加藤国際特許:知財とびうめ便りVol.59
2018年3月2日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
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「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.59
発信日:2018年 3月 1日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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梅の季節が訪れました。大宰府市の大宰府天満宮の境内には、200種、約6,000本の白梅・紅梅があり、日本有数の梅の名所となっております。現在の梅の開花状況は、御神木「飛梅」が2月13日に開花し、[見頃]、境内の梅も[見頃]です。これから3月上旬にかけて一重、八重をはじめ豊富な種類の梅が見事に咲き誇り、境内は芳しい梅の香りに溢れます。ぜひ皆さま、この機会に出向かれて、梅の香りに包まれてはいかがでしょうか。
◇ 目 次 ◇
1.弁理士コラム
◆スポーツと知財
2.知財ニュース
◆日本企業、海外の自社知財で稼ぐ
3.連載 知財講座
◆第59回:商標「商標の登録要件」
4.事務所からのお知らせ(イベント含む)
◆平成29年度「ものづくり補助金」に関するサービスの提供
5.所員ほのぼの日記
◆勝負と挑戦
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1. 弁 理 士 コ ラ ム
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◆スポーツと知財
スポーツとスポーツのイベントには、特定のシーズンに行われるものや、数年に1回行われる国際的なものも含めて様々なものがあり、テレビや新聞、web等のメディアでも取り上げられる機会が多いことから、そのニュースに接する機会も多く、私も良く見るスポーツや、初めてみるスポーツ、たまに見るスポーツにも一喜一憂したり感動したりしています。
そのようなスポーツにもマーケティングの色彩があり、会場やテレビ等で観戦したり、大会名自体に顧客吸引力があります。また、その大会期間中には、大会のロゴが入った商品や、有名な選手が使用しているウェアや道具のブランドの商品がつい欲しくなったりもします。
スポーツのマーケティングにおける主な収入としては、入場料、スポンサー料、放映権料、ライセンシング収入等があげられるそうです。これらを保護することは、より良いスポーツに接する機会が生じ維持されるために重要と思います。このような収入を得る機会を保護するためには、放映権や、標章に関する権利、ネーミングライツ、商品化権等に基づく適切な保護が重要です。
このように、いくつかの権利名を挙げてみましたが、おそらく、知的財産に関するものも多くあるだろうと思うと、どのように保護されているのだろうと疑問も持ちます。
知的財産権という場合、特に弁理士が学ぶ順にあげると、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、著作権法、・・・等の法律名は思い浮かぶのですが、明確にそれらの法律に規定されているのかと思うものもあります。
商標は標章に関する権利として重要とは思うものの、誰が権利者になりライセンスすればよいのか。著作権法では、スポーツの試合は著作物の創作にあたらないはずだが、放映権は著作権と無関係なのか。これらを調べてみると、例えば、JOCのマークの使用については、許諾が必要なことなどもアナウンスされています。【参照】https://www.joc.or.jp/about/marketing/marks.html
放映権は、選手の肖像権と試合会場の施設管理権などを法的根拠としているとの考えがあるようです。このように、スポーツにおいて保護されるべき権利が様々な法律に基づき保護されているようです。
これらの権利を第三者が自由に使用できないことを知らずに商業的に使用してしまう場合もあり、アンブッシュマーケティングと呼ばれる、公式スポンサー契約を結んでいない者が無断でロゴなどを使用したり、会場内や周辺で便乗して行う宣伝活動の対策も重要になるようです。
一方で、知財の活用方法としてオープンクローズ戦略が必要とされているように、スポーツに接し応援する人がより増えるためには、いたずらに権利主張しすぎない線引きの難しさもあります。
スポーツにも試合や競技等で直接使う道具や、練習で使う道具等も重要だろうと思います。そんなスポーツを別の観点からみたとき、知的財産制度は一つのツールであって、実社会で保護したい(すべき)権利に対して、それらの使い方も重要だということも考えさせられました。 弁理士 遠坂 啓太
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2. 知 財 ニ ュ ー ス
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◆ 日本企業、海外の自社知財で稼ぐ
知的財産が日本経済に大きな利益をもたらしています。日本銀行の発表によりますと、2017年1月から11月の海外からの知的財産権等使用料の累計は、約4.4兆円と2012年の約2.5兆円を大幅に上回っています。財務省が発表した2017年11月速報でも、6044億円と単月で過去2番目の高水準を記録しています。
日本の主な知財の収益源は、自動車や携帯電話などに関わる情報通信・電気機器及びロボット技術、そして任天堂ゲームソフトの「スーパーマリオ」や多様な商品が展開されているサンリオの「ハローキティ」など、世界的に人気のキャラクターなど対象範囲は幅広いのです。
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3. 連 載 知 財 講 座
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◆ 第59回:商標「商標の登録要件」
商標の登録要件については、以前のメルマガにて、「商品又は役務(サービス)の普通名称を特徴のない書体で表示した商標」や「商品の産地・品質等を特徴のない書体で表示した商標」、「他人の周知商標・登録商標に類似する商標」は登録できないといったお話しをしました。
今回は、商標の登録要件の前提条件というべき、「自己の業務に係る商品・役務について使用する商標であること」(商標法第3条第1項柱書)についてお話しします。
なぜ、商標を「使用」することが、登録の前提とされていると思いますか?
