岐阜版生涯現役社会の実現に向けて2
2016年7月19日 お仕事昨日付のBlogにつづく
3. 高 齢 者 及 び 企 業 の 意 識 や 考 え と 国 の 施 策
続いて、高齢者自身の就業に対する意識、高齢者雇用に対する企業の考え、国の高齢者雇用対策を見る。
(1) 就 業 に 対 す る 高 齢 者 の 意 識
60歳以上の男女を対象とした内閣府の調査では、「あなたは、何歳ごろまで仕事をしたいですか」との問いに対し、「60歳ぐらいまで」が11.8%、「65歳ぐらいまで」が21.4%と65歳以下を希望する者は約3割にとどまっている。
一方、「70歳ぐらいまで」が23.6%、「75歳ぐらいまで」が10.1%、「働けるうちはいつまでも」が29.5%など約7割の者が70歳以降も働きたいという希望を持っている(図表8※あなたは何歳ごろまで仕事をしたいですか
省略)。
厚生年金の年金支給開始年齢は、2025年度(女性は2030年度)までに65歳に引き上げられる。高齢化が急速に進展するなか、年金支給開始年齢は今後さらに引き上げられるとの懸念もあり、70歳以降も働くことを希望する高齢者が多い要因と考えられる。
(2) 高 齢 者 雇 用 に 対 す る 企 業 の 考 え
厚生労働省の調査によれば、2015年6月1日現在、希望者全員が65歳以上まで働くことができる企業は、中小企業の約7割、大企業の約5割である( 注1※省略 )。国の施策もあり、65歳まで働くことができる環境は整備されつつある。
一方で、70歳以上まで働くことができる企業は約2割である。先に見たとおり、高齢者の約7割が70歳以降も働きたいという希望を持っている。しかし、希望どおり就業を続けることは、依然として狭き門である。
(3) 国 の 高 齢 者 雇 用 対 策
高齢者の雇用対策は、離職した高齢者に対する、能力開発の支援などによる就業支援、定年延長による企業内雇用の維持を軸として進められてきた。定年延長については、前述のとおり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年齢者雇用安定法」)の改正によって、65歳までの雇用確保については道筋がつけられたところである。
ただし、多様化する高齢者の就業ニーズを、企業の雇用のみに求めることは限界に近づいている。こうしたことから、高齢者に地域の支え手として働いてもらうなど、高齢者の活躍の場を拡げ、健康で、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる「生涯現役社会」づくりが推進されている。
2013年6月に、「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」報告書で、「生涯現役社会」実現に向けた就労・社会参加のあり方の基本的な考え方が示された。また、2015年6月には「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」報告書で、生涯現役社会を実現していくための具体的な施策となる高年齢者の雇用・就業対策の現状と課題が整理された。2013年6月の報告書では以下の提言がなされている。
〈生涯現役社会の実現に向けた就労・社会のあり方について〉
■ 高齢期の就労・社会参加に向けた意識改革
退職後に活躍の場を見つけるためには、企業で働いていた時の仕事に対する考え方や職業能力に関する自己評価を地域の支え手となるという尺度から見直すことが必要である。
■ プラットフォーム・コーディネーター
設置の推進モデル事業シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPO等の各機関の連携強化を行うため、情報を共有するプラットフォームを作るとともに、地域のニーズを発掘、創造し、意欲のある高齢者を見出し、これらをマッチングさせていくコーディネーターを活用することが重要である。
■ シルバー人材センター等の活性化
シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センターについて、それぞれの機能強化を行うとともに、連携を強化することが必要である。
■ 専門的な知識や技術、経験を他の企業で活かす仕組みのあり方
地域の経済団体、地域密着型金融機関等の協力を得ながら、高齢者の持つ専門的知識や技術を活用できる地域の企業を掘り起こし、マッチングを行うことが必要である。
■ 企業における高齢者の活用のあり方
人事管理等に対応する人材や人事管理手法の情報が不足している企業もあることから、そのような企業に対する情報提供が必要である。 つづく
