加藤合同国際特許/知財とびうめ便154
2017年5月1日 お仕事┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.54
発信日:2017年 5月 1日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇
1.弁理士コラム
◆雑感
2.知財ニュース
◆登録商標「直虎」、特許庁は浜松市の異議を認めず
3.連載 知財講座
◆第54回:特許「用途発明」
4.事務所からのお知らせ
◆全国の大学・研究機関が保有する最先端の研究設備の有効活用
5.所員ほのぼの日記
◆初めての園芸
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1. 弁 理 士 コ ラ ム
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◆雑感
このコラムは特許事務所が発信するものですので、当然のことながら、全てが特許その他の知財に関するものです。ただ、特許に関するコラムは、書くほうも読むほうも退屈なことが多く、私としてもあまり書く気になれない、というのが本音です。
という訳で、今回は特許とは関係がない、普段、私が興味を持っているテーマについて、よもやま話をしたいと思います。
何を今さらと思われるかもしれませんが、「今の日本に言論の自由はあると思いますか」と聞かれたら、本コラムを読まれている方々はどう答えますか?
おそらく、ほぼ全ての日本人は「ある」と答えるでしょう。「ない」と答えるのは、かなり度胸が要ります。
「ある」と答えるのは、ある意味で当然です。「ある」と答えた人の頭の中には、「言論の自由」の有無は、当局の規制(いわゆる「弾圧」)の有無とイコールの関係が成り立っているからです。
具体的には、政府への批判を自由に行うことができるのであれば、「言論の自由」があると言っていい、という考え方です。他国や昔の日本の政治情勢を考えれば、そう考えることにも一理あります。
例えば、中国や北朝鮮では、政府批判を行えば、即牢獄行きになります。戦前の日本でも、即牢獄行きとまでは行かないまでも、官憲に引っ張られるという状況でした。これに比べれば、今の日本には、当局による言論への弾圧は皆無と言っていいでしょう。
最初の質問に戻りますが、私は「ない」と答えます。
なぜ「ない」のか? むろん、当局の弾圧があるから、などとは言いません。当局の問題ではなく、日本人自らの精神構造(あるいは、「宗教」とも言えるもの)の問題です。日本人は、自らの精神構造で自らを縛りつけていると思うからです。
話は変わりますが、「言霊」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。現代ではほぼ死語になっていますが、「考えていることを言葉にして発し、言葉の霊力によって、それを実現させること、あるいは、実現させようとすること」のような意味合いの言葉です。昔の日本人はこの「言霊」を信じていました。
何をもって宗教とするか、という問いに正確に答えるのはかなり難しいことですが、少なくとも宗教の一つの側面として「不合理なことを信じること」というものがあります。
例えば、イスラム教徒は、メッカの方角に向けて礼拝(サラート)を一日に五回行いますが、日本人からすれば、「不合理」以外の何物でもないでしょう。
「言霊」も同じです。外国人から見れば、「不合理」以外の何物でもありませんが、昔の日本人はこれを信じていました(要するに、日本古来の、かつ、日本特有の「宗教」と言えるものです)。
その昔、平安貴族(現代用語で言えば、政府閣僚)にとって、歌(和歌)を詠むことは重要な仕事の一つでした。現代人から見れば、無能にしか見えないでしょうが、彼らはその当時の最新の科学(もしくは統治理論)である「言霊」を熱心に実行していたにすぎません。
現代人は「言霊」を一笑に付すでしょうが、笑っている本人の頭の中に「言霊」はまだ根付いています。つまり、例外なく、日本にいる日本人(「日本にいる日本人」と言ったのは、例えば、海外で生まれ育った日本人には当てはまらないからです。)の精神構造には、「言霊」が間違いなく根強く残っているのです。
そんな馬鹿な、と嗤う人がいるかもしれません。では、
結婚式のスピーチで「別れる」、「切れる」という言葉を出せますか?
受験生のいる家庭で「落ちる」、「滑る」と言えますか?
