生涯現役社会実現への課題:労働調協2
2015年4月8日 お仕事 Ⅱ 生 涯 現 役 の 意 味 と そ の 重 要 性
前述の「生涯現役」の趣旨からすると、普段の一般的会話で使用される「生涯現役」の語意とは、自ずと取り組む意味合いも重要性も若干違ってくるのは当然といえる。自己中心的で自分勝手なご都合主義の「生涯現役」が、老人性饒舌症的に世間で我物顔で永続するなどあり得ない。「生涯」にわたり周囲から「現」実に「役」立つ人であり、有益な仕事や活動だと評価されない限り、見せかけ、一時しのぎのエセ現役が「生涯現役」とは、到底認められないのは当たり前である。
「生涯現役」の四字熟語が意味する日本語の快い響きほど、多くの人に未来に夢と希望、勇気を与えてくれる言葉は少ない。そのためLVクラブ旗挙げを契機とした1985年出版の拙著「ライフ・ベンチャーのすすめ」の最後に記した“私たち一人ひとりが生涯現役の、定年をものともしない未来像をライフ・ベンチャー精神で明確に願望し、人生八十年、百年の21世紀に向かって雄々しく歩もうではないか”の呼びかけで自分自身30年間も忍耐強く継続できているのだ・・・と。
その根底には、内村鑑三著「後世への最大遺物」に書かれた、“金や事業や思想をこの世に遺せなくてもいい。誰にでも遺せる大事なものは、その人にしか遺せない生きがいに満ちた生涯(自己流解釈で「生涯現役」)そのものだ”という執念、また新渡戸稲造の、“学べどもなお学べども学べども学び足りぬは学びなりけり”の名言に、私は常に最高の奨励で迫られる幸せ者である。「生涯現役」の真意も、換言すれば“自分を最大限に生き抜く”ことだといえるかも知れない。自分を誤魔化して不燃焼なまま中途半端な生き様の毎日では、わが人生に本当の喜びや自己充実など味わえないはずだ。
いまや超高齢時代の到来で、国や企業は60歳代前半層の就労確保やその合理的労働条件の実現に動かざるを得ない事態に直面している。では現在、私たちの論旨に沿う「生涯現役」に当事者が正面から取り組めているかといえば、段階的定年延長論だけで、「生涯現役社会」取組みの本気度など見えない。国や企業、労使ともに、現状環境打開の創意工夫面では選択肢が無きに等しい。前20世紀冷戦時代後のグローバリゼーションで世界認識の変化が新たな雇用形態を生むという、過去の社会構造が通用しなくなる現実なのだ。
過去日本は西欧先進国より10~15年遅れで走り、西欧から上手に学習して、発展してきたといわれるが、今世紀の日本は真似る見本国がない超高齢期の先頭を走らされている。他国は日本への期待感から何を学ぶか、わが手腕の見せ所である。
世界認識の変化で新たな雇用形態が社会にどう興るか。「定年=仕事をやめる」という慣行から、時限的、部分的な労働市場への参画で、特技を活用するフリー・エージェント的「生涯現役」実践者が既に増え始めている。会社終身雇用制度の衰退で、むしろ職業終身雇用が「生涯現役」にはより相応しいといえる時代かも知れない。
ところが、企業・従業員の労使当事者双方だけでなく国自体も、「生涯現役」就労本質への実現可能性など真摯な取り組みが迫られている非常時に対し、現状分析や危機意識が余りにも無さ過ぎると思う。超高齢日本社会に現実に役立つ趣旨で、「生涯現役」の意味することを生涯現役協では、創設以来次のようにホームページ上で説明している。
【注:関連URL=http://sgsk.net/70890/の「生涯現役」の意味欄ご参照】
「生涯現役」という四字熟語は、まだ国語辞典に掲載されていないようです。この言葉は、日常会話の中で誰もが一般的に表現する「定年後も仕事を続け、働くこと」というような狭義の意味で使われる場合と、社会全体の立場からの視点を持つ、広義の意味で使用されている場合があります。
超高齢時代となったわが国は、定年期を迎えた団塊世代中心に、高齢者が急増。労働人口の減少は、経済社会全般の衰退を招くだけではなく、年金・医療・福祉など社会保障の財政負担増が、国や公共団体、ひいては現役世代の上に重くのしかかってきています。
個人の自主性を頼りにした狭義の「生涯現役」活動だけでは、社会全般に活性化をもたらすような総合力は期待できません。百人百様ともいえる主観的な「生涯現役」の解釈では、急速な超高齢化対策に対する成果は少ないといえるでしょう。
数年前から、先進的な公共団体では「生涯現役社会づくり」という表現での、官民協働活動における、「生涯現役」の用語が使われはじめました。私たち日本生涯現役協議会(略称:生涯現役協)は、狭義・広義の意味を持つ「生涯現役」を簡略に説明するために、"生涯現役とは、自分の生きがい人生が世の中に役立つこと"と表現しています。そして、個人の「生涯現役」実践活動を会員だけで研鑽するのではなく、広く社会に対し「生涯現役社会づくり」推進をめざしていくために、2004年、純民間団体として生涯現役協が発足しました。
設立発起人の中核団体である、NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ(略称:LVC/2004年当時は任意団体)が発足した当時の1980年代は、"生涯現役の趣旨に賛成はするが、やりたい人だけがやればいいのではないか"という考えが主流の時代でした。しかし、シニア・団塊世代が次々と定年退職期を迎え、超高齢時代が到来した現在は、"生きがいづくりに生涯現役を真剣に考えて社会に役立つシニア"が求められています。"まさに高齢者の尊厳が問われる時代"であるのです。・・・と。 つづく