それは、商標が保護するものは「信用」だからです。
商標は、「使用」しなければ保護すべき「業務上の信用」が発生しません。そのため、自己の業務に係る商品・役務について使用しないことが明らかである場合は、原則として登録を受けることができなくなっています。この「使用しないことが明らかな場合」には、次のようなものが該当します。
(1) 指定役務に係る業務を行うために、法令で定められた国家資格を有することが義務付けられる場合であって、出願人がそのような資格を有すると認められないもの
例えば、「工業所有権に関する手続きの代理」の役務は、弁理士・弁護士か特許業務法人でなければ商標登録できませんし、「医業」の役務は、医師か医療法人でなければ商標登録できません。
(2) 広範囲の商品や役務を指定したもの
現行の審査基準では、原則、以下の3つの範囲の商品・役務を指定した出願に対し、実際に出願人がその範囲の商品・役務について商標を使用しているか(または使用する意思があるか)合理的な疑義があるとの通知がなされます。
[a]1つの区分内の複数の商品・役務を指定する場合で、その商品・役務を分類するために特許庁が付与しているコード(類似群コード)の数が8つを超えた場合
[b]ジャンルの異なる複数の商品を取り扱う小売等役務を指定した場合
[c]総合小売役務(一般的に百貨店を対象とした役務)を指定した場合
この通知がなされた場合、その範囲で実際に商標を使用しているか、または近い将来(概ね3年以内)に、その範囲で商標の使用を予定していることを証明することで、疑義は解消します。
([c]における実際に商標を使用している証明では、一店舗内で衣料品・飲食料品・生活用品を取り扱っており、その各ジャンルの売上が、総売上高の10%~70%程度であることをも証明する必要があります。)
実際に商標を使用していることを証明するために必要な資料は、商標を使用している商品又は役務に関する「チラシ・パンフレット・カタログ」、「ウェブサイト」、「取引伝票」、「写真」等です。
また、商標の使用を予定していることを証明するために必要な資料は、指定した商品又は役務に対して「近い将来に商標を使用する意思があることを明示した書面」と、商標の使用に関する「事業計画書」です。
広い範囲の商品や役務を指定して商標登録すれば、自己に係る業務の周辺の商品・役務までを権利化することができますが、このような商標の使用に関する要件を満たす必要があります。
弊所では、年間数百件に及ぶ商標出願・登録の実績から、商標の使用の証明に関しても、様々なノウハウがありますので、安心してご相談ください。
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4. 事 務 所 か ら の お 知 ら せ
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◆ 平成29年度「ものづくり補助金」に関するサービスの提供
毎年、年度末に中小企業庁の主導で、各地域の事務局が窓口になり実施されております、平成29年度「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」(通称:ものづくり補助金)の公募が開始されました。
弊所では、この「ものづくり補助金」の公募において、一番のポイントであります「申請書類の作成」をお手伝いするサービスを、提供しております。
この「ものづくり補助金」が採択されるか否かの一番のポイントは、申請書類に新規事業の「革新性」をどの様に表現するかです。
ここを如何に書くかが、採択の明暗を分けますが、弊所ではこのサービスを進めるにあたり、永年特許出願を代理させていただいた経験を活かし、皆さまのご要望を聞きながら、一見、革新性が無いように見えるにもビジネスに革新性を持たせるよう内容をご提案し、皆さまとご一緒に考え、補助金採択を目指します。
公募の概要は次の通りです。
・ 公募期間 平成30年2月28日(水)~平成30年4月27日(金)
・ 申請書等の公募要領等は、各地域事務局のホームページに掲載。
・ 申請書は、補助事業の主たる実施場所に存在する都道府県地域事務局へ郵送又は電子申請。
詳細につきましては、下記のURL等でご確認頂けます。
<全国中小企業団体中央会>
http://www.chuokai.or.jp/hotinfo/29mh_koubo_201802.html
<福岡県中小企業団体中央会>
http://www.chuokai-fukuoka.or.jp/filedb/201803/mono2018.html
新規設備投資による生産性向上や新たなサービス展開等を計画されておられる中小企業・小規模事業者にとって、この「ものづくり補助金」は非常に魅力ある施策と存じます。
弊所は、このものづくり補助金を支援するサービスを提供しておりますので、どうぞご遠慮なく気軽にお問合せください。
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5. 所 員 ほ の ぼ の 日 記
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◆ 勝負と挑戦