翌日に出張に行く上司に、冗談でも「明日は天候が悪いみたいだから、飛行機が落ちるかもしれないですね」と言えますか?
そう遠くない昔に「戦争反対」を声高に叫ぶ政党がありました(今でもありますが、消滅寸前です。)。「戦争反対、9条死守」のための具体策は示さず(当人は示していたつもりでしょうが、現実性がなく、「策」とは言えないものでした。)、ただ単に叫ぶのみ。言うまでもなく、これも「言霊」に支配された結果です(もちろん、その政党の人間はそんなことは全く気付いていなかったでしょうが。)。ただ単にそういう言葉を発していればいい訳ですから、ラクなものでした。
最近でも、この種の例はいくらでもあります。例えば、次のような場面を想定してみて下さい。
日本で飛行機がハイジャックされました。乗客が人質になり、犯人は政府に身代金を要求しています。
こういう場合、報道番組などでは、政府はどう対処すべきかについての討論が行われます。討論と言っても、出てくる意見は基本的には二つだけです。
評論家Aは「人間の命は何物にも代え難い。政府は即刻身代金を支払うべきだ」と言い、評論家Bは「身代金を支払うことは世界のルールにも反する。即刻強行突入して解決を図るべきだ」と言います。
結局、政府は強行策をとりました。実戦部隊が強行突入し、犯人は全員射殺されましたが、人質が何人か犠牲になりました。
人質が犠牲になった訳ですから、当然ながら、批判が出ます。問題はその批判がどこに向けられるかです。強行突入した実戦部隊がミスったのであれば、実戦部隊が批判の対象になりますし、強行突入を決めた政府も批判の対象になるでしょう。
マスコミはどちらかを、あるいは、両方を批判の対象とするはずです(不思議なことに、日本では、犯人はあまり批判の対象にはなりません)。
では、一般の日本人のレベルではどうでしょうか。誰が一番批判の対象になるか・・それは評論家Bのはずです。「アイツがあんなことを言ったから、犠牲が出た」、こういう論調は必ず出ます。それも少数ではなく、かなり多数です。
ここで考えてみて下さい。評論家Bは何か間違ったことを言ったでしょうか。何も言っていません。一意見を言っただけで、その意見も外国であればスタンダードな考えです。
にもかかわらず、日本では、必ずと言っていいほど、評論家Bに対する批判が出ます。
これが、古くから連綿と日本人の精神構造に継承されている「言霊」なのです。日本人はこのことを全く意識していません。それだけに、始末に負えないのです。日本人の精神構造に「言霊」が根付いている限りは、日本には真の意味での「言論の自由」は来ないのではないでしょうか。世界の国々の中で、真の意味での「言論の自由」から一番遠い国は、意外にも日本かもしれません。
弁理士 天野 広
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2. 知 財 ニ ュ ー ス
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◆登録商標「直虎」、特許庁は浜松市の異議を認めず
現在放映中のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台である浜松市が、長野県須坂市の老舗みそ・しょうゆ製造販売会社「糀屋本藤(こうじやほんどう)醸造舗」などが登録していた「直虎」の登録商標の取り消しを求めた異議申し立てに対し、特許庁は3月27日、異議を認めない決定を下しました。
特許庁は、「直虎」を名乗る人物は、ドラマの主人公の「井伊 直虎」以外にも、歴史上に複数いたことから「特定の人物を示していない」と判断しました。
「直虎」の商標は、糀屋本藤醸造舗などが出願した2件が昨年4月に商標登録されています。同社は今年没後150年を迎える江戸時代の第13代須坂藩主・堀直虎にあやかって一昨年12月に出願していました。
堀直虎は若くして同藩主となり、幕末の動乱期に藩政改革を推し進めた名君とされています。
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3. 連 載 知 財 講 座
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◆第54回:特許「用途発明」
