマーやコンサルタントにも組織に属する人とそうでない人がいる。
組織に属していないクリエーターやスペシャリストは「フリーエージェント(自営業)」になる。ここまでは世界共通だが、バックオフィスと(組織に属している)スペシャリストの働き方は日本と世界で大きく異なる。
欧米の会社ではスペシャリストとバックオフィスの仕事は明確に分かれている。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの投資銀行を例にすると、スペシャリストは株式や債券を売買したり、顧客(機関投資家)に営業したりする仕事で、バックオフィスはその取引を記録するのが仕事だ。スペシャリストとバックオフィスはまったくちがう世界に暮らしており、同じ会社でも互いを同僚と思っていない。
世界では専門性がないと話にならない
一方、日本ではバックオフィスの仕事は主に非正規社員が担っているが、正社員の中にも同じ仕事をしている人がいて、混然一体なっている。正社員の中でも誰がスペシャリストで誰がバックオフィスなのかはっきりしておらず、人事異動によってスペシャリストとバックオフィスを行き来することもふつうに起こる。これを欧米のビジネスパーソンが聞いたら、腰を抜かすほど驚くだろう。
日本と世界で働き方の意識が大きくちがうことは、初対面の外国人と話をすればすぐに分かる。最初の会話で「お仕事は何ですか?」と聞くのは万国共通だが、日本人は「トヨタです」とか「武田薬品です」とかの社名を答えてその場の雰囲気を凍らせる。その外国人は「どこの会社ですか?」と聞いているわけではなく、「車のエンジンを設計している」「医薬品の広報している」など、相手の「専門(スペシャル)」を質問しているのだ。
これはメディアも同じで、海外で新聞記者に仕事を尋ねれば、「政治ジャーナリスト」など自分の専門を伝え「どこに記事を書いているのか」と聞かれてはじめて寄稿している新聞名を答えるだろう。ところが日本では、ほぼ100%「私は朝日新聞」などの答えが返ってくる。個人と会社が一体化してしまっているのだ。
好きを仕事にすれば「老後2000万円不足問題」は攻略できる
グローバルスタンダードの働き方では、組織に所属するスペシャリストは会社の看板を借りた自営業者のようなものだ。その部署に仕事がなくなれば専門性を維持したまま転職するし、フリーになって仕事を続けることもある。これなら定年も、長い人生の中のひとつのイベントにすぎない(アメリカやイギリスでは定年は年齢差別として違法だ)。
それに対して、日本の会社組織では本当の意味でのスペシャリストはほとんどいない。だがこれを悲観するのではなく、逆手に取って何か「スペシャル」なものをつかむことができれば優位に立てる。
自分の「スペシャル」を見つけるには、好きなこと、得意なことに人的資本のすべてを投じなければならない。これが「好きを仕事にする」だが、10年ほど前に提唱したら「そんな甘いことが通用するはずはない」と批判された。
最近になって同じことを言う若い人たちが増えてきたのは、「人生100年時代」を考えればそれ以外に方法がないからだろう。「石の上にも3年」というが、20代前半から50年(半世紀)働く時代がやってくることを考えれば、嫌いな仕事を我慢することなどできるはずはない。好きなこと、得意なことなら生涯現役で続けていくことができるし、老後2000万円不足もこれで解決できるだろう。
何もスペシャルなものがなければ、バックオフィスの仕事を引き受けるのでもいい。そのいちばんの特徴は「責任がない」ことで、マニュアル通りの仕事だから高齢者でもできることはたくさんあるはずだ。「年金で生きていけないのはおかしい」などと言っていないで、「長く働いてゆたかな老後を実現する」ことを考えた方がずっと建設的だろう。
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欧米で老後2000万不足が起こらない理由
なぜ日本人は「老後」を恐れるのか2
バックオフィスを同僚と呼ぶのは日本だけ
