Altarna:森編集長「もったいない」CSR課題
2014年8月25日 お仕事東瀧 邦次さま
いつもお世話になっております。
皆さんは以下のファクトをご存知でしょうか。
1)日本の食品ロス(年間最大800万トン)は世界の食料援助量の2倍。
2)その量は、日本のコメ収穫量(2012年)約850万トンに匹敵する。
3)日本では、手付かずのまま廃棄される食品がたくさんある。
(いずれも農水省食品産業環境対策室資料から)
どうして、このようなことを書き始めたかというと、最近、「フードバンク」のことを取材し始めたからです。
米国では、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通できなくなった食品を、企業などから受けて生活困窮者などに配給する「フードバンク」という団体があります。
日本でのフードバンクの草分けは、セカンドハーベスト・ジャパン。本部はJR秋葉原駅とJR浅草橋駅の間にある。マクジルトン・チャールズ理事長は「米国発祥のフードバンクを日本でも広めたい」と、取り組んでいます。
同団体は、メーカーや流通業から受け取った食品や農産物を、児童養護施設や生活困窮者らに配布している。全国にはこのようなフードバンク団体が大小含めて40あり、うちセカンドハーベスト・ジャパン・アライアンスの加入団体が東北、名古屋、関西など11あります。
その次は、「野菜」だそうだ。一般的に、生活困窮者ほど野菜の摂取量が少なくなり、栄養バランスが崩れて、体調を壊しやすい。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると「収入と野菜の摂取量には相関関係がある」という。
よくレタスやキャベツの産地で豊作になり過ぎ、大量に廃棄するというニュースが流れる。こうした野菜こそフードバンクに送られるべきものと思うが、実際は、農家が野菜を廃棄すると農協から補償金が出るため、残念なことにフードバンクには送られることは少ない。
2HJの井出留美広報室長理事によると「米国では、余剰農産物を国が買い取り、困窮者のために使うという法律がある。カリフォルニア州サンフランシスコのフードバンクでは取り扱い食品の半分以上が野菜」だという。
フードバンクにとって、缶詰、レトルト食品、乾麺など保存が利く食品も、もらってうれしい存在だ。生活困窮者は電気・ガス、水道を止められているケースも多いので、封を切っただけで食べられる食品はとても喜ばれる。
企業では最近、食糧・水の備蓄が増えているが、備蓄の切り替え時期にまとめてフードバンクに送ってもらうことも2HJでは歓迎している。まとまった量が見込めると同時に、備蓄物の廃棄も避けられる。
食品料ロスは、日本だけではなく世界先進国共通の問題だ。いわばグローバルCSRの課題にもなっている。
EUでは今年2014年を「反食料ロス年」と定め、食料廃棄を削減する運動を展開している。中でもドイツは独自に2012年から「Zu gut für die Tonne(「捨てるには良すぎる」」と題した啓蒙キャンペーンを始めた。
(参照記事:「耐えがたい」食料廃棄の現実 怒れるヨーロッパの取り組み)
日本でも、農水省が「ノーフードロスキャンペーン」を展開しているが、全国的な知名度はいま一つのようだ。
日本で流通や家庭での食品ロスを増やす要因はいくつかあるが、最大の問題の一つは「消費期限」「賞味期限」が足かせになっていることだ。
食品衛生法に基づく食品の日付表示は、以前は製造年月日(または加工年月日)表示だったが、1995年から期限表示に変更された。
期限表示には、「消費期限」と「賞味期限」の2種類があり、消費賞味期限は弁当や惣菜、生菓子など傷みやすいものに、賞味消費期限は比較的劣化しにくい食品に付けられる。
だが「超大手企業以外は最近の検査設備などをもっていないので、必ずしも科学的にきちんと決めていないところが圧倒的」「賞味期限で構わないものを消費期限にしたりする傾向もある」(大原悦子著『フードバンクという挑戦』)
同書によると、卵の賞味期限は採卵日から2週間ほどだが、ゆで卵にして味を評価したところ、期限後30日まで食べられたそうだ。食パンも期限の3週間後まで問題なく、納豆も期限切れから3週間まで食べられたという。
もう一つの問題が、いわゆる「3分の1ルール」と呼ばれる加工食品業界の商慣習だ。賞味期限が製造日から6カ月であれば、メーカーや卸が小売店へ納品できるのは最初の3分の1(2カ月)までとし、販売できるのは最初の3分の2までとする業界ルールだ。(オルタナ編集長 森 摂)
(この続きは、朝日新聞社WEBRONZAの筆者連載コーナーと月刊誌「月刊総務」連載コラムに近日掲載します)
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株式会社オルタナ 代表取締役 編集長 森 摂
東京都目黒区駒場1-26-10-304 tel: 03-6407-0266
■オルタナオンライン http://www.alterna.co.jp
■CSRを網羅する「オルタナ総研」 http://www.alterna.co.jp/csr
■若者とソーシャルを結ぶ「オルタナS」 http://www.alternas.jp
