日本開発工学会:第2回総合シンポ紹介
2015年11月1日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ ご 関 係 皆 様
いつもお元気に「生涯現役社会づくり」推進活動のご支援を感謝します。
お世話になっております。コーディネート経営研究会の持田です。本研究会が所属する一般社団法人日本開発工学会(JDES)の年次シンポジウムが下記の通り開催されます。
--------------------------------------------------------------------------------------------------
《一般社団法人 日本開発工学会( J D E S )第2回総合シンポジウム》
● 日 時: 2 0 1 5 年 1 1 月 2 0 日(金) 10:00~16:30
● 場 所: 東京理科大学(神楽坂キャンパス) 理窓会館第1会議室
(JR・東京メトロ 飯田橋駅下車徒歩3分)
〒162-0825 新宿区神楽坂2-6-1 PORTA神楽坂7F TEL:03-3260-0725
● 総合テーマ: ヨコ展開の進化 ̶ 新たな結合による価値創造 ̶
● 参加費: 本会員1,000円 一般2,000円
* シンポジウム終了後、懇親会(参加費:3,000円)を開催します。
【申込方法】 Eメール:office@jpmot.org 、又はFAX:03−6276−2424へ
氏名、所属、住所、電話番号、を明記して、お申し込み下さい。
本研究会からは、主査の持田が「地域をフィールドとした社会起業新論」の発表を行います。(*予稿を添付)
皆様のご参加をお待ちしております。
よろしくお願い致します。
コーディネート経営研究会
持田 昇一
-------------------------------------------------------------------------------------------------
【持田 昇一氏:発表予稿】
地 域 を フ ィ ー ル ド と し た 社 会 起 業 新 論
~ソーシャル・キャピタルとコモンズの視点から~
コーディネート経営研究会/RT ネットワークLLP
持 田 昇 一
1. 課 題 設 定
近年、地域の社会的課題に取り組む社会起業(Social Entrepreneur)が地域創生の担い手として期待されている。少子高齢化社会における課題は、第一にヒューマンケア(育児、教育、医療、介護、福祉等の人的サービス)が挙げられ、市場規模は時間換算でGDP の約20%に達すると言われる。(金子郁容・1997)
一方、これまで行政や非営利組織によって担われてきたこの分野は、医療、介護のミスマッチによる財政赤字等、社会保障と民間需要の不整合から経済合理性が改めて問われる事態に至っている。本論では少子高齢化社会を背景に生産(都市)から生活(地域)へビジネスドメインが移行する中で、コモンズ(公共圏)の視点から、新たな経済合理性の考察を行う。
2.「 地 域 」 の 社 会 的 意 味 の 変 化
現在100 年強の長期トレンド(1940 年から2050年)で見ると人口全体に占める「子どもプラス高齢者」の割合は「U 字カーブ」となり、高度成長期を中心に一貫して低下を続け、2000 年前後に「谷」を迎え、2050 年に向けて今度は一貫して上昇を続ける。同時に「都市」の人口から「地域」の生活人口への社会的流動が指摘されている。(広井良典・2010)
「地域」の社会的意味は、大きな時代の節目とともに変化し、狩猟採取(縄文のムラ)、水田農耕(弥生の環濠集落)、産業振興(近代の都市化)のような経済システムの基礎となってきた。
3. シ ェ ア と コ モ ン ズ
経済成長から定常化に至った今日の社会では、ビジネストレンドも大きく変化する。これまで市場経済の占有率を意味していた「シェア」という言葉が、リソースやサービスの共有・分配(シェアリング)に使われるようになるなど、「所有」から「利用」へ価値変化が起こっている。シェアハウス、シェアホテル、空き部屋・民泊、Uber に代表されるカーシェア、ライドシェア、資源・エネルギーを含め、有限の経済空間をどのように利用・共有するかという観点が生まれている。その際キーとなる概念が、日本でいう入会(いりあい)を意味するコモンズ(Commons)公共圏である。
多数者が利用できる共有資源が乱獲によって資源の枯渇を招いてしまう「コモンズの悲劇」は、今日の世界を象徴すると共に、それを克服する「地域」というフレームを浮上させている。
