2016年09月18日/読売Online 地域版山梨News: URL=
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  働 く 高 齢 者  い き い き・・・あ す 敬 老 の  日

◆リサイクル会社勤務 鈴木さん85歳「規則正しい生活 健康」

  明日の19日は敬老の日。いまや3・5人に1人が65歳以上という高齢化社会を迎えた県内でも、高齢者雇用を積極的に進める企業が増えている。こうした動きは高齢者自身の生きがいや健康づくりに貢献するだけではなく、現役世代が社会保障制度を支える負担を軽くすることにもつながる。しかし意欲のある高齢者が年齢にかかわらず働き続けることができる「生涯現役社会」の実現はまだ道半ばで、山梨労働局は積極的に推進を図っている。(渡辺洋介)

  「元気なうちは働き続けますよ」。リサイクル事業を展開する「総合リサイクルセンター黒田」(富士吉田市大明見)に勤める鈴木修一さん(85)は16日、いすに腰掛けて黙々とトイレットペーパーの包装に取り組んでいた。

  鈴木さんは長年勤めた職場を50代で退職した後、アルバイトなどを続け、6年ほど前に知り合いのつてで同社で働き始めた。体力を考慮して1日4時間、週3日の勤務だが、座ったままできる作業は従業員の中で最高齢の鈴木さんにも無理をせずこなすことができる。金銭的な面で働かなければならないわけではないが、「働いていれば規則正しく生活でき、健康を保てる。この年齢でも働ける環境があるのはありがたい」と話す。

  同社は2015年度、厚生労働省などが主催するコンテストで、高齢者雇用で先進的な取り組みをしている全国の46社の一つに選ばれ、表彰された。定年制を設けず60歳を超えても賃金を維持するなど待遇も現役世代と変わらない。この結果、約60人の従業員のうち60歳以上が約15人と4分の1を占める。同社の黒田光秀社長は「高齢者本人が働きたいのに年齢を理由に退職させるのは会社にとっても痛手。長年働いてくれている人であればその経験を若手に伝えるという効果も期待できる」と高齢者雇用に取り組む理由を説明する。

  同社では工場内の金属や段ボールの選別といった体力を要する仕事や、プラスチックや新聞雑誌の選別といった座りながら出来る仕事などさまざまな業務を個人の体力に応じて振り分けているといい、黒田社長は「高齢者も貴重な戦力」と強調する。

  高齢者も社会の支え手になる環境作りは不可欠だ。山梨労働局によると、15年6月現在、県内企業920社のうち、少なくとも65歳までは希望する全員が働くことが出来る企業は72%にあたる662社で、前年より21社増えた。高齢化社会を背景に増加傾向にある。

  しかし、少なくとも70歳までは希望する全員が働ける企業になると162社と17・6%にとどまる。日本人の平均寿命は男性で80・79、女性で87・05歳であり、「生涯現役社会」が実現されているとは言い難い。山梨労働局の担当者は、「高齢になればなるほど体力面などの問題で働くのは難しいと企業は考えがち」とその背景を分析し、「高齢者ができる業務もある。労働力人口の低下などを踏まえ、高齢者雇用に向けた普及・啓発に取り組んでいきたい」としている。

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