ケイシー・ウォール:未来をつくる起業家1
2015年7月27日 お仕事世 界 で 活 躍 す る 起 業 家 を つ く る 第1回
ケ イ シ ー ・ ウ ォ ー ル 氏
『 未 来 を つ く る 起 業 家 』 著 者 イ ン タ ビ ュ ー
~ 日 本 に 起 業 カ ル チ ャ ー を 根 付 か せ る た め に は ?
スキル・キャリア WISDOM編集部 2015年07月24日
【ご紹介転載先URL=https://www.blwisdom.com/skillcareer/interview/gventure/item/10182-01.html?mid=w519t90100000274148】
日本で生まれたスタートアップ(ベンチャー企業)の成功と失敗の事例を紹介した書籍『未来をつくる起業家』(クロスメディア・パブリッシング)がオンライン書店限定で発売され、インターネット上で話題になっている。
著者はニューヨーク出身で、日本を中心にエグゼクティブ人材に特化した人材紹介会社を経営するケイシー・ウォール氏。「日本では起業文化が根付かない」と言われることも多いが、グローバルに活躍するようなベンチャー企業を育てるには、どのような変革が必要なのか。国内外のベンチャー事情に詳しいウォール氏に話を伺った。
ケ イ シ ー ・ ウ ォ ー ル 氏
ウ ォ ー ル ・ ア ン ド ・ ケ ー ス Founder&CEO
レッド・ブリック・ベンチャー マネージング・パートナー兼創業者
日 本 の 起 業 家 は 目 線 が 低 い ?
Q: 『未来をつくる起業家』を執筆したきっかけを教えてください。
A: ウォール:
私は人材紹介会社のほかにもベンチャー投資会社を運営していますが、ベンチャー投資ではこれまで数々の失敗をしてきました。その原因の1つに、日本は情報がアメリカに比べて圧倒的に少ないということが挙げられます。アメリカは情報がオープンなので、勢いのあるベンチャー企業について調べようと思えばいくらでも調べられる。どのようなビジネスモデルなのか、どのように資金調達しているのか。つまり投資がしやすいのです。しかし、日本は情報が少なすぎるため、トライ&エラーを繰り返しながらより良い投資先を見つけるしかありません。
Q: ならば、自分で調べて情報を発信していこうと思ったのですね。
A: ウォール:
そうです。日本は現在、起業ブームと呼べるくらいベンチャー企業が増えています。とは言っても、まだまだ数が少なくて業界も狭いので、企業同士の横のつながりは強い。だから、仲間内だけで情報が共有されていて、オープンになることが少ないという印象です。仲間内のグループに入らなければ、有力な情報をつかむことができません。
Q: アメリカと日本の起業文化を比較して、どのような部分が違うと思いますか?
A: ウォール:
気になるのは、やはり数の違いでしょうか。だいぶ増えてきたとはいえ、日本はまだまだベンチャー企業の数がアメリカよりも圧倒的に少ないのが現状。数が増えて切磋琢磨しなければ、いい企業が生まれることはありません。もう1つは、日本の起業家はアメリカの起業家と比べて目線が低いような気がしています。アメリカの起業家は「自分はGoogleのような会社をつくる」と自信満々に語ります。しかし、日本には「売り上げが10億円くらいの規模の会社をつくれれば満足」と考えている起業家が多い。もっと目線を高く持ってほしいと思います。
Q: なぜ、日本の起業家は目線が低いのでしょうか?
A: ウォール:
成功したベンチャー企業の事例が少ないからでしょう。ソフトバンクの孫正義氏や楽天の三木谷浩史氏といった事例はあるにはありますが、少し距離が遠すぎますよね。アメリカでは、もっと身近に大成功している事例がたくさん転がっています。ですから、アメリカは「自分にもあれくらいできるのではないか」と自信を持ちやすい環境なのです。
Q: なるほど。
A: ウォール:
さらに、日本社会は「失敗に対して厳しい」ということもあると思います。失敗するリスクをあまりに怖れるがゆえに、大きなビジョンを抱くことができないのです。アメリカは失敗に対して寛容で、「たとえ失敗しても、それを糧にして成功すればいい」という風土があります。
Q: 起業には不利な状況が日本にはあるということですね。
A: ウォール:
しかし、最近では状況が変わり始めています。というのも、大手企業で経験を積んだレベルの高い管理職クラスの人材が、起業に興味を持ち始めているからです。今後10年くらいの間で、1000億円規模のベンチャー企業が2つ、3つは登場すると予想しています。
Q: なぜ、大企業の管理職クラスが起業に興味を持ち始めたのでしょうか?
A: ウォール:
ひとつには、日本の終身雇用体制が崩れてきたことがあると思います。どんな大手に勤めていても先行きは不透明ですから、「ならば自分で起業しよう」と思う人材が増えつつあるのです。さらに、日本の技術力は世界でもトップクラス。これまではハードウェアの製造が中心でしたが、インターネット普及後はソフトウェアを開発すれば起業できるようになりました。日本でも徐々に起業文化が根付く環境が整い始めていると思います。 つづく
ケ イ シ ー ・ ウ ォ ー ル 氏
『 未 来 を つ く る 起 業 家 』 著 者 イ ン タ ビ ュ ー
~ 日 本 に 起 業 カ ル チ ャ ー を 根 付 か せ る た め に は ?