4. さ が し 愛 ネ ッ ト の ケ ー ス
筆者が開発に関わる認知症徘徊等の地域見守りシステム「さがし愛ネット」は、こうした地域をフィールドとした社会起業を目指している。本システムは、見守り対象に持たせるBLE センサとそれを見守るスマートフォンから成り立つ。そのため、地域のコミュニティの広がりが主要な事業インフラとして重要となる。もしサービス受益者とネットワーク参加者の関係が乖離すれば、フリーライダー化が生じ、システム自体が成り立たない懸念がある。
この課題には経済合理性の面からでは考察できないため、利用対象者に対する意識調査を実施した。
日 時: 2 0 1 5 年 1 0 月 1 8 日(日)9 : 3 0 ~ 1 7 : 0 0
場 所: 西日本総合展示場・本館(北九州市)
《西部ガス・ガ、スマート!2015》展示ブース
結 果: アンケート(31 サンプル)では、利便性(センサ)と参加性(スマートフォン)に強い相関が見られた。
5. ソ ー シ ャ ル ・ キ ャ ピ タ ル
ソーシャル・キャピタル(Social Capital)は、社会関係資本と訳され、人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることができるという考え方から、社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念である。
上記調査では、認知症高齢者の徘徊行為等の社会的リスクが一般に知られ、特に家族に高齢者を持つ層の関心度と参加性の高さが際立った。ヒューマンケア分野では、サービスの受け手・送り手が地域の中で、世代的に同居することもあり、高齢者、子ども等の見守りシステムが導入されることで、地域の安全性が高まると共に、システムへの参加性がソーシャル・キャピタルのプラス効果を生むと考えられる。
6. 結 語
社会起業の持つインパクトは、地域というフィールドの中で、市場経済(マーケット)と自発経済(ボランタリ)の共存、サービスの受け手・送り手の共生を促すことにある。
このように地域における社会起業は、新たな時代に相応しい深い経済合理性と社会の高次化を生み出す可能性を持っている。
*) santoan@emlive.jp
NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ ご 関 係 皆 様
いつもお元気に「生涯現役社会づくり」推進活動のご支援を感謝します。
お世話になっております。コーディネート経営研究会の持田です。本研究会が所属する一般社団法人日本開発工学会(JDES)の年次シンポジウムが下記の通り開催されます。
--------------------------------------------------------------------------------------------------
《一般社団法人 日本開発工学会( J D E S )第2回総合シンポジウム》
● 日 時: 2 0 1 5 年 1 1 月 2 0 日(金) 10:00~16:30
● 場 所: 東京理科大学(神楽坂キャンパス) 理窓会館第1会議室
(JR・東京メトロ 飯田橋駅下車徒歩3分)
〒162-0825 新宿区神楽坂2-6-1 PORTA神楽坂7F TEL:03-3260-0725
● 総合テーマ: ヨコ展開の進化 ̶ 新たな結合による価値創造 ̶
● 参加費: 本会員1,000円 一般2,000円
* シンポジウム終了後、懇親会(参加費:3,000円)を開催します。
【申込方法】 Eメール:office@jpmot.org 、又はFAX:03−6276−2424へ
氏名、所属、住所、電話番号、を明記して、お申し込み下さい。
本研究会からは、主査の持田が「地域をフィールドとした社会起業新論」の発表を行います。(*予稿を添付)
皆様のご参加をお待ちしております。
よろしくお願い致します。
コーディネート経営研究会
持田 昇一
-------------------------------------------------------------------------------------------------
【持田 昇一氏:発表予稿】
地 域 を フ ィ ー ル ド と し た 社 会 起 業 新 論
~ソーシャル・キャピタルとコモンズの視点から~
コーディネート経営研究会/RT ネットワークLLP
持 田 昇 一
1. 課 題 設 定