用途発明とは、(1)ある物の未知の属性を発見し、(2)この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明をいいます。用途発明は、一般に、化学物質関係の発明に多く見られます。
例えば、「成分Aを有効成分とする二日酔い防止用食品組成物」は、既知の「成分Aを含有する食品組成物」が存在し、両者の食品組成物が「二日酔い防止用」という用途限定以外の点で相違しないとしても、以下の(1)および(2)の両方を満たす場合には、両者は異なる発明として認定されます。
(1)「二日酔い防止用」という用途が、成分Aがアルコールの代謝を促進するという未知の属性を発見したことにより見いだされたものであるとき。
(2)その属性により見いだされた用途が、「成分Aを含有する食品組成物」について従来知られている用途とは異なる新たなものであるとき。
一方、未知の属性を発見したとしても、その技術分野の出願時の技術常識を考慮し、その物の用途として新たな用途を提供したといえない場合は、用途発明に該当しません。
例えば、「成分Aを有効成分とする肌の保湿用化粧料」と「成分Aを有効成分とする肌のシワ防止用化粧料」について、前者が角質層を軟化させ肌への水分吸収を促進するとの整肌についての属性に基づくものであり、後者が体内物質Xの生成を促進するとの肌の改善についての未知の属性に基づくものであったとしても、両者はともに皮膚に外用するスキンケア化粧品として用いられるものです。
そして、保湿効果を有する化粧料は、保湿によって肌のシワ等を改善して肌状態を整えるものであって、肌のシワ防止のためにも使用されることが、この技術分野における技術常識である場合には、両者の用途を区別することができないことになります。
そのため、「シワ防止用」という用途限定が請求項に係る発明を特定するための意味を有しないものとして認定されることになります。
また、「~用」といった用途限定が付された化合物、微生物、動物または植物については、上記のような考え方が適用されず、用途限定のない化合物等そのものと解釈されます。このような用途限定は、一般に化合物の有用性を示しているにすぎないからです。
なお、機械、器具、物品、装置等については、通常、その物と用途とが一体であるため、上記の用途発明の考え方が適用されることはありません。
上記のように、用途発明であるか否かの判断は非常に難しいところがありますので、判断に迷われるような場合は気軽にご相談下さい。
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4. 事 務 所 か ら お 知 ら せ
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◆全国の大学・研究機関が保有する最先端の研究設備の有効活用
昨年11月のメルマガにて、微細構造の解析、微細加工、材料や物質の特性や分子の機能性分析等を行いたいとき、全国の大学・研究機関が保有する最先端的研究設備が利用できますとご案内しました。
今回、この全国の先端的研究設備の外部共用を進める「ナノテクノロジープラットフォーム」では、その利用機会拡大のために、アイデア(課題)をお持ちの研究者・技術者の提案を募集しています。採択されますと、応募者に対して、最先端的研究設備利用にあたって、必要となる利用料・旅費等が支援されます。
募集期間は、平成29年10月18日までです。
本件についてのお問合せ又はご相談先は、下記のとおりです。
*イノベーション拠点推進部 ナノテクノロジープラットフォーム事業
担当 西ケ野 政宏
Tel:090-1657-9483 Mail:masahiro.saigano@jst.go.jp
※詳しくは、下記のURLをご覧ください。
[URL] http://nanonet.mext.go.jp/shikou/h29/
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5. 所 員 ほ の ぼ の 日 記
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◆初めての園芸
リンゴ、バニラ、シナモン、アーモンド、ジャスミン、アボカド、クルミ、オリーブ、ホップ(ビールの香料)という名前は誰でも知っていると思いますが、これらの植物が生育している姿を知っている人は少ないと思います。もちろん、私も、シナモンとオリーブ以外は全く知りませんでした。
