高値凪相場に一石投じた日銀黒田総裁の円安コメントから一夜明けた東京証券市場。その動向を左右する陰のご本尊を「ブラックロック」【Wikipedia:アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、中近東を含む世界24カ国にて拠点を構え、11,400名超の社員を擁している(2011年現在)。運用資産は株式、債券、キャッシュ、オルタナティブ、不動産、アドバイザリー戦略と多岐にまたがり、その総額は世界のGDP合計(72兆ドル)の約6%の4.5兆ドル(411兆円)にのぼる(2014年7月現在)】だと、ご指名の今朝付日本経済新聞の下記関連記事について、ご関心おもちの『生涯現役プロデューサー』仮登録ご関係者の方は、ぜひ情報・意見交換をしたいと存じます。
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【 2015年6月11日付:日本経済新聞/スクランブル 】   
   巨  大  投  資  家 、  市  場  を  席  巻 /
      民  間  主  導  の  経  済  拡  大    確  信

 ブ ラ ッ ク ロ ッ ク の 日 本 株 保 有 額 は
         世 界 の 機 関 投 資 家 の 中 で も 突 出

  日銀の黒田東彦総裁の「円安けん制発言」で日経平均株価が続落した10日の東京株式市場。不安定な外部環境にびくつく弱気筋が日に日に力を増す中でも海外の長期マネーは着実に現物株を買い続けている。いま日本株を買っている外国人とは誰なのか。データを探ったところ、ある巨大な米機関投資家の存在が浮かび上がった。その名をブラックロックという。

  「これだけ上がってきたので利益確定に動く人も当然いますけど、一方で買いのオーダーもすごく多い。急落した昨日は大幅な買い越しでした。日本企業のファンダメンタルズが変わっていないとみる海外勢は落ち着いて買っていますね」

  10日の夕刻、ある大手証券の日本株営業担当者はパソコン画面でオーダーを確認しながらこう説明した。

  日本株を買う海外マネーとは。匿名で「外国人」とだけ語られる投資家について、具体的な顔の輪郭が知りたくて少し調べてみた。

  まずは個別株の大量保有報告書。みずほFG、三菱UFJ、野村、JX、中部電、九州電、マツダ、コマツ、京セラ、商船三井、菱地所、東芝……。ある米運用会社が今、まるで日本株市場全体を丸ごと買うような勢いで、主力株を買い上げている様子が見てとれる。それがブラックロックだ。

  同社が急成長したのは、金融危機前後に体力が落ちた米メリルリンチと英バークレイズから運用部門を相次いで買収したからだ。今ではあらゆる運用商品を手掛けるコングロマリットで、規模は573兆円と世界で圧倒的な首位。世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の4倍の規模だ。

  日本株への投資額はどれほどか。調査会社ファクトセットがTOPIX500構成銘柄を調べたところ、グループ16社の合計で10兆7680億円。GPIFは下回るものの、日銀とはほぼ並ぶ日本株を持つ、日本企業の2位ないしは3位の大株主ということになる。

  何より目立つのは足元の買い増しペース。昨年3月末比77%増で、増加額は4.7兆円。TOPIX500の上昇率(33%)を考慮すると、ざっとこの期間の外国人全体の日本株買越額の約6割をブラックロック1社が占めた計算になる。

  ブラックロック関係者によると、同社の日本株買いの半分強をETF(上場投資信託)や法人客から預かったインデックス運用の買いが占める。これは機械的に指数を買う手法だが、残りは人間の投資判断に従って投資するアクティブ運用の買いということになる。

  「アベノミクス開始後に強気に転じた2014年、投資判断は『慎重な買い』とした。慎重というお断りを残したのは、政府主導の景気回復は長続きしないと思ったから」。ブラックロック・ジャパンで最高投資責任者を務める河野真一氏は言う。

  投資判断を引き上げたのが今年3月。賃金、設備投資、海外M&A(合併・買収)の改善を見て、ブラックロックは民間主導による日本経済の自律的な拡大を確信。投資判断から「慎重な」の一言を削除した。

  そして河野氏はこう続けた。「バリュエーションはいい水準まできたが、日本企業でガバナンス改革が始まったのは大きい。対話を通じ我々自身が投資先のバリュエーションを切り上げることができますから」。なるほど。クジラを超える資金量を持つ世界最大の巨大投資家は、まだ日本株を買うつもりのようだ。

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