毎日3/16朝刊:保育園落ちた不満限界/続
2016年3月20日 お仕事 自 治 体 に 提 供 義 務 を 池 本 美 香 氏
池本美香(いけもと・みか )氏【略歴 /日本総研主任研究員。少子化に関わる保育・教育などが専門。主な著書に「親が参画する保育をつくる 国際比較調査をふまえて」(編著、勁草書房)など】
−− ブログが大きな反響を呼んだ背景は何でしょうか。
待機児童は長年問題となってきたのに放置され続けてきた不満が限界に達しています。政府は女性活躍や少子化対策を強調して保育所整備を進めると明言し、昨年4月には待機児童解消に向けた「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせましたが、待機児童は改善されていません。政策への期待が高まっていただけに現実とのギャップから怒りが生まれたのではないでしょうか。
−− 新制度への評価は?
戦後最大の保育改革という触れ込みでしたが、何が新しいのかと思います。もちろん、小規模保育を市町村の認可事業として基準を作ったり、評価できる点もありますが、幼稚園と保育所の一元化や待機児童など根本的な問題は解決されていません。
−− 待機児童を解消するにはどうすればよいでしょう?
すべての子どもに保育を受ける権利を保障し、自治体に保育を提供する義務を課すべきです。スウェーデンでは保育所への入所希望が出されたら、自治体は約3カ月以内に保育を提供しなければなりません。日本では自治体は「入れませんでした」と通知して終わり。義務があれば工夫も生まれるでしょう。
−− 財源はどうしますか?
国際的に日本の子育て関連予算の割合は低いので配分を増やす必要はありますが、まずは子育て関連事業の中で無駄を省くべきです。例えば、親の就業状況などをポイント制にして入所の優先順位を決めている自治体がありますが、その膨大な事務コストを定員拡大に振り向けるべきです。保育所が足りないがために、かえって無駄なコストが発生しています。ニュージーランドは行政コストの削減のために幼保一元化を行いました。発想の転換が必要です。
−− 保育量の拡大に合わせて、保育の質を担保することも求められています。
保育の先進諸国が導入しているように虐待や事故などを防ぐため、第三者がチェックする仕組みが必要です。園の評価や自治体ごとの待機児童の状況など基礎的な情報は国が主導して公表すべきでしょう。親の参画にもつながり、保育の改善に向けた幅広い議論が進むのではないでしょうか。【聞き手・山田泰蔵】
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「 変 わ っ て い っ て ほ し い 」
ブ ロ グ 書 い た 3 0 代 女 性
「保育園落ちた日本死ね」のブログは2月中旬に公開され、ネット上で広がった。
ブログを書いたのは、東京都内在住の30代前半の女性で夫と1歳の長男と3人暮らし。正社員の事務員として4月から職場復帰する予定だった。だが、通える範囲内にある認可、認可外のあらゆる保育施設に申し込んだが、すべて落ちてしまい、仕事を辞めなければならない可能性が出てきたという。実家は遠く、近所に頼れる人もいない。
自身のブログが国会議事堂周辺での集会につながるなど、反響の大きさに戸惑いもあったが、「(集会のように)実際に行動する事も大切なんだと感じています」という。
「子どもは保育園で他人と関わることで成長することもあるし、第三者の目に触れる事で虐待を防げることもあるのかな、と個人的には思います。(子育て世代は)票につながりづらい世代だからといって、解決を後回しにはしないでほしいですね。今後、変わっていってほしいと思います」と訴えている。
池本美香(いけもと・みか )氏【略歴 /日本総研主任研究員。少子化に関わる保育・教育などが専門。主な著書に「親が参画する保育をつくる 国際比較調査をふまえて」(編著、勁草書房)など】
−− ブログが大きな反響を呼んだ背景は何でしょうか。
待機児童は長年問題となってきたのに放置され続けてきた不満が限界に達しています。政府は女性活躍や少子化対策を強調して保育所整備を進めると明言し、昨年4月には待機児童解消に向けた「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせましたが、待機児童は改善されていません。政策への期待が高まっていただけに現実とのギャップから怒りが生まれたのではないでしょうか。
−− 新制度への評価は?
戦後最大の保育改革という触れ込みでしたが、何が新しいのかと思います。もちろん、小規模保育を市町村の認可事業として基準を作ったり、評価できる点もありますが、幼稚園と保育所の一元化や待機児童など根本的な問題は解決されていません。
−− 待機児童を解消するにはどうすればよいでしょう?
すべての子どもに保育を受ける権利を保障し、自治体に保育を提供する義務を課すべきです。スウェーデンでは保育所への入所希望が出されたら、自治体は約3カ月以内に保育を提供しなければなりません。日本では自治体は「入れませんでした」と通知して終わり。義務があれば工夫も生まれるでしょう。
−− 財源はどうしますか?
国際的に日本の子育て関連予算の割合は低いので配分を増やす必要はありますが、まずは子育て関連事業の中で無駄を省くべきです。例えば、親の就業状況などをポイント制にして入所の優先順位を決めている自治体がありますが、その膨大な事務コストを定員拡大に振り向けるべきです。保育所が足りないがために、かえって無駄なコストが発生しています。ニュージーランドは行政コストの削減のために幼保一元化を行いました。発想の転換が必要です。
−− 保育量の拡大に合わせて、保育の質を担保することも求められています。
保育の先進諸国が導入しているように虐待や事故などを防ぐため、第三者がチェックする仕組みが必要です。園の評価や自治体ごとの待機児童の状況など基礎的な情報は国が主導して公表すべきでしょう。親の参画にもつながり、保育の改善に向けた幅広い議論が進むのではないでしょうか。【聞き手・山田泰蔵】
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「 変 わ っ て い っ て ほ し い 」
ブ ロ グ 書 い た 3 0 代 女 性
「保育園落ちた日本死ね」のブログは2月中旬に公開され、ネット上で広がった。
ブログを書いたのは、東京都内在住の30代前半の女性で夫と1歳の長男と3人暮らし。正社員の事務員として4月から職場復帰する予定だった。だが、通える範囲内にある認可、認可外のあらゆる保育施設に申し込んだが、すべて落ちてしまい、仕事を辞めなければならない可能性が出てきたという。実家は遠く、近所に頼れる人もいない。
自身のブログが国会議事堂周辺での集会につながるなど、反響の大きさに戸惑いもあったが、「(集会のように)実際に行動する事も大切なんだと感じています」という。
「子どもは保育園で他人と関わることで成長することもあるし、第三者の目に触れる事で虐待を防げることもあるのかな、と個人的には思います。(子育て世代は)票につながりづらい世代だからといって、解決を後回しにはしないでほしいですね。今後、変わっていってほしいと思います」と訴えている。
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