昨年の初夏の頃、自分でもなぜか分かりませんが、これらの植物が生育している姿を知りたくなり、苗を育ててみようという気になりました。これらの植物の苗のうちのいくつかは近所のホームセンターで入手できましたが、大半は、インターネット通販にて購入しました。苗の値段は500円~1500円程度で、それほど高価なものではありません。
苗が届くたびに、植木鉢に植え替えて庭に並べる日々が続き、最終的には、前述した植物の苗が全部揃いました。なお、アボカドは、八百屋で買って食べた後の種を植木鉢に蒔いて発芽させることができました。季節が夏に移っていくにつれて、植木鉢の植物はスクスクと育ち、見たことのない葉を広げ、私の目を楽しませてくれました。
ところが、初秋の頃から、これらの植物のいくつかは勢いを失い、葉が変色したり、落葉したりして、見る影もなくなりました。園芸知識のない私は、対処方法も分からず、おろおろしながら、冬を迎え、そのまま年を越すこととなりました。なお、バニラやジャスミン等については、「低温になると枯れるので注意せよ」との「取扱説明書」が苗に添付されていましたので、室内で越冬させました。
室外で越冬させた植物は殆ど枯れた様になっていたので、諦めておりましたが、3月になると、残っていた茎から小さな芽が出始め、何とアーモンドには、桜に似た、綺麗なピンクの花が数輪咲きました。
これに喜んだ私は、水遣りなどの手入れを再開したのですが、ふと、購入した苗を植え替えるときの土について考慮していなかったに気づき、昨年の秋に枯れた様になったのは、そのせいではないかと思いました。しかしながら、不精な私は園芸の本を買って研究するには至っていませんでした。
丁度その頃、町内会の回覧板にガーデニング講習会の生徒募集チラシが入っていたので、渡りに船と申し込み、第1回目の講習を受けたところ、前述した疑問点が全て解けました。講習会で習った事項に基づいて、数種類の土を購入して混合し、芽吹き始めた植物の植え替え、土の入れ替えを行ったところ、勢いが良くなり、現在も元気に生育しています。
2~3年のうちに、リンゴ、アーモンド、アボカド、クルミなどの木に実がなることはありませんが、他の植物と同様、観葉植物として、毎日、私の目を楽しませてくれています。
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★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-
福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 博多駅前ビジネスセンター411号
URL:http://www.kato-pat.jp/
TEL:092-413-5378 E-mail:mail@kato-pat.jp
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「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.54
発信日:2017年 5月 1日 発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇
1.弁理士コラム
◆雑感
2.知財ニュース
◆登録商標「直虎」、特許庁は浜松市の異議を認めず
3.連載 知財講座
◆第54回:特許「用途発明」
4.事務所からのお知らせ
◆全国の大学・研究機関が保有する最先端の研究設備の有効活用
5.所員ほのぼの日記
◆初めての園芸
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1. 弁 理 士 コ ラ ム
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◆雑感
このコラムは特許事務所が発信するものですので、当然のことながら、全てが特許その他の知財に関するものです。ただ、特許に関するコラムは、書くほうも読むほうも退屈なことが多く、私としてもあまり書く気になれない、というのが本音です。
という訳で、今回は特許とは関係がない、普段、私が興味を持っているテーマについて、よもやま話をしたいと思います。
何を今さらと思われるかもしれませんが、「今の日本に言論の自由はあると思いますか」と聞かれたら、本コラムを読まれている方々はどう答えますか?