先月、平昌オリンピックが幕を閉じました。日本選手団も冬季オリンピック過去最多のメダルを獲得し、多くの選手が活躍しましたが、なかでも、フィギュアスケート男子シングルに出場した羽生結弦選手への注目が高かったのではないでしょうか。
ご存知の通り、羽生選手は、昨年11月に右足を怪我してからオリンピック入りするまでの約3か月間、表舞台から姿を消していました。その間、羽生選手の右足の状態がどうなっているのかほとんど情報が出てきていなかったので、本当にオリンピックに間に合うのか不安視されていました。
そして、ぶっつけ本番で挑んだオリンピックでの見事な金メダル。オリンピックという最もプレッシャーのかかる舞台で結果を出した羽生選手の強さに、多くの方が心を動かされたのではないかと思います。
ところで皆さんは、今をさかのぼること8年前、バンクーバーオリンピックでの4回転ジャンプ論争についてご存知でしょうか。バンクーバーオリンピックは、男子フィギュアで日本の高橋大輔選手が銅メダルを取った大会です。というよりも、女子フィギュアで浅田真央選手が銀メダルを取った大会と言ったほうが、覚えている方が多いでしょうか。
このとき、男子フィギュアの金メダルはアメリカのライサチェック選手、銀メダルはロシアのプルシェンコ選手だったのですが、金メダルのライサチェック選手は4回転を回避し、プログラム全体の完成度を上げる戦略で金メダルを獲得しました。
一方、銀メダルのプルシェンコ選手は、4回転に挑んで成功させたにもかかわらず、銀メダルでした。
4回転ジャンプ論争は、ショートプログラムが終わった後の会見で、記者からの質問に対して、4回転を跳んだプルシェンコ選手が「4回転は必要だ」と主張したことに端を発します。この発言に対し、4回転を跳ばなかったライサチェック選手は「ステップやスピンもジャンプと同じくらい重要だ」と反論し、高橋選手は「自分にとって4回転は必要だ」と答えました。
私はこの会見をよく覚えています。勝負に勝つために危険を冒さない戦略をとるのか、アスリートとしてより難しい技に挑戦するのかという選択だったと思うのですが、私はこの会見を見て、高橋選手に対して「よく言った!」と思っていましたし、結果として、4回転を跳んだ人が金メダルをとれず、跳ばなかった人が金メダルをとったことに対して、スッキリしない感情が残りました。
ひるがえって、今回の男子フィギュアです。羽生選手の滑りはとても完成度が高く、4回転もバシバシ跳んでいました。・・・跳んでいたのですが、今回のジャンプ構成は、足を怪我する前に挑戦していた、より難易度の高い4回転を回避し、今の右足で跳べる最善の構成に変更したものでした。
それでも勝ててしまうのが凄いところでもありますし、氷上での練習を開始できたのがオリンピックの約1か月前という事を考えると、よくぞここまで戻してきたものだとビックリしてしまいますが、今回、羽生選手は、勝つための選択をしたのだなと感じました。
私は羽生選手の滑りが好きです。何といってもジャンプが美しい。そして、トップにいながら現状に満足せず、常に新しい技に挑戦していくところも、アスリートとして素晴らしいと思います。
だからこそ、次は、ご自身が思い描く理想の滑りに向けて挑戦する姿を見たいなと思いました。羽生選手本人も、4回転アクセルという前人未到のジャンプに挑戦することを公言しているので、その姿が見られる日もそう遠くなさそうです。
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★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-
福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 博多駅前ビジネスセンター411号
URL:http://www.kato-pat.jp/
TEL:092-413-5378 E-mail:mail@kato-pat.jp
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NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
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「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.59
発信日:2018年 3月 1日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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梅の季節が訪れました。大宰府市の大宰府天満宮の境内には、200種、約6,000本の白梅・紅梅があり、日本有数の梅の名所となっております。現在の梅の開花状況は、御神木「飛梅」が2月13日に開花し、[見頃]、境内の梅も[見頃]です。これから3月上旬にかけて一重、八重をはじめ豊富な種類の梅が見事に咲き誇り、境内は芳しい梅の香りに溢れます。ぜひ皆さま、この機会に出向かれて、梅の香りに包まれてはいかがでしょうか。
◇ 目 次 ◇
1.弁理士コラム
◆スポーツと知財
2.知財ニュース
◆日本企業、海外の自社知財で稼ぐ
3.連載 知財講座
◆第59回:商標「商標の登録要件」
4.事務所からのお知らせ(イベント含む)