スペシャリストは両者の中間で、組織に属していることもあれば、そうでないこともある。その典型が医師で、どこかの病院に属して「勤務医」として働く人もいれば、独立して「開業医」になる人もいる。弁護士や会計士などのいわゆる「士業」も同じだし、プログラマーやコンサルタントにも組織に属する人とそうでない人がいる。
組織に属していないクリエーターやスペシャリストは「フリーエージェント(自営業)」になる。ここまでは世界共通だが、バックオフィスと(組織に属している)スペシャリストの働き方は日本と世界で大きく異なる。
欧米の会社ではスペシャリストとバックオフィスの仕事は明確に分かれている。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの投資銀行を例にすると、スペシャリストは株式や債券を売買したり、顧客(機関投資家)に営業したりする仕事で、バックオフィスはその取引を記録するのが仕事だ。スペシャリストとバックオフィスはまったくちがう世界に暮らしており、同じ会社でも互いを同僚と思っていない。
世界では専門性がないと話にならない
一方、日本ではバックオフィスの仕事は主に非正規社員が担っているが、正社員の中にも同じ仕事をしている人がいて、混然一体なっている。正社員の中でも誰がスペシャリストで誰がバックオフィスなのかはっきりしておらず、人事異動によってスペシャリストとバックオフィスを行き来することもふつうに起こる。これを欧米のビジネスパーソンが聞いたら、腰を抜かすほど驚くだろう。
日本と世界で働き方の意識が大きくちがうことは、初対面の外国人と話をすればすぐに分かる。最初の会話で「お仕事は何ですか?」と聞くのは万国共通だが、日本人は「トヨタです」とか「武田薬品です」とかの社名を答えてその場の雰囲気を凍らせる。その外国人は「どこの会社ですか?」と聞いているわけではなく、「車のエンジンを設計している」「医薬品の広報している」など、相手の「専門(スペシャル)」を質問しているのだ。
これはメディアも同じで、海外で新聞記者に仕事を尋ねれば、「政治ジャーナリスト」など自分の専門を伝え「どこに記事を書いているのか」と聞かれてはじめて寄稿している新聞名を答えるだろう。ところが日本では、ほぼ100%「私は朝日新聞」などの答えが返ってくる。個人と会社が一体化してしまっているのだ。
好きを仕事にすれば「老後2000万円不足問題」は攻略できる
グローバルスタンダードの働き方では、組織に所属するスペシャリストは会社の看板を借りた自営業者のようなものだ。その部署に仕事がなくなれば専門性を維持したまま転職するし、フリーになって仕事を続けることもある。これなら定年も、長い人生の中のひとつのイベントにすぎない(アメリカやイギリスでは定年は年齢差別として違法だ)。
それに対して、日本の会社組織では本当の意味でのスペシャリストはほとんどいない。だがこれを悲観するのではなく、逆手に取って何か「スペシャル」なものをつかむことができれば優位に立てる。
自分の「スペシャル」を見つけるには、好きなこと、得意なことに人的資本のすべてを投じなければならない。これが「好きを仕事にする」だが、10年ほど前に提唱したら「そんな甘いことが通用するはずはない」と批判された。
最近になって同じことを言う若い人たちが増えてきたのは、「人生100年時代」を考えればそれ以外に方法がないからだろう。「石の上にも3年」というが、20代前半から50年(半世紀)働く時代がやってくることを考えれば、嫌いな仕事を我慢することなどできるはずはない。好きなこと、得意なことなら生涯現役で続けていくことができるし、老後2000万円不足もこれで解決できるだろう。
何もスペシャルなものがなければ、バックオフィスの仕事を引き受けるのでもいい。そのいちばんの特徴は「責任がない」ことで、マニュアル通りの仕事だから高齢者でもできることはたくさんあるはずだ。「年金で生きていけないのはおかしい」などと言っていないで、「長く働いてゆたかな老後を実現する」ことを考えた方がずっと建設的だろう。
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