スキル・キャリア WISDOM編集部 2015年07月24日
【ご紹介転載先URL=https://www.blwisdom.com/skillcareer/interview/gventure/item/10182-01.html?mid=w519t90100000274148】
日本で生まれたスタートアップ(ベンチャー企業)の成功と失敗の事例を紹介した書籍『未来をつくる起業家』(クロスメディア・パブリッシング)がオンライン書店限定で発売され、インターネット上で話題になっている。
著者はニューヨーク出身で、日本を中心にエグゼクティブ人材に特化した人材紹介会社を経営するケイシー・ウォール氏。「日本では起業文化が根付かない」と言われることも多いが、グローバルに活躍するようなベンチャー企業を育てるには、どのような変革が必要なのか。国内外のベンチャー事情に詳しいウォール氏に話を伺った。
ケ イ シ ー ・ ウ ォ ー ル 氏
ウ ォ ー ル ・ ア ン ド ・ ケ ー ス Founder&CEO
レッド・ブリック・ベンチャー マネージング・パートナー兼創業者
日 本 の 起 業 家 は 目 線 が 低 い ?
Q: 『未来をつくる起業家』を執筆したきっかけを教えてください。
A: ウォール:
私は人材紹介会社のほかにもベンチャー投資会社を運営していますが、ベンチャー投資ではこれまで数々の失敗をしてきました。その原因の1つに、日本は情報がアメリカに比べて圧倒的に少ないということが挙げられます。アメリカは情報がオープンなので、勢いのあるベンチャー企業について調べようと思えばいくらでも調べられる。どのようなビジネスモデルなのか、どのように資金調達しているのか。つまり投資がしやすいのです。しかし、日本は情報が少なすぎるため、トライ&エラーを繰り返しながらより良い投資先を見つけるしかありません。
Q: ならば、自分で調べて情報を発信していこうと思ったのですね。
A: ウォール:
そうです。日本は現在、起業ブームと呼べるくらいベンチャー企業が増えています。とは言っても、まだまだ数が少なくて業界も狭いので、企業同士の横のつながりは強い。だから、仲間内だけで情報が共有されていて、オープンになることが少ないという印象です。仲間内のグループに入らなければ、有力な情報をつかむことができません。
Q: アメリカと日本の起業文化を比較して、どのような部分が違うと思いますか?
A: ウォール:
気になるのは、やはり数の違いでしょうか。だいぶ増えてきたとはいえ、日本はまだまだベンチャー企業の数がアメリカよりも圧倒的に少ないのが現状。数が増えて切磋琢磨しなければ、いい企業が生まれることはありません。もう1つは、日本の起業家はアメリカの起業家と比べて目線が低いような気がしています。アメリカの起業家は「自分はGoogleのような会社をつくる」と自信満々に語ります。しかし、日本には「売り上げが10億円くらいの規模の会社をつくれれば満足」と考えている起業家が多い。もっと目線を高く持ってほしいと思います。
Q: なぜ、日本の起業家は目線が低いのでしょうか?
A: ウォール:
成功したベンチャー企業の事例が少ないからでしょう。ソフトバンクの孫正義氏や楽天の三木谷浩史氏といった事例はあるにはありますが、少し距離が遠すぎますよね。アメリカでは、もっと身近に大成功している事例がたくさん転がっています。ですから、アメリカは「自分にもあれくらいできるのではないか」と自信を持ちやすい環境なのです。
Q: なるほど。
A: ウォール:
さらに、日本社会は「失敗に対して厳しい」ということもあると思います。失敗するリスクをあまりに怖れるがゆえに、大きなビジョンを抱くことができないのです。アメリカは失敗に対して寛容で、「たとえ失敗しても、それを糧にして成功すればいい」という風土があります。
Q: 起業には不利な状況が日本にはあるということですね。
A: ウォール:
しかし、最近では状況が変わり始めています。というのも、大手企業で経験を積んだレベルの高い管理職クラスの人材が、起業に興味を持ち始めているからです。今後10年くらいの間で、1000億円規模のベンチャー企業が2つ、3つは登場すると予想しています。
Q: なぜ、大企業の管理職クラスが起業に興味を持ち始めたのでしょうか?
A: ウォール:
ひとつには、日本の終身雇用体制が崩れてきたことがあると思います。どんな大手に勤めていても先行きは不透明ですから、「ならば自分で起業しよう」と思う人材が増えつつあるのです。さらに、日本の技術力は世界でもトップクラス。これまではハードウェアの製造が中心でしたが、インターネット普及後はソフトウェアを開発すれば起業できるようになりました。日本でも徐々に起業文化が根付く環境が整い始めていると思います。 つづく
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