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Zakzak by 夕刊フジ 2018.8.7
ご参考URL=https://www.zakzak.co.jp/lif/news/180807/lif1808070005-n1.html

   【生涯現役脳をめざせ!】
         多くの人が悩まされる腰痛、まん然と治療するだけでは良くならない


 ★ゲスト:大川淳・東京医科歯科大学附属病院院長(整形外科)(1)

 程度の差はあれ、年齢、性別を問わず多くの人が悩まされる「腰痛」。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、病気やけが等で自覚症状のある「有訴者(ゆうそしゃ)率」で男性1位、女性2位と日本人の国民病ともいえる。そこで今月は長年にわたって多くの患者を治療してきた大川院長に腰痛治療の最前線と予防法を聞く。

 朝田 骨や関節など運動器の障害で要介護の危険が高くなる「ロコモシンドローム」になると、認知症発症のリスクは4倍に跳ね上がります。腰痛で移動機能が落ちてくると、どうしても家に閉じこもりがちになります。最初は体だけの問題であったのが、メンタルや内臓機能も落ちて認知症を加速させるんですね。その悪循環が高齢者にとっては怖い。いかに体の活動性を維持していくかは認知症予防の面からも大事です。

 大川 現在の医学で加齢は制御できません。すると、長生きするほど体の部品の劣化が起きるのはある意味必然です。そして最初に壊れてくるのが椎間板で、それが腰痛を引き起こします。
 腰痛の急性痛は、骨折や椎間板ヘルニアでない限り、たいていの場合は自然に治ります。ですから、過度の安静は良くありません。マッサージや温熱治療、鎮痛剤など、いろいろな方法で痛みをコントロールすることが必要な場合もありますが、こうした治療を漫然と受けるだけでは腰痛は良くなりません。自分で動く、歩く。ステイ・アクティブ=アクティブでいることが大事です。

 朝田 どのあたりから動いていいのか、その見極めが難しいように思います。

 大川 「完全に痛みがなくなってから動こう」では遅いです。痛いといっても、日常生活が送れる範囲での痛みであれば、無理をせず、ある程度加減しながらできるだけ動くことが大事です。

 朝田 ぎっくり腰の場合はどうすればよいですか?

 大川 昔は1、2週間安静にして寝ていなさいと言っていましたが、今は違います。過度な安静は避けるべきという考え方です。1週間程度で良くなるぎっくり腰はあまり気にしなくて大丈夫ですので、出来る範囲で動いてください。1週間を超えても痛みが持続したり、むしろだんだん痛くなってくるようだと、これは単なるぎっくり腰ではない可能性があります。

 朝田 自分の腰痛がどんなものかを知らなければいけませんね。次回は椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)について具体的にお伺いしたいと思います。(協力・東京医科歯科大学)

 ■ 朝田 隆(あさだ・たかし) 1955年生まれ。メモリークリニックお茶の水理事長、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。認知症予防のデイケアプログラムの実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。

 ■ 大川 淳(おおかわ・あつし) 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科整形外科学分野教授。日本整形外科学会認定整形外科専門医。専門は脊椎・脊髄病。脊椎脊髄外科、特に難易度の高い脊椎疾患で豊富な治療実績。厚生労働省難治性疾患政策研究事業「靭帯骨化症調査研究班」班長。

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