本日(2016.8.8)付の東洋経済ONLINE=http://toyokeizai.net/articles/-/130172で掲載された冨山 真由氏の先月末東京都知事選「小池圧勝」成果が教えてくれるのは、 “ た だ ひ た す ら の 行 動 ある の み だ ” とか・・・。 平素私たち『生涯現役社会づくり』全国展開への本気度や掛け声に酔い痴れたり、意志や やる気の有無を自他批判・論議をする以前に、日々の行動がまず目指す全国展開策に着実に役立っているか否かも、以下の「小池流行動」への分析手法から学んでみたいと思う。
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 目 標 を 達 成 す る カ ギ は 意 志 や や る 気 で は な い
      都 知 事 選 「 小 池 圧 勝 」 の 裏 に あ る
              異   例   の   行   動   力

  無所属で立候補した小池百合子氏が、初の女性都知事に当選しました。今回の都知事選では、野党4党の推薦を受けた鳥越俊太郎氏、自民党の推薦を受けた増田寛也氏、そこに小池氏を加えた「三つどもえ」の戦いとしてメディアから注目を集めていましたが、終わってみれば小池氏の圧勝。これには、ひとえに彼女の行動力の高さがポイントだったのではないかと感じています。

  なぜこんなことを言うのか、それは目標を達成するためには、「行動」にフォーカスする必要があり、これは裏を返せば、行動したからこそ結果が出たともいえるからです。拙著『1%の素敵な人だけが実践している「なりたい自分」になる方法』でも解説していますが、目標を達成する人たちは、ほかの人と比べて意志の力が強いわけでもなく、やる気が高いわけでもありません。何よりもまず「行動」しているから、目標を達成できるのです。そして、これは小池氏も例外ではありません。

  立 候 補 表 明 か ら 垣 間 見 え た 「 異 例 の 行 動 力 」
  私は現在、行動習慣コンサルタントとして個人や法人を対象にセッションを行っていて、「行動科学マネジメント」という手法を用いています。これは米国発祥の行動分析学をベースにしたノウハウで、行動科学マネジメントでは、行動を【先行条件】【行動】【結果】の3つの要素から成り立っていると定義します。

  たとえば、今回の都知事選でいえば、次の3つに分けられます。
【先行条件】 立 候 補 す る
【行   動】 選 挙 活 動(PR)を す る
【結   果】 有 権 者 に 投 票 し て も ら う

  選挙をするためには、まず立候補しなければ始まりません(【先行条件】)。そして立候補すると、各自選挙活動をします(【行動】)。選挙活動を積み重ねた結果、候補者は有権者から投票をしてもらいます(【結果】)。

  これを今回の小池氏で当てはめて考えてみた場合、小池氏は自民党内の調整を待たず、早々に立候補を表明するという異例の行動に出ました。一般人であれば、都知事選という大舞台、思いつきこそするものの、行動に至る人は皆無でしょう。現に政治のプロである政治家、自民党内部からも批判の声が上がりました。しかし、今となっては、誰よりも早くに行動したことで、メディアからの注目を集めたといえます。

  「先出しジャンケン」ともいわれた立候補の表明は、身内から強いバッシングを受けましたが、有権者の目には、東京都議会という現体制に真っ向から切り込んでいく強い候補者像として映ったでしょう。イメージカラーである“グリーン”を取り入れながら、各地でPRしたのも存在感を強くアピールするための積極的な「行動」といえます。

  「 行 動 の 見 え る 化 」 で 集 中 力 を 切 ら さ ず P R
  また、今回の小池氏の選挙活動において、行動科学マネジメントの観点で特筆すべきポイントがあります。それが「行動の見える化」です。行動科学マネジメントでは、行動を強化する手段のひとつとして位置づけていて、小池氏はこれを緻密に行ったため、投票数を伸ばせたともいえます。

  たとえば、小池氏の東京都知事選特設サイトを見るとわかりますが、HP上には東京都の地図がアップされ、街頭演説をしたエリアがすべてイメージカラーの緑で埋め尽くされています。過去の演説日程についても、日時、場所がつぶさに記載されています。このように自分の行動を「見える化」しておけば、告示から投開票日までの間、集中力を切らすことなく、選挙活動が続けられます。

  「行動の数=有権者へのPR数」ですから、多くの人たちにアピールができたはずです。演説時の動画をアップしたり、Twitterで有権者からの意見をもらったりするなどSNS対策にも抜かりはありませんでした。

  行 動 こ そ が 結 果 を 手 繰 り 寄 せ る
  もちろん、ほかのライバル候補者が行動していなかったわけではありません。ただ、増田氏陣営からは女性差別とも取れるヤジが飛び、鳥越氏からは女性スキャンダルが浮上。そんな中で男性都知事しかいなかった都知事選に女性として、ただひとり果敢に挑戦している姿が目にとまれば、誰もが自然と応援したくなります。女性票はもちろん、浮動票も小池氏に流れたのは当然といえるのかもしれません。

  これまでも小池氏は、環境相や女性初の防衛相を歴任しています。環境相時代には、「クールビズ」の定着に貢献するなど、類いまれな行動力に定評がありました。これだけ行動力のある政治家が初の女性都知事として就任するのですから、周囲の期待はとても高いものでしょう。

  私が思うに、政治とは行動の積み重ねです。有権者からの声なき声を拾い、それをいかに行動して形にしていくかが問われます。小池氏は、「これまでにない都政、これまでに見たことのないような都政を、みなさま方とともに進めてまいりたい」と話しているといいますが、同じ女性としてぜひともこれからの小池都知事が行動で都政を変えていくことを期待したいです。

【冨山 真由(とみやま まゆ) Mayu Tomiyama氏:プロフィール】
 (ウィルPMインターナショナル 行動習慣コンサルタント/行動定着コーチ
  行動科学マネジメント研究所 行動科学チーフインストラクター)
大学卒業後、医療機関を経て戦略コンサルティングファームに転職し、外資系企業に出向し人材育成マネジメントの大切さに気が付く。行動科学マネジメント研究所で学びを経て、今現在は数少ない女性の行動科学マネジメント講師として、大企業から中小企業の管理者の方や一般職の方に“行動習慣化”の大切さを研修で伝えている。代表著書『めんどくさがる自分を動かす技術』『どうして?自分に聞く力で問題解決!』(クロスメディア・パブリッシング)

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