「生涯現役」は人生での年齢には関係なく、自分を楽しく日々有意義に世に役立つことができれば、本当に結構なこと思う。しかし、いつも思い通りにはならない周囲との人間関係や、これまでの経験から生じた結果を考えるとき、必ずしも自己満足できないことも多い。

 その意味で、本日の日経新聞夕刊に掲載された前厚労省事務次官の村木厚子氏の標記「年をとるということ」には、官僚社会での豊富なご活動経験から学ばれた経験談に教えられることがある。と同時に、『一億総活躍社会』へのビジョンで上から目線での対応には、次のような反論に対してどう啓発していただけるか承れると有難い。

 前記反論の一部は、現代ビジネス「賢者の知恵」サイトの4/16付 URL=http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48416 での「一億総活躍」を恐れる人が急増中! 〜60歳過ぎたら、もう働きたくありません~人手不足や、年金の先行きが厳しいことは、よく分かる。60過ぎても70になっても「活躍」しろというのも、正論だ。でも、今までだって必死でやってきた。もう休ませてくれてもいいじゃないか。・・・(一部転載)
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日経新聞2016.5.10付夕刊
   【明日への話題/ 年 を と る と い う こ と 】

 30歳になったとき、20歳の時の自分より成長したと実感できた。40歳になったときも、30歳の時より成長したと思った。だが、40代半ば、老眼と体力の衰えに直面して、これからは下り坂、もう成長は望めないのだと悲観的になった。

 それから間もなく、仕事がかつてないほど忙しく厳しいものとなった。すると、寝ていないのに眠くない、食べていないのにおなかがすかない、さっきまで仕事をしていたような状態で目覚めるようになった。

 同僚に話すと「それはかなり危ない。それが続くとバーンアウトしますよ。少し肩代わりをしましょう」と言ってくれ、それで元の自分に戻ることができた。アドレナリンの大量放出によるものだと気付き、のんびりやの自分がアドレナリンを大量放出したことに驚いた。

 この年で新しい自分に出会うことがあると思うと「下り坂」も怖くなくなった。昨年60歳になったが、50歳の時より体力は落ちたものの人間は柔らかくなったと自分では思っている。70歳、80歳の自分はどうだろう。

 実は、身近にいいお手本がいる。後輩から「希望の星」と呼ばれる80代の女性だ。おおらかな性格、いわゆるノンキャリアの公務員で統計調査畑一筋、定年まで勤めた。自分達の時代は学校に行けなかったからと50代で通信制高校に通い、職場の若い仲間に数学や英語を教えてもらっていた。

 ノンキャリアの女性が役職に就く先駆けとなり、彼女の昇進をみんなが心から祝福した。今は65歳で始めたゴルフ、75歳で始めた水彩画を楽しみ、近所の高齢者の見守りもする。いつまでも新しいことにチャレンジできる、成長できると彼女が教えてくれる。

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