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  出 る 杭 を 打 た ず 、「 起 業 が カ ッ コ イ イ 」 と 思 え る 教 育 を

Q: 日本でさらに起業文化を根付かせるためには、どうすれば良いのでしょうか?
A: ウォール:
  起業した後の「出口」を増やすことだと思います。「ゼロから1を創造すること」が起業家の仕事です。1を10、100に成長させる仕事とは別物だと考えたほうがいい。これまでの日本では、ゼロから1を創造する起業家にとって、「出口」は株式上場しかありませんでした。海外と比べてM&A(企業買収)が少ないのです。M&Aが増えれば上場しなくても起業家は大きな富を得ることができて、次の起業にチャレンジすることができます。もちろんM&Aが増えたら、投資家も儲けられるようになるでしょう。起業家や投資家にとっての「出口」を増やして、もっと市場でお金を回していくべきだと思います。

Q: お金の流れを速めるのが重要だということですね。
A: ウォール:
  そうです。さらに言うと、日本のベンチャーはアメリカと違って従業員に株を持たせることが少ないのも問題です。株を持っていれば従業員のモチベーションは高まりますし、M&Aされた後にその資金を元にして起業したり、投資家になったりする人が増えるでしょう。はじめは1人が起業し、そこで経験を積んだ従業員が、また新たなチャレンジを行っていく。そうやって起業家や投資家をどんどん増やしていかなければいけません。

Q: ベンチャー企業に勤めるインセンティブを高めなければいけない、と。
A: ウォール:
  日本ではまだまだ大手企業に勤めている人のほうが、ステータスが高いと思われていますよね。起業家にはステータスがありますが、ベンチャー企業の従業員はステータスがあまり高いとは言えません。アメリカでは有力なベンチャー企業に勤める従業員が威張っていますよ。「I’m a sales representative of Sales Force!」って(笑)。
  「ベンチャー企業って楽しそう」「世界を変える仕事をしているんだ」と自信を持ち、周りからもそう思われるようにならなければいけません。日本は低成長の時代に差し掛かっていますので、これからは新しい企業をつくらなければ、経済を成長させることは不可能です。ですから、初等教育の段階から起業について考え、理解を深める時間をつくったほうがいいと思います。

Q: 日本では「出る杭は打たれる」という雰囲気があります。
A: ウォール:
 「新しい仕事に挑戦することがカッコイイ」という雰囲気が日本にも出てきたらいいですね。

Q: なぜ、日本ではM&Aが増えないのでしょうか?
A: ウォール:
そもそもベンチャーを買いたいと思う企業が少ないのだと思います。なんでも自社でやろうとして、「ベンチャーを買うくらいなら新規部署をつくろう」と考える会社が多いのです。しかしアメリカでは、M&Aに対する考え方が少し違います。もちろん、買収するベンチャーのサービスがほしいということもあるのですが、それよりもベンチャーに所属する優秀な人材がほしいという考えが強い。ベンチャーから新しい起業家を輩出することも重要ですが、大手とベンチャー企業の人材交流を促進することも大切です。そうすれば大手も活性化し、新しいイノベーションを起こすことができるようになるでしょう。

Q: 最後に一言、読者にメッセージをお願いします。
A: ウォール:
  日本の経済を成長させるためには、新しい企業が必要です。『未来をつくる起業家』は、起業を考える人だけではなく、すべてのビジネスパーソンに読んでもらいたいと思って執筆しました。そして、さらに言えば、中学生や高校生などの若い人にも読んでもらいたい。起業家を増やすためには、まずは起業しやすい雰囲気を社会につくることが大切です。起業にポジティブな感情を抱く人を増やしていかなければいけません。すでに日本の上位層は、「このままではいけない」と気が付いて、自ら動き始めています。日本がグローバルの中で生き残るためには、社会全体の意識を変えていくことが必要になると思います。(インタビュー・宮崎智之)

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