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Zakzak by夕刊フジ 2018.7.24
ご参考URL=https://www.zakzak.co.jp/lif/news/180724/lif1807240006-n1.html

   【生涯現役脳をめざせ!】元気な脳は元気な脚から 
                    外 反 母 趾 と 股 関 節 の 変 形 に 注 意
 

 ★ゲスト:渡邊敏文・東京医科歯科大学准教授(関節機能再建学)(3)

 骨折リスクは認知症の人で5倍、睡眠薬を服用している高齢者で20倍にも跳ね上がる。特に高齢者では骨折が寝たきりに直結するリスクが高いので要注意だ。今回は「転倒→骨折→寝たきり→認知症」という悪循環を防ぎ「脚の健康」を守るポイントについて。

 朝田 脚のトラブルで女性に多い外反母趾(がいはんぼし)について教えていただけますか。

 渡邊 外反母趾はハイヒールや先の細い靴を長期間履き続けることが原因の一つと言われています。固まってしまった筋肉の「拘縮(こうしゅく)」をとるトレーニングとしては、足趾(そくし=足指)を動かす「足趾ジャンケン」、床に敷いたタオルを足趾で手前に引き寄せる「タオルギャザー」などがあります。お風呂で筋肉が温まった状態だとよりスムーズに行えると思います。

 朝田 痛みや歩きづらさは重症になる前にできるだけ取り除いておきたいですね。次に「脚のつけ根が痛む」場合について伺います。代表的な疾患や骨折にはどんなものがありますか。
 渡邊 股関節では臼蓋(きゅうがい)形成不全などによる股関節の変形が見られる場合があります。大腿骨頭に対する骨盤側の骨(臼蓋)の覆いが少ないと、狭い面積に体重がかかって臼蓋がすり減り変形が進みます。
 脚のつけ根の骨である「大腿骨近位部骨折」は高齢者によく見られます。太っていると脚に対する負担が増えるので、変形性股関節症や膝関節症にはよくありません。かといってあまり痩せていると大腿骨近位部骨折を起こしやすくなります。

 朝田 標準的なくらいがちょうどいいんですね。最後に、膝の手術について教えてください。

 渡邊 膝関節に対して行われる主な外科手術には3種類あります。「関節鏡視下(しか)手術」は、関節鏡という内視鏡を用い、モニターに患部を映しながら行う手術です。半月板などを部分的に切除したり縫ったりする際に行われます。
 「骨切り術」は、膝のまわりの骨を切って向きを修正しO脚などを直す手術です。人工物を使わずに関節内部を温存できます。「人工膝関節全置換術」は損傷した軟骨や骨を取り除いて金属やポリエチレンで作られた人工膝関節と置き換える手術で、世界中で広く行われています。
 痛みがなくなり、変形していた膝がまっすぐになります。私の患者さんの中にも「人工関節の手術をしてからラジオ体操ができるようになった」と喜んで報告してくださった人がいます。

 朝田 手術によってできることが増えるのは大きな自信となり、脳にとてもポジティブな影響を与えますね。 (協力・東京医科歯科大学)

 ■ 朝田 隆(あさだ たかし) 1955年生まれ。メモリークリニックお茶の水理事長、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。認知症予防のデイケアプログラム実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。

 ■ 渡邊敏文(わたなべ としふみ) 2009年、東京医科歯科大学大学院卒業、10年、米国フロリダ大学留学。医学博士。日本整形外科学会認定専門医、日本関節鏡膝スポーツ医学会(JOSKAS)評議員、日本人工関節学会評議員、日本臨床バイオメカニクス学会評議員。獨協医科大学埼玉医療センター准教授。

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