おそらく、ほぼ全ての日本人は「ある」と答えるでしょう。「ない」と答えるのは、かなり度胸が要ります。
「ある」と答えるのは、ある意味で当然です。「ある」と答えた人の頭の中には、「言論の自由」の有無は、当局の規制(いわゆる「弾圧」)の有無とイコールの関係が成り立っているからです。
具体的には、政府への批判を自由に行うことができるのであれば、「言論の自由」があると言っていい、という考え方です。他国や昔の日本の政治情勢を考えれば、そう考えることにも一理あります。
例えば、中国や北朝鮮では、政府批判を行えば、即牢獄行きになります。戦前の日本でも、即牢獄行きとまでは行かないまでも、官憲に引っ張られるという状況でした。これに比べれば、今の日本には、当局による言論への弾圧は皆無と言っていいでしょう。
最初の質問に戻りますが、私は「ない」と答えます。
なぜ「ない」のか? むろん、当局の弾圧があるから、などとは言いません。当局の問題ではなく、日本人自らの精神構造(あるいは、「宗教」とも言えるもの)の問題です。日本人は、自らの精神構造で自らを縛りつけていると思うからです。
話は変わりますが、「言霊」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。現代ではほぼ死語になっていますが、「考えていることを言葉にして発し、言葉の霊力によって、それを実現させること、あるいは、実現させようとすること」のような意味合いの言葉です。昔の日本人はこの「言霊」を信じていました。
何をもって宗教とするか、という問いに正確に答えるのはかなり難しいことですが、少なくとも宗教の一つの側面として「不合理なことを信じること」というものがあります。
例えば、イスラム教徒は、メッカの方角に向けて礼拝(サラート)を一日に五回行いますが、日本人からすれば、「不合理」以外の何物でもないでしょう。
「言霊」も同じです。外国人から見れば、「不合理」以外の何物でもありませんが、昔の日本人はこれを信じていました(要するに、日本古来の、かつ、日本特有の「宗教」と言えるものです)。
その昔、平安貴族(現代用語で言えば、政府閣僚)にとって、歌(和歌)を詠むことは重要な仕事の一つでした。現代人から見れば、無能にしか見えないでしょうが、彼らはその当時の最新の科学(もしくは統治理論)である「言霊」を熱心に実行していたにすぎません。
現代人は「言霊」を一笑に付すでしょうが、笑っている本人の頭の中に「言霊」はまだ根付いています。つまり、例外なく、日本にいる日本人(「日本にいる日本人」と言ったのは、例えば、海外で生まれ育った日本人には当てはまらないからです。)の精神構造には、「言霊」が間違いなく根強く残っているのです。
そんな馬鹿な、と嗤う人がいるかもしれません。では、
結婚式のスピーチで「別れる」、「切れる」という言葉を出せますか?
受験生のいる家庭で「落ちる」、「滑る」と言えますか?
翌日に出張に行く上司に、冗談でも「明日は天候が悪いみたいだから、飛行機が落ちるかもしれないですね」と言えますか?
そう遠くない昔に「戦争反対」を声高に叫ぶ政党がありました(今でもありますが、消滅寸前です。)。「戦争反対、9条死守」のための具体策は示さず(当人は示していたつもりでしょうが、現実性がなく、「策」とは言えないものでした。)、ただ単に叫ぶのみ。言うまでもなく、これも「言霊」に支配された結果です(もちろん、その政党の人間はそんなことは全く気付いていなかったでしょうが。)。ただ単にそういう言葉を発していればいい訳ですから、ラクなものでした。
最近でも、この種の例はいくらでもあります。例えば、次のような場面を想定してみて下さい。
日本で飛行機がハイジャックされました。乗客が人質になり、犯人は政府に身代金を要求しています。
こういう場合、報道番組などでは、政府はどう対処すべきかについての討論が行われます。討論と言っても、出てくる意見は基本的には二つだけです。
評論家Aは「人間の命は何物にも代え難い。政府は即刻身代金を支払うべきだ」と言い、評論家Bは「身代金を支払うことは世界のルールにも反する。即刻強行突入して解決を図るべきだ」と言います。
結局、政府は強行策をとりました。実戦部隊が強行突入し、犯人は全員射殺されましたが、人質が何人か犠牲になりました。
人質が犠牲になった訳ですから、当然ながら、批判が出ます。問題はその批判がどこに向けられるかです。強行突入した実戦部隊がミスったのであれば、実戦部隊が批判の対象になりますし、強行突入を決めた政府も批判の対象になるでしょう。
マスコミはどちらかを、あるいは、両方を批判の対象とするはずです(不思議なことに、日本では、犯人はあまり批判の対象にはなりません)。
では、一般の日本人のレベルではどうでしょうか。誰が一番批判の対象になるか・・それは評論家Bのはずです。「アイツがあんなことを言ったから、犠牲が出た」、こういう論調は必ず出ます。それも少数ではなく、かなり多数です。
