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zakzakby夕刊フジ2018.7.3
ご参考URL=https://www.zakzak.co.jp/lif/news/180703/lif1807030007-n1.html

  【生涯現役脳をめざせ!】ロコモシンドローム、膝痛が発症リスク高める 
              整形外科の専門医に聞く「認知症予防」


 ★ゲスト:渡邊敏文・東京医科歯科大学准教授(関節機能再建学)

 「ロコモシンドローム」(以下ロコモ)とは、骨や関節、筋肉など、運動器の障害によって要介護の危険が高くなる状態のことを言う。ロコモになると認知症発症のリスクは4倍に跳ね上がるという報告もあり、ロコモ予防は認知症予防の面からも重要だ。そこで今月は整形外科の専門医に予防法を聞く。

 朝田 膝に痛みを抱えている患者さんは実に多いです。まずは膝が痛む原因から教えてください。

 渡邊 中高年の方によく見られるのは軟骨の摩耗による「変形膝関節症」です。治療の際は、痛みの原因が膝関節包(ひざかんせつほう)の中にある場合と、その外の靱帯(じんたい)や筋肉にある場合に分けて考えます。軟骨自体が痛みを感じるわけではありません。

 よく「膝に水がたまる」と言われるように、膝関節包の中には常に関節液があり、そこに擦り減った軟骨の破片や痛み物質が放出されることで、関節包の神経が刺激されて痛みが出ます。また、半月板が損傷した場合にもその刺激が痛みとして伝わります。

 一方、膝関節包の外側にはいろいろな筋肉や靱帯がくっついていますから、O脚などの変形で筋が引っ張られたりしても痛みが出ます。これが関節の外に原因がある場合です。痛みの原因が関節の中にある場合にはヒアルロン酸注射などが効果的ですが、外の場合はあまり効かないため治療方法は変わってきます。とはいえ、痛みの原因が関節の中と外の両方にある場合もあり、一概に言えない部分もあります。

 朝田 膝の状態をきちんと知ることが大事ですね。膝に水がたまるというのはどういうことでしょうか?

 渡邊 関節液の吸収と生成のバランスが崩れるのが、いわゆる「水がたまる」状態なのですが、その原因は変形性膝関節症だけとは限りません。痛風、リウマチ、化膿性の関節炎などさまざまな原因が考えられます。

 朝田 どのあたりまで進行したら専門医に診てもらうべきでしょうか。

 渡邊 膝に水がたまっているかどうかは自分でもある程度分かります。左右の膝を比べて、どちらかが大きくなっているようなら水がたまっている可能性があります。

 朝田 膝の機能を自分でチェックする方法はありますか。

 渡邊 膝関節の動きがしっかり保たれていることが重要です。床に脚を伸ばして座って、膝の裏(膝窩)が床に着くかどうかをチェックしてみてください。膝の裏が浮いて床に着かない場合は、膝がかたくなって伸び切っていないことが考えられます。

 また、膝を曲げたときにかかとがお尻につくかどうかをチェックすることで、しっかり曲がっているかどうかを確認できます。左右の膝で比較することも大切です。

 朝田 痛みとメンタルの関係で何か分かっていることはありますか。

 渡邊 認知症では、初期の人でも体のどこかに痛みがあると「痛い痛い」としか言わなくなり、家に閉じ籠もりがちになってしまいます。それを見ているご家族も辛いということで手術に踏み切るケースもあります。手術で人工関節を入れて痛みが取れると、「痛い」と言わなくなり活動的になったという例もあります。(協力・東京医科歯科大学)

 ■ 朝田 隆(あさだ・たかし) 1955年生まれ。メモリークリニックお茶の水理事長、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。認知症予防のデイケアプログラム実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。

 ■ 渡邊敏文(わたなべ・としふみ) 2009年、東京医科歯科大学大学院卒業、10年、米国フロリダ大学留学。医学博士。日本整形外科学会認定専門医、日本関節鏡膝スポーツ医学会(JOSKAS)評議員、日本人工関節学会評議員、日本臨床バイオメカニクス学会評議員。獨協医科大学埼玉医療センター准教授。

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