◆平成29年度「ものづくり補助金」に関するサービスの提供
5.所員ほのぼの日記
◆勝負と挑戦
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1. 弁 理 士 コ ラ ム
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◆スポーツと知財
スポーツとスポーツのイベントには、特定のシーズンに行われるものや、数年に1回行われる国際的なものも含めて様々なものがあり、テレビや新聞、web等のメディアでも取り上げられる機会が多いことから、そのニュースに接する機会も多く、私も良く見るスポーツや、初めてみるスポーツ、たまに見るスポーツにも一喜一憂したり感動したりしています。
そのようなスポーツにもマーケティングの色彩があり、会場やテレビ等で観戦したり、大会名自体に顧客吸引力があります。また、その大会期間中には、大会のロゴが入った商品や、有名な選手が使用しているウェアや道具のブランドの商品がつい欲しくなったりもします。
スポーツのマーケティングにおける主な収入としては、入場料、スポンサー料、放映権料、ライセンシング収入等があげられるそうです。これらを保護することは、より良いスポーツに接する機会が生じ維持されるために重要と思います。このような収入を得る機会を保護するためには、放映権や、標章に関する権利、ネーミングライツ、商品化権等に基づく適切な保護が重要です。
このように、いくつかの権利名を挙げてみましたが、おそらく、知的財産に関するものも多くあるだろうと思うと、どのように保護されているのだろうと疑問も持ちます。
知的財産権という場合、特に弁理士が学ぶ順にあげると、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、著作権法、・・・等の法律名は思い浮かぶのですが、明確にそれらの法律に規定されているのかと思うものもあります。
商標は標章に関する権利として重要とは思うものの、誰が権利者になりライセンスすればよいのか。著作権法では、スポーツの試合は著作物の創作にあたらないはずだが、放映権は著作権と無関係なのか。これらを調べてみると、例えば、JOCのマークの使用については、許諾が必要なことなどもアナウンスされています。【参照】https://www.joc.or.jp/about/marketing/marks.html
放映権は、選手の肖像権と試合会場の施設管理権などを法的根拠としているとの考えがあるようです。このように、スポーツにおいて保護されるべき権利が様々な法律に基づき保護されているようです。
これらの権利を第三者が自由に使用できないことを知らずに商業的に使用してしまう場合もあり、アンブッシュマーケティングと呼ばれる、公式スポンサー契約を結んでいない者が無断でロゴなどを使用したり、会場内や周辺で便乗して行う宣伝活動の対策も重要になるようです。
一方で、知財の活用方法としてオープンクローズ戦略が必要とされているように、スポーツに接し応援する人がより増えるためには、いたずらに権利主張しすぎない線引きの難しさもあります。
スポーツにも試合や競技等で直接使う道具や、練習で使う道具等も重要だろうと思います。そんなスポーツを別の観点からみたとき、知的財産制度は一つのツールであって、実社会で保護したい(すべき)権利に対して、それらの使い方も重要だということも考えさせられました。 弁理士 遠坂 啓太
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2. 知 財 ニ ュ ー ス
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◆ 日本企業、海外の自社知財で稼ぐ
知的財産が日本経済に大きな利益をもたらしています。日本銀行の発表によりますと、2017年1月から11月の海外からの知的財産権等使用料の累計は、約4.4兆円と2012年の約2.5兆円を大幅に上回っています。財務省が発表した2017年11月速報でも、6044億円と単月で過去2番目の高水準を記録しています。
日本の主な知財の収益源は、自動車や携帯電話などに関わる情報通信・電気機器及びロボット技術、そして任天堂ゲームソフトの「スーパーマリオ」や多様な商品が展開されているサンリオの「ハローキティ」など、世界的に人気のキャラクターなど対象範囲は幅広いのです。
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3. 連 載 知 財 講 座
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◆ 第59回:商標「商標の登録要件」
商標の登録要件については、以前のメルマガにて、「商品又は役務(サービス)の普通名称を特徴のない書体で表示した商標」や「商品の産地・品質等を特徴のない書体で表示した商標」、「他人の周知商標・登録商標に類似する商標」は登録できないといったお話しをしました。
今回は、商標の登録要件の前提条件というべき、「自己の業務に係る商品・役務について使用する商標であること」(商標法第3条第1項柱書)についてお話しします。
なぜ、商標を「使用」することが、登録の前提とされていると思いますか?