ここで考えてみて下さい。評論家Bは何か間違ったことを言ったでしょうか。何も言っていません。一意見を言っただけで、その意見も外国であればスタンダードな考えです。
にもかかわらず、日本では、必ずと言っていいほど、評論家Bに対する批判が出ます。
これが、古くから連綿と日本人の精神構造に継承されている「言霊」なのです。日本人はこのことを全く意識していません。それだけに、始末に負えないのです。日本人の精神構造に「言霊」が根付いている限りは、日本には真の意味での「言論の自由」は来ないのではないでしょうか。世界の国々の中で、真の意味での「言論の自由」から一番遠い国は、意外にも日本かもしれません。
弁理士 天野 広
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2. 知 財 ニ ュ ー ス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
◆登録商標「直虎」、特許庁は浜松市の異議を認めず
現在放映中のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台である浜松市が、長野県須坂市の老舗みそ・しょうゆ製造販売会社「糀屋本藤(こうじやほんどう)醸造舗」などが登録していた「直虎」の登録商標の取り消しを求めた異議申し立てに対し、特許庁は3月27日、異議を認めない決定を下しました。
特許庁は、「直虎」を名乗る人物は、ドラマの主人公の「井伊 直虎」以外にも、歴史上に複数いたことから「特定の人物を示していない」と判断しました。
「直虎」の商標は、糀屋本藤醸造舗などが出願した2件が昨年4月に商標登録されています。同社は今年没後150年を迎える江戸時代の第13代須坂藩主・堀直虎にあやかって一昨年12月に出願していました。
堀直虎は若くして同藩主となり、幕末の動乱期に藩政改革を推し進めた名君とされています。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
3. 連 載 知 財 講 座
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◆第54回:特許「用途発明」
用途発明とは、(1)ある物の未知の属性を発見し、(2)この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明をいいます。用途発明は、一般に、化学物質関係の発明に多く見られます。
例えば、「成分Aを有効成分とする二日酔い防止用食品組成物」は、既知の「成分Aを含有する食品組成物」が存在し、両者の食品組成物が「二日酔い防止用」という用途限定以外の点で相違しないとしても、以下の(1)および(2)の両方を満たす場合には、両者は異なる発明として認定されます。
(1)「二日酔い防止用」という用途が、成分Aがアルコールの代謝を促進するという未知の属性を発見したことにより見いだされたものであるとき。
(2)その属性により見いだされた用途が、「成分Aを含有する食品組成物」について従来知られている用途とは異なる新たなものであるとき。
一方、未知の属性を発見したとしても、その技術分野の出願時の技術常識を考慮し、その物の用途として新たな用途を提供したといえない場合は、用途発明に該当しません。
例えば、「成分Aを有効成分とする肌の保湿用化粧料」と「成分Aを有効成分とする肌のシワ防止用化粧料」について、前者が角質層を軟化させ肌への水分吸収を促進するとの整肌についての属性に基づくものであり、後者が体内物質Xの生成を促進するとの肌の改善についての未知の属性に基づくものであったとしても、両者はともに皮膚に外用するスキンケア化粧品として用いられるものです。
そして、保湿効果を有する化粧料は、保湿によって肌のシワ等を改善して肌状態を整えるものであって、肌のシワ防止のためにも使用されることが、この技術分野における技術常識である場合には、両者の用途を区別することができないことになります。
そのため、「シワ防止用」という用途限定が請求項に係る発明を特定するための意味を有しないものとして認定されることになります。
また、「~用」といった用途限定が付された化合物、微生物、動物または植物については、上記のような考え方が適用されず、用途限定のない化合物等そのものと解釈されます。このような用途限定は、一般に化合物の有用性を示しているにすぎないからです。
なお、機械、器具、物品、装置等については、通常、その物と用途とが一体であるため、上記の用途発明の考え方が適用されることはありません。
上記のように、用途発明であるか否かの判断は非常に難しいところがありますので、判断に迷われるような場合は気軽にご相談下さい。