近年、地域の社会的課題に取り組む社会起業(Social Entrepreneur)が地域創生の担い手として期待されている。少子高齢化社会における課題は、第一にヒューマンケア(育児、教育、医療、介護、福祉等の人的サービス)が挙げられ、市場規模は時間換算でGDP の約20%に達すると言われる。(金子郁容・1997)
一方、これまで行政や非営利組織によって担われてきたこの分野は、医療、介護のミスマッチによる財政赤字等、社会保障と民間需要の不整合から経済合理性が改めて問われる事態に至っている。本論では少子高齢化社会を背景に生産(都市)から生活(地域)へビジネスドメインが移行する中で、コモンズ(公共圏)の視点から、新たな経済合理性の考察を行う。
2.「 地 域 」 の 社 会 的 意 味 の 変 化
現在100 年強の長期トレンド(1940 年から2050年)で見ると人口全体に占める「子どもプラス高齢者」の割合は「U 字カーブ」となり、高度成長期を中心に一貫して低下を続け、2000 年前後に「谷」を迎え、2050 年に向けて今度は一貫して上昇を続ける。同時に「都市」の人口から「地域」の生活人口への社会的流動が指摘されている。(広井良典・2010)
「地域」の社会的意味は、大きな時代の節目とともに変化し、狩猟採取(縄文のムラ)、水田農耕(弥生の環濠集落)、産業振興(近代の都市化)のような経済システムの基礎となってきた。
3. シ ェ ア と コ モ ン ズ
経済成長から定常化に至った今日の社会では、ビジネストレンドも大きく変化する。これまで市場経済の占有率を意味していた「シェア」という言葉が、リソースやサービスの共有・分配(シェアリング)に使われるようになるなど、「所有」から「利用」へ価値変化が起こっている。シェアハウス、シェアホテル、空き部屋・民泊、Uber に代表されるカーシェア、ライドシェア、資源・エネルギーを含め、有限の経済空間をどのように利用・共有するかという観点が生まれている。その際キーとなる概念が、日本でいう入会(いりあい)を意味するコモンズ(Commons)公共圏である。
多数者が利用できる共有資源が乱獲によって資源の枯渇を招いてしまう「コモンズの悲劇」は、今日の世界を象徴すると共に、それを克服する「地域」というフレームを浮上させている。
4. さ が し 愛 ネ ッ ト の ケ ー ス
筆者が開発に関わる認知症徘徊等の地域見守りシステム「さがし愛ネット」は、こうした地域をフィールドとした社会起業を目指している。本システムは、見守り対象に持たせるBLE センサとそれを見守るスマートフォンから成り立つ。そのため、地域のコミュニティの広がりが主要な事業インフラとして重要となる。もしサービス受益者とネットワーク参加者の関係が乖離すれば、フリーライダー化が生じ、システム自体が成り立たない懸念がある。
この課題には経済合理性の面からでは考察できないため、利用対象者に対する意識調査を実施した。
日 時: 2 0 1 5 年 1 0 月 1 8 日(日)9 : 3 0 ~ 1 7 : 0 0
場 所: 西日本総合展示場・本館(北九州市)
《西部ガス・ガ、スマート!2015》展示ブース
結 果: アンケート(31 サンプル)では、利便性(センサ)と参加性(スマートフォン)に強い相関が見られた。
5. ソ ー シ ャ ル ・ キ ャ ピ タ ル
ソーシャル・キャピタル(Social Capital)は、社会関係資本と訳され、人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることができるという考え方から、社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念である。
上記調査では、認知症高齢者の徘徊行為等の社会的リスクが一般に知られ、特に家族に高齢者を持つ層の関心度と参加性の高さが際立った。ヒューマンケア分野では、サービスの受け手・送り手が地域の中で、世代的に同居することもあり、高齢者、子ども等の見守りシステムが導入されることで、地域の安全性が高まると共に、システムへの参加性がソーシャル・キャピタルのプラス効果を生むと考えられる。
6. 結 語
社会起業の持つインパクトは、地域というフィールドの中で、市場経済(マーケット)と自発経済(ボランタリ)の共存、サービスの受け手・送り手の共生を促すことにある。
このように地域における社会起業は、新たな時代に相応しい深い経済合理性と社会の高次化を生み出す可能性を持っている。
*) santoan@emlive.jp
コメント