「中国に屈せぬ、日本学べ」韓国紙主張
2016年8月20日 お仕事 日経電子版アジアメールマガジン2016/8/18によると、下記ご紹介の「中国に屈せぬ、日本に学べ」、韓国紙が主張の秋田編集委員のコラムは、同電子版8月11日~8月17日によく読まれた記事の1位(マイナス成長危機と北戴河「習・李」戦争)に次ぐ、標題記事は当然ながら、2位の関心度を読者が示したようである。
かっては世界の警察官を自負していた米国の覇権力学も、その弱体傾向に反比例して、近年とみに海洋国力拡充面から強引な覇権力の表面化戦術を展開し始めている中国の覇権力学と対比して、同世界史を描いていくか。
その米中両国の間に存在する日米連携外交、日中親善外交のあり方など、日本史の新時代を構築するための『生涯現役プロデューサー』仮登録ご関係者各位のご賢察を期待する次第である。
日経電子版2016/8/12 6:30URL=http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05908840Q6A810C1000000/?n_cid=MELMG008
「 中 国 に 屈 せ ぬ 、 日 本 学 べ 」、 韓 国 紙 が 主 張
編集委員 秋田浩之
在韓米軍による最新鋭の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の導入を阻もうと、中国が韓国に圧力を強めている。韓国側は当初、押され気味だったが、ここにきて変化の芽がみられる。
韓国政府は7月8日、在韓米軍へのサード導入を認める方針を決め、米側と合意した。北朝鮮の核、ミサイルの脅威が高まっているため、最新鋭のミサイル防衛システムを入れることにしたのである。
ところが、中国がこれに激しく反発し、合意を撤回するよう韓国に迫っている。
「サードが配備されたら、中韓の相互信頼が損なわれ、負の影響をもたらす。もう一度、慎重に検討してもらいたい」
中国の王毅外相は7月25日の中韓外相会談で、なかば、こう脅した。共産党機関誌「人民日報」をはじめとする中国官制メディアも、韓国批判の報道をしている。
中国が神経をとがらせるのは、サードが高性能レーダーをそなえており、1000~2000キロメートルを探知できるといわれるからだ。本当なら、中国内陸のミサイル情報まで集められてしまう。
韓国は中国からの報復を恐れ、南シナ海問題で中国に配慮し、なんとか怒りをかわそうとした。7月12日、仲裁裁判所が南シナ海での中国の主張を退ける判決を出した際にも、あからさまな対中批判は手控えた。
■執拗な圧力で韓国が微妙に変えた態度
ところが、中国から執拗な圧力を受けるにつれ、韓国の態度にも微妙な変化が出はじめた。官制メディアまで動員し、揺さぶりをかける中国のやり方に、さすがに反発が高まっているようなのだ。
「中国にとやかく言われる問題ではない。彼らがどんなに反発しても、北朝鮮から国を守るため、韓国はサードを導入すべきだ」
最近、筆者が会った韓国政府の安全保障ブレーンはこう力説した。さらに「中国からはさまざまな報復を受けるだろうが、韓国政府がひるむことはないだろう」と言い切った。
こうしたなか、韓国の大手紙「朝鮮日報」に興味深いコラムが掲載された。
「中国の報復に屈しなかった日本に学べ」(7月20日付)。こんな見出しで、対中外交で日本をお手本にするよう提言したのだ。その趣旨はこうだ。
*2012年9月、尖閣諸島を国有化した日本に対し、中国は軍事圧力を強めた。中国内では反日デモが燃え広がり、日本車の販売台数も半減した。
*しかし、日本政府や国民は中国の報復に屈せず、尖閣国有化の撤回を求める声は皆無だった。日本メディアも、中国の「国際秩序を無視する行動」に焦点を当て、報じた。
*日本が脅しに動じなかったのは、「屈服」すれば、さらにむちゃな要求を突きつけられると考えたからだ。日本の事例を参考に、韓国も「肝の据わった」対応をすべきだ。
今後の焦点は、政権当初、対中関係を重視していた朴槿恵(パク・クネ)大統領が、どんな対応に出るかである。その“先行指標”ともいえるできごとが、最近あった。
■「北朝鮮にもっと強い問題提起を」
8月7日。大統領府(青瓦台)の金声宇・広報首席秘書官が日曜日にもかかわらず、記者団を集め、コメントを発表した。
「我々の防衛的な措置を問題にする前に、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定を壊している北朝鮮に対し、中国はもっと強く問題提起をすべきだ」
中国をあからさまに批判する内容だ。このコメントについて、記者団からは「朴槿恵大統領の発言と考えていいのか」との質問が出た。韓国メディアによると、金声宇氏は「青瓦台の立場だと考えればいい」と説明した。
そのうえで彼は、韓国によるサード配備決定が北朝鮮のミサイル発射を招いたとする中国メディアの報道についても、「本末転倒だ」と切り捨てたという。
韓国からみれば、北朝鮮に十分な圧力や制裁を科さず、韓国のミサイル防衛整備を非難する中国は身勝手に映るにちがいない。そうした不満が、じわりと表面化した格好だ。
むろん、中国と地続きにあり、日米より対中貿易依存度が高い韓国が、このまま中国離れに動くとはかぎらない。それでも中韓の「距離」が変われば、北東アジアの力学にも影響がおよぶ。
秋田浩之(あきた・ひろゆき)