3. 高 齢 者 及 び 企 業 の 意 識 や 考 え と 国 の 施 策
続いて、高齢者自身の就業に対する意識、高齢者雇用に対する企業の考え、国の高齢者雇用対策を見る。
(1) 就 業 に 対 す る 高 齢 者 の 意 識
60歳以上の男女を対象とした内閣府の調査では、「あなたは、何歳ごろまで仕事をしたいですか」との問いに対し、「60歳ぐらいまで」が11.8%、「65歳ぐらいまで」が21.4%と65歳以下を希望する者は約3割にとどまっている。
一方、「70歳ぐらいまで」が23.6%、「75歳ぐらいまで」が10.1%、「働けるうちはいつまでも」が29.5%など約7割の者が70歳以降も働きたいという希望を持っている(図表8※あなたは何歳ごろまで仕事をしたいですか
省略)。
厚生年金の年金支給開始年齢は、2025年度(女性は2030年度)までに65歳に引き上げられる。高齢化が急速に進展するなか、年金支給開始年齢は今後さらに引き上げられるとの懸念もあり、70歳以降も働くことを希望する高齢者が多い要因と考えられる。
(2) 高 齢 者 雇 用 に 対 す る 企 業 の 考 え
厚生労働省の調査によれば、2015年6月1日現在、希望者全員が65歳以上まで働くことができる企業は、中小企業の約7割、大企業の約5割である( 注1※省略 )。国の施策もあり、65歳まで働くことができる環境は整備されつつある。
一方で、70歳以上まで働くことができる企業は約2割である。先に見たとおり、高齢者の約7割が70歳以降も働きたいという希望を持っている。しかし、希望どおり就業を続けることは、依然として狭き門である。
(3) 国 の 高 齢 者 雇 用 対 策
高齢者の雇用対策は、離職した高齢者に対する、能力開発の支援などによる就業支援、定年延長による企業内雇用の維持を軸として進められてきた。定年延長については、前述のとおり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年齢者雇用安定法」)の改正によって、65歳までの雇用確保については道筋がつけられたところである。
ただし、多様化する高齢者の就業ニーズを、企業の雇用のみに求めることは限界に近づいている。こうしたことから、高齢者に地域の支え手として働いてもらうなど、高齢者の活躍の場を拡げ、健康で、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる「生涯現役社会」づくりが推進されている。
2013年6月に、「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」報告書で、「生涯現役社会」実現に向けた就労・社会参加のあり方の基本的な考え方が示された。また、2015年6月には「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」報告書で、生涯現役社会を実現していくための具体的な施策となる高年齢者の雇用・就業対策の現状と課題が整理された。2013年6月の報告書では以下の提言がなされている。
〈生涯現役社会の実現に向けた就労・社会のあり方について〉
■ 高齢期の就労・社会参加に向けた意識改革
退職後に活躍の場を見つけるためには、企業で働いていた時の仕事に対する考え方や職業能力に関する自己評価を地域の支え手となるという尺度から見直すことが必要である。
■ プラットフォーム・コーディネーター
設置の推進モデル事業シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPO等の各機関の連携強化を行うため、情報を共有するプラットフォームを作るとともに、地域のニーズを発掘、創造し、意欲のある高齢者を見出し、これらをマッチングさせていくコーディネーターを活用することが重要である。
■ シルバー人材センター等の活性化
シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センターについて、それぞれの機能強化を行うとともに、連携を強化することが必要である。
■ 専門的な知識や技術、経験を他の企業で活かす仕組みのあり方
地域の経済団体、地域密着型金融機関等の協力を得ながら、高齢者の持つ専門的知識や技術を活用できる地域の企業を掘り起こし、マッチングを行うことが必要である。
■ 企業における高齢者の活用のあり方
人事管理等に対応する人材や人事管理手法の情報が不足している企業もあることから、そのような企業に対する情報提供が必要である。 つづく
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