J.I.mail News No.706 2015.05.21発行
2015年5月21日 お仕事■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
J.I.メールニュース No.706 2015.05.21 発行
「『Be』をこよなく大切にするまちづくりと、市民総幸福の条例づくり」
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<巻頭寄稿文>
「『Be』をこよなく大切にするまちづくりと、市民総幸福の条例づくり」
京丹後市長 中山 泰
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今、住民の価値観が多彩になり、人や社会が向かう方向、行政が直面する課題も多様化しています。
そんな中、行政として「今あること」、あるがままの「Be」をこよなく大切にする、感じることが、まずもってとても大事だと思っています。
そこから、いろんな豊かさ、魅力、価値、宝が自然と見えてくる。そして、自ずと動くべき方向に引き寄せられるのだと思います。
特に東日本大震災の後、まだ社会経済全体の閉塞感も残る昨今、世の中をじわっと感じ受けてみれば、許容できない犯罪や事件が顕在化する一方で、「人と人の支え合い・たすけ合い、人の絆」など伝統的な価値観や美徳の大切さがさまざまな形で浮き彫りになり、わが国社会が改めて自らの「あるべき原点」を探り求めているように感じます。
京丹後市では、人や社会が目指す「原点」に、誰もが願う「幸福、幸せ」という普遍的な価値が厳然と通底していることを改めて見つめ、行政の目指す方向を支える羅針盤として、昨年、本市基本条例・総合計画への反映と「市民総幸福のまちづくり条例案」の策定(議会審議中)(※1)を行いました。
一昨年、「幸せ度市民アンケート」を実施。特徴的な点として、『1』幸福度の向上には「雇用、家計、健康、家族等関係」など日常生活の安定が重要であること、『2』「他人の喜びや人のためになることをしたい」と考える度合い・ボランティア行為と幸福度向上とに一定の相関関係があることなどが明らかになりました。
このことを踏まえ、(1)様々な分野でセーフティネットを構築し、日常生活の安定に貢献する=「公助」、(2)支え合い・助け合う適切な環境づくりをする=「共助」が、それぞれ「市民総幸福のまちづくり」の上で大切だとして、条例に理念として盛り込み、その取組みを進めています。
例えば「共助」では、本市の労働者協同組合さんと、府県をまたいだ大阪市西成区の臣永区長、関係者の皆さんと連携して、「本市の就労支援対象者が育てた農作物を、西成区の生活困窮者に提供し、“喜ばれるご様子や笑顔”を“働く喜びと力につなげる”、“双方ともに自立のインセンティブを得る”」という、地域をこえた支え合いの取組みを昨年から始めました(※2)。
また、「公助」の一環として、市民一人ひとりのいのちに真剣に向き合い、人のいのちが尊ばれ一番大切にされる社会づくりを目指して、平成23年に「自殺のない社会づくり市区町村会」(※3)の結成に尽力しました。そして現在、全国285の市区町村、12の都道府県、ライフリンクの皆さんと連携した取組みを開始しています。
このように、「市民総幸福のまちづくり」を通じて、支え合い・助け合う環境が社会の中に縦横に編み込まれ、ひいては生き心地のよい、自殺のない社会の体質づくりにも貢献していきたいと念願しています。
人は誰でも、ご先祖様からいのちの何兆・何京、無量のつながりをいただいて、今ここに「ある」。人として「ある」というだけで、かけがえのない尊さの中で、限りない可能性に光り輝いています。
「市民総幸福のまちづくり条例」を揺るぎない基盤にして、誰も置きざりにされない、一人ひとりがこよなく大切にされる環境づくりに努めていきたい。
そして、限りない可能性にあふれる市民一人ひとりの力を合わせて進む「和のちからが輝くまちづくり」を、着実に、豊かに進めていきたいと願っています。
(※1)「市民総幸福のまちづくり条例案など総幸福のまちづくり」
http://www.city.kyotango.lg.jp/kurashi/oshirase/kikakusomu/kikaku/kouhuku/00001/index.html
(※2)「京丹後市と大阪市西成区の地域をこえた支え合い」
http://yorisoishien.com/
(※3)「自殺のない社会づくり市区町村会」
http://localgov.lifelink.or.jp/
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中山 泰 (なかやま やすし)
昭和35年生まれ。京丹後市峰山町出身、京都大学卒。昭和60年4月に総理府・総務庁入庁。その後、沖縄開発庁長官秘書官、内閣府総合規制改革会議事務室次長などを歴任。平成16年4月に旧6町が合併して誕生した京丹後市の初代市長に就任し、現在3期目。その他公職として、京都府自治体病院等開設者協議会会長、全国青年市長会会長(平成22年8月~平成23年8月)、京都地方税機構 広域連合長の職に就いている。
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*みなさんのご意見をお待ちしています。(800字以内でお願いします)
