忙 し い の に 仕 事 が で き る 人 の
           「 4   0   代  の  時  間  術 」 と は ?

――大塚さんは40代の後悔の原因が「時間」にあるとおっしゃっています。なぜ、時間を考えることが大事なのでしょうか。

  40代は30代と比べても仕事量が圧倒的に増えます。自分の仕事にプラスして管理職として業務が増え、家庭では子どもの教育、親の介護などもあり、役割が増えて時間が足りません。限られた時間のなかでどう両立するかをやりくりしなければならないのです。

  そこで大切なのは、「時間は作り出すものではない」と認識することです。つまり、時間割をやりくりし、ルーチンに組み込むことが大切です。私たちの1日は、無意識のルーチンの塊で構成されていますよね。朝起きてひげをそって朝ごはんを食べて、駅まで歩いて…。まずは、そのルーチンを工夫することから始めましょう。

――時間は、どう管理するといいのでしょうか。

  まずは、1週間で管理します。それを1日と1ヵ月という両脇の視点でにらみつつ、1週間をコマに分け、パズルのようにタスクをはめ込んでいくのです。

  その際、ルーチンワークとは別に、例外なしでブロックしておく“聖域”のような時間のコマもつくることをお勧めします。その時間は、どんなトラブルがあってもそこは空けるように、職場を離れたり、耳にイヤホンを入れて作業をして、誰にも邪魔させないようにします。

 「仕事を追え。仕事に追われるな」とは、アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンの言葉ですが、自分で時間の主導権を握って、コントロールすることが大切です。そのためにも、時間を見積もってから作業をしましょう。多めに見積もるか、少な目に見積もるのか人それぞれですが、結果的にかかった時間から逆算していけば、徐々に予定を正確に見積もれるようになります。こうして意志を持ってタスクに取り組めば、意志が計画になり、どんどん精度が高まって仕事が早くなります。

  仕事は忙しい人に頼め、とよく言われますが、忙しい人は意志を持って時間をコントロールしているから、素早くいい仕事をすることができるのです。

――大塚さんはどのようにスケジュールを管理していますか?

  私の仕事はお客様次第なので、まず年間でお客様先での研修等の予定を入れて、次に家族との旅行や子どもの学校行事を入れます。

  私は、スケジュール帳とToDoリストは別々に管理しているんです。スケジュールは能率手帳を使っていて胸ポケットに常に入れて、ToDoリストは「ほぼ日手帳」を使っています。月や1年といったマクロは手帳で、今日や1週間といったミクロはToDoリストで。つまり、「将来」という流れと「今」を深めるために分けているのです。

  ToDoが終わるまで仕事を続ける方が多いですが、他人に振り回されず、人生の主役になるためにも私は時間が来たら一度切り上げます。そして別のところで時間をとるように心がけています。

 「 ど ん な 人 生 だ と 幸 せ か 」 ゴ ー ル か ら
               逆 算 し て 時 間 を 過 ご す べ き

  多くの人は、ゴールがないからダラダラしてしまうのだと思います。私も20代の時はそうでした。午後10時半になるとほっとするんです。だいたい1日の仕事が終わるのがその頃で、そこから11時くらいまで先輩たちとくつろぎながら雑談していました。そして11時になると、みんなで飲みに行き、2時間ほど飲んで2時に寝るような生活でした。

  ただ、8時に終わらせようと思ったら仕事は終わっていたと思います。他にやりたいこともなく、なんとなく会社の居心地がいいから10時半に向けてダラダラ仕事をしていただけだったのです。ノー残業デーは、これまで時間がかかっていた仕事も方法を見直すだけで短時間で終わると気づかせてくれる良いきっかけと言っていいでしょう。

  時間の上手な使い方は1年~3年も試していけば、自分の得意・不得意がわかります。仕事の特性と傾向から自分で意識してPDCAを回してみてください。ゴルフも勉強も漫然とやっていたら、うまくなりませんよね。ゴルフは練習するからうまくなるように、時間もそういう意識を持つべきです。

――将来、自分の人生に満足するにはどんなことを心がけるべきでしょうか。

  時間の捉え方には2つあります。ここまで話してきたのはテクニック、つまり「時間の経営学」であるタイムマネジメントです。それに対し、どう使ったら満足度・効用が高いか、後悔しないかを考えるのが「時間の経済学」。経済学は、基準を意識しなければ、決して満足できないと思います。

  人生をどう生きたかは、日々の時間をどう過ごしたかの蓄積です。将来どうありたいか、どこに向かいたいか。そうした目標からブレークダウンして時間を使うことをおすすめします。毎日がんばっていても目標のない蓄積はサイコロを転がすようなもので、主導権を握れずに行き当たりばったりになりますよ。

  しかし40代は時間がありません。だからこそ、自分がどういう50代、60代になりたいかイメージを作って準備しておくのです。もちろんいつも考える必要はありません。半期か1年に1回、1月1日や12月31日の15分ほど自分決算をすれば十分です。

  この自分決算は短いタームで行う方が後悔も少なくなります。自分の意志で生きるなかで、うまくいかなかったとしてもすぐに微修正がきくからです。ですからまずは、時間の総量をどうコントロールするか、計画を立てつつ、細かくチューニングするところから始めてみてください。

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