それは、商標が保護するものは「信用」だからです。
商標は、「使用」しなければ保護すべき「業務上の信用」が発生しません。そのため、自己の業務に係る商品・役務について使用しないことが明らかである場合は、原則として登録を受けることができなくなっています。この「使用しないことが明らかな場合」には、次のようなものが該当します。
(1) 指定役務に係る業務を行うために、法令で定められた国家資格を有することが義務付けられる場合であって、出願人がそのような資格を有すると認められないもの
例えば、「工業所有権に関する手続きの代理」の役務は、弁理士・弁護士か特許業務法人でなければ商標登録できませんし、「医業」の役務は、医師か医療法人でなければ商標登録できません。
(2) 広範囲の商品や役務を指定したもの
現行の審査基準では、原則、以下の3つの範囲の商品・役務を指定した出願に対し、実際に出願人がその範囲の商品・役務について商標を使用しているか(または使用する意思があるか)合理的な疑義があるとの通知がなされます。
[a]1つの区分内の複数の商品・役務を指定する場合で、その商品・役務を分類するために特許庁が付与しているコード(類似群コード)の数が8つを超えた場合
[b]ジャンルの異なる複数の商品を取り扱う小売等役務を指定した場合
[c]総合小売役務(一般的に百貨店を対象とした役務)を指定した場合
この通知がなされた場合、その範囲で実際に商標を使用しているか、または近い将来(概ね3年以内)に、その範囲で商標の使用を予定していることを証明することで、疑義は解消します。
([c]における実際に商標を使用している証明では、一店舗内で衣料品・飲食料品・生活用品を取り扱っており、その各ジャンルの売上が、総売上高の10%~70%程度であることをも証明する必要があります。)
実際に商標を使用していることを証明するために必要な資料は、商標を使用している商品又は役務に関する「チラシ・パンフレット・カタログ」、「ウェブサイト」、「取引伝票」、「写真」等です。
また、商標の使用を予定していることを証明するために必要な資料は、指定した商品又は役務に対して「近い将来に商標を使用する意思があることを明示した書面」と、商標の使用に関する「事業計画書」です。
広い範囲の商品や役務を指定して商標登録すれば、自己に係る業務の周辺の商品・役務までを権利化することができますが、このような商標の使用に関する要件を満たす必要があります。
弊所では、年間数百件に及ぶ商標出願・登録の実績から、商標の使用の証明に関しても、様々なノウハウがありますので、安心してご相談ください。
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4. 事 務 所 か ら の お 知 ら せ
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◆ 平成29年度「ものづくり補助金」に関するサービスの提供
毎年、年度末に中小企業庁の主導で、各地域の事務局が窓口になり実施されております、平成29年度「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」(通称:ものづくり補助金)の公募が開始されました。
弊所では、この「ものづくり補助金」の公募において、一番のポイントであります「申請書類の作成」をお手伝いするサービスを、提供しております。
この「ものづくり補助金」が採択されるか否かの一番のポイントは、申請書類に新規事業の「革新性」をどの様に表現するかです。
ここを如何に書くかが、採択の明暗を分けますが、弊所ではこのサービスを進めるにあたり、永年特許出願を代理させていただいた経験を活かし、皆さまのご要望を聞きながら、一見、革新性が無いように見えるにもビジネスに革新性を持たせるよう内容をご提案し、皆さまとご一緒に考え、補助金採択を目指します。
公募の概要は次の通りです。
・ 公募期間 平成30年2月28日(水)~平成30年4月27日(金)
・ 申請書等の公募要領等は、各地域事務局のホームページに掲載。
・ 申請書は、補助事業の主たる実施場所に存在する都道府県地域事務局へ郵送又は電子申請。
詳細につきましては、下記のURL等でご確認頂けます。
<全国中小企業団体中央会>
http://www.chuokai.or.jp/hotinfo/29mh_koubo_201802.html
<福岡県中小企業団体中央会>