1987年日本経済新聞社入社。政治部、北京、ワシントン支局などを経て編集局編集委員。著書に「暗流 米中日外交三国志」。
かっては世界の警察官を自負していた米国の覇権力学も、その弱体傾向に反比例して、近年とみに海洋国力拡充面から強引な覇権力の表面化戦術を展開し始めている中国の覇権力学と対比して、同世界史を描いていくか。
その米中両国の間に存在する日米連携外交、日中親善外交のあり方など、日本史の新時代を構築するための『生涯現役プロデューサー』仮登録ご関係者各位のご賢察を期待する次第である。
日経電子版2016/8/12 6:30URL=http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05908840Q6A810C1000000/?n_cid=MELMG008
「 中 国 に 屈 せ ぬ 、 日 本 学 べ 」、 韓 国 紙 が 主 張
編集委員 秋田浩之
在韓米軍による最新鋭の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の導入を阻もうと、中国が韓国に圧力を強めている。韓国側は当初、押され気味だったが、ここにきて変化の芽がみられる。
韓国政府は7月8日、在韓米軍へのサード導入を認める方針を決め、米側と合意した。北朝鮮の核、ミサイルの脅威が高まっているため、最新鋭のミサイル防衛システムを入れることにしたのである。
ところが、中国がこれに激しく反発し、合意を撤回するよう韓国に迫っている。
「サードが配備されたら、中韓の相互信頼が損なわれ、負の影響をもたらす。もう一度、慎重に検討してもらいたい」
中国の王毅外相は7月25日の中韓外相会談で、なかば、こう脅した。共産党機関誌「人民日報」をはじめとする中国官制メディアも、韓国批判の報道をしている。
中国が神経をとがらせるのは、サードが高性能レーダーをそなえており、1000~2000キロメートルを探知できるといわれるからだ。本当なら、中国内陸のミサイル情報まで集められてしまう。
韓国は中国からの報復を恐れ、南シナ海問題で中国に配慮し、なんとか怒りをかわそうとした。7月12日、仲裁裁判所が南シナ海での中国の主張を退ける判決を出した際にも、あからさまな対中批判は手控えた。
■執拗な圧力で韓国が微妙に変えた態度
ところが、中国から執拗な圧力を受けるにつれ、韓国の態度にも微妙な変化が出はじめた。官制メディアまで動員し、揺さぶりをかける中国のやり方に、さすがに反発が高まっているようなのだ。
「中国にとやかく言われる問題ではない。彼らがどんなに反発しても、北朝鮮から国を守るため、韓国はサードを導入すべきだ」
最近、筆者が会った韓国政府の安全保障ブレーンはこう力説した。さらに「中国からはさまざまな報復を受けるだろうが、韓国政府がひるむことはないだろう」と言い切った。
こうしたなか、韓国の大手紙「朝鮮日報」に興味深いコラムが掲載された。
「中国の報復に屈しなかった日本に学べ」(7月20日付)。こんな見出しで、対中外交で日本をお手本にするよう提言したのだ。その趣旨はこうだ。
*2012年9月、尖閣諸島を国有化した日本に対し、中国は軍事圧力を強めた。中国内では反日デモが燃え広がり、日本車の販売台数も半減した。
*しかし、日本政府や国民は中国の報復に屈せず、尖閣国有化の撤回を求める声は皆無だった。日本メディアも、中国の「国際秩序を無視する行動」に焦点を当て、報じた。
*日本が脅しに動じなかったのは、「屈服」すれば、さらにむちゃな要求を突きつけられると考えたからだ。日本の事例を参考に、韓国も「肝の据わった」対応をすべきだ。
今後の焦点は、政権当初、対中関係を重視していた朴槿恵(パク・クネ)大統領が、どんな対応に出るかである。その“先行指標”ともいえるできごとが、最近あった。
■「北朝鮮にもっと強い問題提起を」
8月7日。大統領府(青瓦台)の金声宇・広報首席秘書官が日曜日にもかかわらず、記者団を集め、コメントを発表した。
「我々の防衛的な措置を問題にする前に、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定を壊している北朝鮮に対し、中国はもっと強く問題提起をすべきだ」
中国をあからさまに批判する内容だ。このコメントについて、記者団からは「朴槿恵大統領の発言と考えていいのか」との質問が出た。韓国メディアによると、金声宇氏は「青瓦台の立場だと考えればいい」と説明した。
そのうえで彼は、韓国によるサード配備決定が北朝鮮のミサイル発射を招いたとする中国メディアの報道についても、「本末転倒だ」と切り捨てたという。
韓国からみれば、北朝鮮に十分な圧力や制裁を科さず、韓国のミサイル防衛整備を非難する中国は身勝手に映るにちがいない。そうした不満が、じわりと表面化した格好だ。
むろん、中国と地続きにあり、日米より対中貿易依存度が高い韓国が、このまま中国離れに動くとはかぎらない。それでも中韓の「距離」が変われば、北東アジアの力学にも影響がおよぶ。
秋田浩之(あきた・ひろゆき)
1987年日本経済新聞社入社。政治部、北京、ワシントン支局などを経て編集局編集委員。著書に「暗流 米中日外交三国志」。
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