日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
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WEDGE Infinity Report  2019年5月20日 漂流する部長課長 濱崎陽平 (Wedge編集部員
ご参考URL=http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16218?page=3

   生涯現役時代、ベテラン社員に高まる危機感・活躍シニアの〝分水嶺〟はどこか:後編

 一方、企業は、高齢社員を雇い続けることで、給料はもちろん、社会保険料の事業主負担分も増加し、コスト負担が大きくなる。シニアの労働意欲が高く、彼らの働きやすい環境を整えても、肝心の企業にシニアを受け入れる体力がなければ、「生涯現役社会」は実現しないだろう。現にその余裕はなさそうだ。「経済界は 終身雇用なんてもう守れないと思っている」との 中西宏明・経団連会長の言葉は、偽らざる本音だろう。企業が守れないのは、シニア社員だけではない。大手企業では中高年の社員を対象としたリストラが進む。

 こうした中、40、50代の転職市場は活発だ。リクルートエージェントによると、40、50代の転職決定者の伸び率が近年高いという。全体の転職決定者伸び率を上回り、キャリアを積んだ即戦力人材が求められている。リクナビNEXTの藤井薫 編集長は「終身雇用が揺らぎ、ホワイトカラーの役職者にも、一社にこだわるのでなく、将来を見据えて活躍の場を変えようというキャリア観の変化が芽生えつつある」と語る。特に人手不足の建設やIT、メーカーでの転職決定が多い。例えば建設では、五輪や都心の再開発、スマートシティ構想等の建設需要の影響で、一級建築士をはじめとする建設エンジニアが不足。年齢ではなくスキル・経験を軸とした採用が進んでいる。

 同じ業界内の転職では、かつて培ったスキルを活用しやすい。一方で、異なる業界からの転職も増えつつある。2009年と比較し、18年は異業種からの転職決定者は約5倍となり、異業種転職の割合が同業種転職よりも高いという。 また、人材サービス産業協議会が行った転職者の上司を対象にしたアンケート結果によると、「同じ業界・業種からの転職者の活躍度」と、「異なる業界・業種からの転職者の活躍度」に大きな差はないことがわかった。藤井氏は、「自分のいる業種にこだわるのではなく、どの場所でも生かせるスキルを整理することで、活躍の幅は広がる」と語る。

 ただし、スキルだけで活躍できるわけではない。「生涯現役」や「人生100年時代」というスローガンがよく語られるようになったが、一つの企業で最後まで上り詰められる人はほんの一握り。ほとんどのサラリーマンは、出世の途中で夢破れ、役職定年の壁にぶつかるのが常である。そうした現実に直面した時に、組織にとどまるか、あるいは新たなキャリアを歩み出すかの判断を迫られる。では、セカンドキャリアを成功させるためには何が必要なのか。そこで、組織を飛び出し新たなフィールドで活躍するシニアたちから、成功のカギを探ってみることも必要だろう。

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