日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ⑤
2015年12月13日 お仕事第66回 株式会社 三越伊勢丹ホールディングス
人 事 部 が 変 わ れ ば 、
現 場 が 変 わ る 、
店 頭 が 変 わ る
と こ と ん “ 個 ” に 向 き 合 う
三 越 伊 勢 丹 グ ル ー プ の 人 材 戦 略 と は (後編)
執行役員 人事部長 中村 守孝さん
「商品は数千万点も管理しているのに、わずか26000人と向き合えないはずがないだろう」――三越伊勢丹ホールディングス執行役員・人事部長の中村守孝さんは人事部のメンバーに、こう発破をかけたといいます(「前編」参照)。26000人は同社グループの全従業員数で、その約7割は女性。また、その多くは「スタイリスト」と呼ばれる、店頭での販売担当の従業員です。インタビューの後編では、スタイリストの育成およびキャリア形成支援のための具体的な施策や、週刊東洋経済『女性が働きやすい会社ランキング2015年版』で第1位に選ばれた同社の女性活躍推進の取り組みなどを中心にうかがいました。
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「 入 り 口 は 違 え ど 、 ゴ ー ル は 公 平 」 で
契 約 社 員 か ら マ ネ ジ ャ ー に
―― 三越伊勢丹ホールディングス人事部では年間約1000名強の従業員との面談を実施。とことん個と向き合う中で、「入口は違えど、ゴールは公平」のキーワードを創出し、これを販売力の要であるスタイリストに向けたメッセージとして強く発信しています。
スタイリストの大半は、月給制契約社員のメイト社員や時給制契約社員のフェロー社員が占めていますが、面談などで一人ひとり話してみると、やはりメイト社員やフェロー社員の中にも意欲、実力のある人材が多いことが分かってきました。そういう人たちに対して、フェロー社員からメイト社員、メイト社員から正社員へとキャリアアップを推奨し、背中を押してあげたいというのが、「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードに込めた、われわれの意図です。もちろん、自分のワークライフバランスに則って限られた時間だけ働くというスタイルを否定するつもりはありません。高いポジションに進み、より大きなやりがいと責任の中で自分を成長させたいという人はどうぞ手を挙げてください、門戸は開かれていますよ、ということなんです。現に、フェロー社員からメイト社員を経て正社員に転換し、マネジャー職まで上がったケースがもう5人も出ています。だから、入り口は違えど、ゴールは公平。入社式や内定式、各種の研修など、私はあらゆる機会を捉えて、このメッセージを発信しています。
―― 大卒社員も、うかうかできませんね。
当然です。だからこそ、メイト社員やフェロー社員にはキャリアに希望が持てるようなメッセージを送る一方で、大卒社員にはあえて、少し厳しい言葉を投げかけるようにしています。「最初から社員で入ってきて、入口ではたしかにリードしていたかもしれないけれど、それにあぐらをかいていると、あっという間に抜かれるよ。私はメイト社員に『大卒社員を抜きなさい』といつも言っているから」などと。希望を与えるにせよ、厳しく接するにせよ、どちらも従業員本人の自覚とモチベーションを引き出すアプローチであることに変わりはありません。
―― 「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードには、「ただし、意欲のある人材に限る」という条件がつくわけですね。
おっしゃるとおりです。もとより、人事部だけで解決できる人事課題は一つもありません。人事部が、いくら従業員にとって素晴らしい制度や仕組みを考えて提供しても、それが実際に活かされて成果に結びつくかどうかは、従業員自身に依存する部分が大きいわけです。だからこそ、われわれはもっと個に向き合い、一人ひとりに自立と自律を促さなくてはなりません。 つづき
人 事 部 が 変 わ れ ば 、
現 場 が 変 わ る 、
店 頭 が 変 わ る
と こ と ん “ 個 ” に 向 き 合 う
三 越 伊 勢 丹 グ ル ー プ の 人 材 戦 略 と は (後編)
執行役員 人事部長 中村 守孝さん
「商品は数千万点も管理しているのに、わずか26000人と向き合えないはずがないだろう」――三越伊勢丹ホールディングス執行役員・人事部長の中村守孝さんは人事部のメンバーに、こう発破をかけたといいます(「前編」参照)。26000人は同社グループの全従業員数で、その約7割は女性。また、その多くは「スタイリスト」と呼ばれる、店頭での販売担当の従業員です。インタビューの後編では、スタイリストの育成およびキャリア形成支援のための具体的な施策や、週刊東洋経済『女性が働きやすい会社ランキング2015年版』で第1位に選ばれた同社の女性活躍推進の取り組みなどを中心にうかがいました。
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「 入 り 口 は 違 え ど 、 ゴ ー ル は 公 平 」 で
契 約 社 員 か ら マ ネ ジ ャ ー に
―― 三越伊勢丹ホールディングス人事部では年間約1000名強の従業員との面談を実施。とことん個と向き合う中で、「入口は違えど、ゴールは公平」のキーワードを創出し、これを販売力の要であるスタイリストに向けたメッセージとして強く発信しています。
スタイリストの大半は、月給制契約社員のメイト社員や時給制契約社員のフェロー社員が占めていますが、面談などで一人ひとり話してみると、やはりメイト社員やフェロー社員の中にも意欲、実力のある人材が多いことが分かってきました。そういう人たちに対して、フェロー社員からメイト社員、メイト社員から正社員へとキャリアアップを推奨し、背中を押してあげたいというのが、「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードに込めた、われわれの意図です。もちろん、自分のワークライフバランスに則って限られた時間だけ働くというスタイルを否定するつもりはありません。高いポジションに進み、より大きなやりがいと責任の中で自分を成長させたいという人はどうぞ手を挙げてください、門戸は開かれていますよ、ということなんです。現に、フェロー社員からメイト社員を経て正社員に転換し、マネジャー職まで上がったケースがもう5人も出ています。だから、入り口は違えど、ゴールは公平。入社式や内定式、各種の研修など、私はあらゆる機会を捉えて、このメッセージを発信しています。
―― 大卒社員も、うかうかできませんね。
当然です。だからこそ、メイト社員やフェロー社員にはキャリアに希望が持てるようなメッセージを送る一方で、大卒社員にはあえて、少し厳しい言葉を投げかけるようにしています。「最初から社員で入ってきて、入口ではたしかにリードしていたかもしれないけれど、それにあぐらをかいていると、あっという間に抜かれるよ。私はメイト社員に『大卒社員を抜きなさい』といつも言っているから」などと。希望を与えるにせよ、厳しく接するにせよ、どちらも従業員本人の自覚とモチベーションを引き出すアプローチであることに変わりはありません。
―― 「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードには、「ただし、意欲のある人材に限る」という条件がつくわけですね。
おっしゃるとおりです。もとより、人事部だけで解決できる人事課題は一つもありません。人事部が、いくら従業員にとって素晴らしい制度や仕組みを考えて提供しても、それが実際に活かされて成果に結びつくかどうかは、従業員自身に依存する部分が大きいわけです。だからこそ、われわれはもっと個に向き合い、一人ひとりに自立と自律を促さなくてはなりません。 つづき
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