は  じ  め  に (1985年5月 ライフ・ベンチャーのすすめ刊行の際の序文)

 平均寿命五十年といわれた時代からみると、いま熟年にあたる私などは、そろそろあの世への旅立ち準備の頃である。

 だが、日本という豊かな国に生まれたおかげで、世界一長寿の恵みを受け、これからの人生も存分に活用できることは、何というありがたいことでありょうか。

 さて、わが人生後半でのマラソン折返し点を迎えることの意味は、ちょうど陸上競技の三段跳びでホップ、ステップからジャンプに直面するようなものである。人生飛躍の可能性を秘めたこの大事な時期を有効に生かすにはどうすればよいか。

 私自身は ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー(人生意気にチャレンジすべし)の発想と決意で独立自営を実行に移してみた。

 誰にもたった一度しかない人生。環境まかせではなく、自己の行動力で切り拓く人生へのベンチャーは、可能性思考に基づく楽しい人生戦略づくりでもある。そこには、挑戦への夢とロマンが与えられる。すばらしい人生のドラマが展開されるのではなかろうか。

 自己満足の “ 人生チャレンジ ” なら、何もあらたまってこんな提言をすることもない。

 しかし、人間は、本気で自分がやってみたいことを明確に決心すれば、価値創造への生き甲斐に燃える百四十億個の脳細胞を備えた 脳 力 をもっているのだ。そこで、ひとりでも多くの意欲ある方々と、これからの人生ジャンプを成功させるため、ベンチャー精神を鼓舞して互いに励まし合い助け合う、脳力開発の実戦グループをつくり上げていきたい。

 “ 壮年よ、大志を抱け! 長寿の人生は味わい深い ” 。われら四十代、五十代は、昔の二十代、三十代であり、六十代でもまだ四十歳代の若さだ。

 どういう人でも、自分で生き甲斐のある環境をつくり上げる人生目標をもち、周囲に働きかけ協力者を得ていけば、やがて社会の進歩に役立つ働きができるはずだと考える。

 “ 物財は有限だが、人知は無限だ ” といわれているように、私自身の可能性を求めて、読者の皆さんと心から意見交換をしたいと念じつつ、本書を記させていただいた。

 これを機会に、意欲ある方との出会いを切に望む次第である。

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