http://www.chuokai-fukuoka.or.jp/filedb/201803/mono2018.html
新規設備投資による生産性向上や新たなサービス展開等を計画されておられる中小企業・小規模事業者にとって、この「ものづくり補助金」は非常に魅力ある施策と存じます。
弊所は、このものづくり補助金を支援するサービスを提供しておりますので、どうぞご遠慮なく気軽にお問合せください。
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◆ 勝負と挑戦
先月、平昌オリンピックが幕を閉じました。日本選手団も冬季オリンピック過去最多のメダルを獲得し、多くの選手が活躍しましたが、なかでも、フィギュアスケート男子シングルに出場した羽生結弦選手への注目が高かったのではないでしょうか。
ご存知の通り、羽生選手は、昨年11月に右足を怪我してからオリンピック入りするまでの約3か月間、表舞台から姿を消していました。その間、羽生選手の右足の状態がどうなっているのかほとんど情報が出てきていなかったので、本当にオリンピックに間に合うのか不安視されていました。
そして、ぶっつけ本番で挑んだオリンピックでの見事な金メダル。オリンピックという最もプレッシャーのかかる舞台で結果を出した羽生選手の強さに、多くの方が心を動かされたのではないかと思います。
ところで皆さんは、今をさかのぼること8年前、バンクーバーオリンピックでの4回転ジャンプ論争についてご存知でしょうか。バンクーバーオリンピックは、男子フィギュアで日本の高橋大輔選手が銅メダルを取った大会です。というよりも、女子フィギュアで浅田真央選手が銀メダルを取った大会と言ったほうが、覚えている方が多いでしょうか。
このとき、男子フィギュアの金メダルはアメリカのライサチェック選手、銀メダルはロシアのプルシェンコ選手だったのですが、金メダルのライサチェック選手は4回転を回避し、プログラム全体の完成度を上げる戦略で金メダルを獲得しました。
一方、銀メダルのプルシェンコ選手は、4回転に挑んで成功させたにもかかわらず、銀メダルでした。
4回転ジャンプ論争は、ショートプログラムが終わった後の会見で、記者からの質問に対して、4回転を跳んだプルシェンコ選手が「4回転は必要だ」と主張したことに端を発します。この発言に対し、4回転を跳ばなかったライサチェック選手は「ステップやスピンもジャンプと同じくらい重要だ」と反論し、高橋選手は「自分にとって4回転は必要だ」と答えました。
私はこの会見をよく覚えています。勝負に勝つために危険を冒さない戦略をとるのか、アスリートとしてより難しい技に挑戦するのかという選択だったと思うのですが、私はこの会見を見て、高橋選手に対して「よく言った!」と思っていましたし、結果として、4回転を跳んだ人が金メダルをとれず、跳ばなかった人が金メダルをとったことに対して、スッキリしない感情が残りました。
ひるがえって、今回の男子フィギュアです。羽生選手の滑りはとても完成度が高く、4回転もバシバシ跳んでいました。・・・跳んでいたのですが、今回のジャンプ構成は、足を怪我する前に挑戦していた、より難易度の高い4回転を回避し、今の右足で跳べる最善の構成に変更したものでした。
それでも勝ててしまうのが凄いところでもありますし、氷上での練習を開始できたのがオリンピックの約1か月前という事を考えると、よくぞここまで戻してきたものだとビックリしてしまいますが、今回、羽生選手は、勝つための選択をしたのだなと感じました。
私は羽生選手の滑りが好きです。何といってもジャンプが美しい。そして、トップにいながら現状に満足せず、常に新しい技に挑戦していくところも、アスリートとして素晴らしいと思います。
だからこそ、次は、ご自身が思い描く理想の滑りに向けて挑戦する姿を見たいなと思いました。羽生選手本人も、4回転アクセルという前人未到のジャンプに挑戦することを公言しているので、その姿が見られる日もそう遠くなさそうです。
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★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-
福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 博多駅前ビジネスセンター411号
URL:http://www.kato-pat.jp/
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