前述の「生涯現役」の趣旨からすると、普段の一般的会話で使用される「生涯現役」の語意とは、自ずと取り組む意味合いも重要性も若干違ってくるのは当然といえる。自己中心的で自分勝手なご都合主義の「生涯現役」が、老人性饒舌症的に世間で我物顔で永続するなどあり得ない。「生涯」にわたり周囲から「現」実に「役」立つ人であり、有益な仕事や活動だと評価されない限り、見せかけ、一時しのぎのエセ現役が「生涯現役」とは、到底認められないのは当たり前である。
「生涯現役」の四字熟語が意味する日本語の快い響きほど、多くの人に未来に夢と希望、勇気を与えてくれる言葉は少ない。そのためLVクラブ旗挙げを契機とした1985年出版の拙著「ライフ・ベンチャーのすすめ」の最後に記した“私たち一人ひとりが生涯現役の、定年をものともしない未来像をライフ・ベンチャー精神で明確に願望し、人生八十年、百年の21世紀に向かって雄々しく歩もうではないか”の呼びかけで自分自身30年間も忍耐強く継続できているのだ・・・と。
その根底には、内村鑑三著「後世への最大遺物」に書かれた、“金や事業や思想をこの世に遺せなくてもいい。誰にでも遺せる大事なものは、その人にしか遺せない生きがいに満ちた生涯(自己流解釈で「生涯現役」)そのものだ”という執念、また新渡戸稲造の、“学べどもなお学べども学べども学び足りぬは学びなりけり”の名言に、私は常に最高の奨励で迫られる幸せ者である。「生涯現役」の真意も、換言すれば“自分を最大限に生き抜く”ことだといえるかも知れない。自分を誤魔化して不燃焼なまま中途半端な生き様の毎日では、わが人生に本当の喜びや自己充実など味わえないはずだ。
いまや超高齢時代の到来で、国や企業は60歳代前半層の就労確保やその合理的労働条件の実現に動かざるを得ない事態に直面している。では現在、私たちの論旨に沿う「生涯現役」に当事者が正面から取り組めているかといえば、段階的定年延長論だけで、「生涯現役社会」取組みの本気度など見えない。国や企業、労使ともに、現状環境打開の創意工夫面では選択肢が無きに等しい。前20世紀冷戦時代後のグローバリゼーションで世界認識の変化が新たな雇用形態を生むという、過去の社会構造が通用しなくなる現実なのだ。
過去日本は西欧先進国より10~15年遅れで走り、西欧から上手に学習して、発展してきたといわれるが、今世紀の日本は真似る見本国がない超高齢期の先頭を走らされている。他国は日本への期待感から何を学ぶか、わが手腕の見せ所である。
世界認識の変化で新たな雇用形態が社会にどう興るか。「定年=仕事をやめる」という慣行から、時限的、部分的な労働市場への参画で、特技を活用するフリー・エージェント的「生涯現役」実践者が既に増え始めている。会社終身雇用制度の衰退で、むしろ職業終身雇用が「生涯現役」にはより相応しいといえる時代かも知れない。
ところが、企業・従業員の労使当事者双方だけでなく国自体も、「生涯現役」就労本質への実現可能性など真摯な取り組みが迫られている非常時に対し、現状分析や危機意識が余りにも無さ過ぎると思う。超高齢日本社会に現実に役立つ趣旨で、「生涯現役」の意味することを生涯現役協では、創設以来次のようにホームページ上で説明している。
【注:関連URL=http://sgsk.net/70890/の「生涯現役」の意味欄ご参照】
「生涯現役」という四字熟語は、まだ国語辞典に掲載されていないようです。この言葉は、日常会話の中で誰もが一般的に表現する「定年後も仕事を続け、働くこと」というような狭義の意味で使われる場合と、社会全体の立場からの視点を持つ、広義の意味で使用されている場合があります。
超高齢時代となったわが国は、定年期を迎えた団塊世代中心に、高齢者が急増。労働人口の減少は、経済社会全般の衰退を招くだけではなく、年金・医療・福祉など社会保障の財政負担増が、国や公共団体、ひいては現役世代の上に重くのしかかってきています。
個人の自主性を頼りにした狭義の「生涯現役」活動だけでは、社会全般に活性化をもたらすような総合力は期待できません。百人百様ともいえる主観的な「生涯現役」の解釈では、急速な超高齢化対策に対する成果は少ないといえるでしょう。
数年前から、先進的な公共団体では「生涯現役社会づくり」という表現での、官民協働活動における、「生涯現役」の用語が使われはじめました。私たち日本生涯現役協議会(略称:生涯現役協)は、狭義・広義の意味を持つ「生涯現役」を簡略に説明するために、"生涯現役とは、自分の生きがい人生が世の中に役立つこと"と表現しています。そして、個人の「生涯現役」実践活動を会員だけで研鑽するのではなく、広く社会に対し「生涯現役社会づくり」推進をめざしていくために、2004年、純民間団体として生涯現役協が発足しました。
設立発起人の中核団体である、NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ(略称:LVC/2004年当時は任意団体)が発足した当時の1980年代は、"生涯現役の趣旨に賛成はするが、やりたい人だけがやればいいのではないか"という考えが主流の時代でした。しかし、シニア・団塊世代が次々と定年退職期を迎え、超高齢時代が到来した現在は、"生きがいづくりに生涯現役を真剣に考えて社会に役立つシニア"が求められています。"まさに高齢者の尊厳が問われる時代"であるのです。・・・と。 つづく
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