info@kosonippon.org
いただいたご意見はバックナンバーと共に「読者の声」として以下に掲載しています。
http://www.kosonippon.org/mail/index.php
J.I.メールニュース No.706 2015.05.21 発行
「『Be』をこよなく大切にするまちづくりと、市民総幸福の条例づくり」
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<巻頭寄稿文>
「『Be』をこよなく大切にするまちづくりと、市民総幸福の条例づくり」
京丹後市長 中山 泰
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今、住民の価値観が多彩になり、人や社会が向かう方向、行政が直面する課題も多様化しています。
そんな中、行政として「今あること」、あるがままの「Be」をこよなく大切にする、感じることが、まずもってとても大事だと思っています。
そこから、いろんな豊かさ、魅力、価値、宝が自然と見えてくる。そして、自ずと動くべき方向に引き寄せられるのだと思います。
特に東日本大震災の後、まだ社会経済全体の閉塞感も残る昨今、世の中をじわっと感じ受けてみれば、許容できない犯罪や事件が顕在化する一方で、「人と人の支え合い・たすけ合い、人の絆」など伝統的な価値観や美徳の大切さがさまざまな形で浮き彫りになり、わが国社会が改めて自らの「あるべき原点」を探り求めているように感じます。
京丹後市では、人や社会が目指す「原点」に、誰もが願う「幸福、幸せ」という普遍的な価値が厳然と通底していることを改めて見つめ、行政の目指す方向を支える羅針盤として、昨年、本市基本条例・総合計画への反映と「市民総幸福のまちづくり条例案」の策定(議会審議中)(※1)を行いました。
一昨年、「幸せ度市民アンケート」を実施。特徴的な点として、『1』幸福度の向上には「雇用、家計、健康、家族等関係」など日常生活の安定が重要であること、『2』「他人の喜びや人のためになることをしたい」と考える度合い・ボランティア行為と幸福度向上とに一定の相関関係があることなどが明らかになりました。
このことを踏まえ、(1)様々な分野でセーフティネットを構築し、日常生活の安定に貢献する=「公助」、(2)支え合い・助け合う適切な環境づくりをする=「共助」が、それぞれ「市民総幸福のまちづくり」の上で大切だとして、条例に理念として盛り込み、その取組みを進めています。
例えば「共助」では、本市の労働者協同組合さんと、府県をまたいだ大阪市西成区の臣永区長、関係者の皆さんと連携して、「本市の就労支援対象者が育てた農作物を、西成区の生活困窮者に提供し、“喜ばれるご様子や笑顔”を“働く喜びと力につなげる”、“双方ともに自立のインセンティブを得る”」という、地域をこえた支え合いの取組みを昨年から始めました(※2)。
また、「公助」の一環として、市民一人ひとりのいのちに真剣に向き合い、人のいのちが尊ばれ一番大切にされる社会づくりを目指して、平成23年に「自殺のない社会づくり市区町村会」(※3)の結成に尽力しました。そして現在、全国285の市区町村、12の都道府県、ライフリンクの皆さんと連携した取組みを開始しています。
このように、「市民総幸福のまちづくり」を通じて、支え合い・助け合う環境が社会の中に縦横に編み込まれ、ひいては生き心地のよい、自殺のない社会の体質づくりにも貢献していきたいと念願しています。
人は誰でも、ご先祖様からいのちの何兆・何京、無量のつながりをいただいて、今ここに「ある」。人として「ある」というだけで、かけがえのない尊さの中で、限りない可能性に光り輝いています。
「市民総幸福のまちづくり条例」を揺るぎない基盤にして、誰も置きざりにされない、一人ひとりがこよなく大切にされる環境づくりに努めていきたい。
そして、限りない可能性にあふれる市民一人ひとりの力を合わせて進む「和のちからが輝くまちづくり」を、着実に、豊かに進めていきたいと願っています。
(※1)「市民総幸福のまちづくり条例案など総幸福のまちづくり」
http://www.city.kyotango.lg.jp/kurashi/oshirase/kikakusomu/kikaku/kouhuku/00001/index.html
(※2)「京丹後市と大阪市西成区の地域をこえた支え合い」
http://yorisoishien.com/
(※3)「自殺のない社会づくり市区町村会」
http://localgov.lifelink.or.jp/
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中山 泰 (なかやま やすし)
昭和35年生まれ。京丹後市峰山町出身、京都大学卒。昭和60年4月に総理府・総務庁入庁。その後、沖縄開発庁長官秘書官、内閣府総合規制改革会議事務室次長などを歴任。平成16年4月に旧6町が合併して誕生した京丹後市の初代市長に就任し、現在3期目。その他公職として、京都府自治体病院等開設者協議会会長、全国青年市長会会長(平成22年8月~平成23年8月)、京都地方税機構 広域連合長の職に就いている。
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