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4. 事 務 所 か ら お 知 ら せ
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◆全国の大学・研究機関が保有する最先端の研究設備の有効活用
昨年11月のメルマガにて、微細構造の解析、微細加工、材料や物質の特性や分子の機能性分析等を行いたいとき、全国の大学・研究機関が保有する最先端的研究設備が利用できますとご案内しました。
今回、この全国の先端的研究設備の外部共用を進める「ナノテクノロジープラットフォーム」では、その利用機会拡大のために、アイデア(課題)をお持ちの研究者・技術者の提案を募集しています。採択されますと、応募者に対して、最先端的研究設備利用にあたって、必要となる利用料・旅費等が支援されます。
募集期間は、平成29年10月18日までです。
本件についてのお問合せ又はご相談先は、下記のとおりです。
*イノベーション拠点推進部 ナノテクノロジープラットフォーム事業
担当 西ケ野 政宏
Tel:090-1657-9483 Mail:masahiro.saigano@jst.go.jp
※詳しくは、下記のURLをご覧ください。
[URL] http://nanonet.mext.go.jp/shikou/h29/
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5. 所 員 ほ の ぼ の 日 記
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◆初めての園芸
リンゴ、バニラ、シナモン、アーモンド、ジャスミン、アボカド、クルミ、オリーブ、ホップ(ビールの香料)という名前は誰でも知っていると思いますが、これらの植物が生育している姿を知っている人は少ないと思います。もちろん、私も、シナモンとオリーブ以外は全く知りませんでした。
昨年の初夏の頃、自分でもなぜか分かりませんが、これらの植物が生育している姿を知りたくなり、苗を育ててみようという気になりました。これらの植物の苗のうちのいくつかは近所のホームセンターで入手できましたが、大半は、インターネット通販にて購入しました。苗の値段は500円~1500円程度で、それほど高価なものではありません。
苗が届くたびに、植木鉢に植え替えて庭に並べる日々が続き、最終的には、前述した植物の苗が全部揃いました。なお、アボカドは、八百屋で買って食べた後の種を植木鉢に蒔いて発芽させることができました。季節が夏に移っていくにつれて、植木鉢の植物はスクスクと育ち、見たことのない葉を広げ、私の目を楽しませてくれました。
ところが、初秋の頃から、これらの植物のいくつかは勢いを失い、葉が変色したり、落葉したりして、見る影もなくなりました。園芸知識のない私は、対処方法も分からず、おろおろしながら、冬を迎え、そのまま年を越すこととなりました。なお、バニラやジャスミン等については、「低温になると枯れるので注意せよ」との「取扱説明書」が苗に添付されていましたので、室内で越冬させました。
室外で越冬させた植物は殆ど枯れた様になっていたので、諦めておりましたが、3月になると、残っていた茎から小さな芽が出始め、何とアーモンドには、桜に似た、綺麗なピンクの花が数輪咲きました。
これに喜んだ私は、水遣りなどの手入れを再開したのですが、ふと、購入した苗を植え替えるときの土について考慮していなかったに気づき、昨年の秋に枯れた様になったのは、そのせいではないかと思いました。しかしながら、不精な私は園芸の本を買って研究するには至っていませんでした。
丁度その頃、町内会の回覧板にガーデニング講習会の生徒募集チラシが入っていたので、渡りに船と申し込み、第1回目の講習を受けたところ、前述した疑問点が全て解けました。講習会で習った事項に基づいて、数種類の土を購入して混合し、芽吹き始めた植物の植え替え、土の入れ替えを行ったところ、勢いが良くなり、現在も元気に生育しています。
2~3年のうちに、リンゴ、アーモンド、アボカド、クルミなどの木に実がなることはありませんが、他の植物と同様、観葉植物として、毎日、私の目を楽しませてくれています。
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★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-
福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 博多駅前ビジネスセンター411号
URL:http://www.kato-pat.jp/
TEL:092-413-5378 E-mail:mail@kato-pat.jp
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