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定期購読はこちら⇒ http://www.fujisan.co.jp/product/1281682296/
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◆オルタナ×新日本有限責任監査法人共催 「CSR部員塾」
第8期は2014年10月スタート http://www.alterna.co.jp/11609
◆会社選びのモノサシを変える! 「グリーン天職バイブル2014」
グリーンな経営者「直筆」による会社案内です。
◆グリーンな経営者をネットワークする「グリーン経営者フォーラム」
詳しいご説明はこちら⇒ http://www.alterna.co.jp/greenforum2011
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CSR検定3級の第一回試験は来年3月8日に決定しました。
詳しくは⇒ http://www.alterna.co.jp/13523
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いつもお世話になっております。
皆さんは以下のファクトをご存知でしょうか。
1)日本の食品ロス(年間最大800万トン)は世界の食料援助量の2倍。
2)その量は、日本のコメ収穫量(2012年)約850万トンに匹敵する。
3)日本では、手付かずのまま廃棄される食品がたくさんある。
(いずれも農水省食品産業環境対策室資料から)
どうして、このようなことを書き始めたかというと、最近、「フードバンク」のことを取材し始めたからです。
米国では、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通できなくなった食品を、企業などから受けて生活困窮者などに配給する「フードバンク」という団体があります。
日本でのフードバンクの草分けは、セカンドハーベスト・ジャパン。本部はJR秋葉原駅とJR浅草橋駅の間にある。マクジルトン・チャールズ理事長は「米国発祥のフードバンクを日本でも広めたい」と、取り組んでいます。
同団体は、メーカーや流通業から受け取った食品や農産物を、児童養護施設や生活困窮者らに配布している。全国にはこのようなフードバンク団体が大小含めて40あり、うちセカンドハーベスト・ジャパン・アライアンスの加入団体が東北、名古屋、関西など11あります。
その次は、「野菜」だそうだ。一般的に、生活困窮者ほど野菜の摂取量が少なくなり、栄養バランスが崩れて、体調を壊しやすい。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると「収入と野菜の摂取量には相関関係がある」という。
よくレタスやキャベツの産地で豊作になり過ぎ、大量に廃棄するというニュースが流れる。こうした野菜こそフードバンクに送られるべきものと思うが、実際は、農家が野菜を廃棄すると農協から補償金が出るため、残念なことにフードバンクには送られることは少ない。
2HJの井出留美広報室長理事によると「米国では、余剰農産物を国が買い取り、困窮者のために使うという法律がある。カリフォルニア州サンフランシスコのフードバンクでは取り扱い食品の半分以上が野菜」だという。
フードバンクにとって、缶詰、レトルト食品、乾麺など保存が利く食品も、もらってうれしい存在だ。生活困窮者は電気・ガス、水道を止められているケースも多いので、封を切っただけで食べられる食品はとても喜ばれる。
企業では最近、食糧・水の備蓄が増えているが、備蓄の切り替え時期にまとめてフードバンクに送ってもらうことも2HJでは歓迎している。まとまった量が見込めると同時に、備蓄物の廃棄も避けられる。
食品料ロスは、日本だけではなく世界先進国共通の問題だ。いわばグローバルCSRの課題にもなっている。
EUでは今年2014年を「反食料ロス年」と定め、食料廃棄を削減する運動を展開している。中でもドイツは独自に2012年から「Zu gut für die Tonne(「捨てるには良すぎる」」と題した啓蒙キャンペーンを始めた。
(参照記事:「耐えがたい」食料廃棄の現実 怒れるヨーロッパの取り組み)
日本でも、農水省が「ノーフードロスキャンペーン」を展開しているが、全国的な知名度はいま一つのようだ。
日本で流通や家庭での食品ロスを増やす要因はいくつかあるが、最大の問題の一つは「消費期限」「賞味期限」が足かせになっていることだ。
食品衛生法に基づく食品の日付表示は、以前は製造年月日(または加工年月日)表示だったが、1995年から期限表示に変更された。
期限表示には、「消費期限」と「賞味期限」の2種類があり、消費賞味期限は弁当や惣菜、生菓子など傷みやすいものに、賞味消費期限は比較的劣化しにくい食品に付けられる。
だが「超大手企業以外は最近の検査設備などをもっていないので、必ずしも科学的にきちんと決めていないところが圧倒的」「賞味期限で構わないものを消費期限にしたりする傾向もある」(大原悦子著『フードバンクという挑戦』)
同書によると、卵の賞味期限は採卵日から2週間ほどだが、ゆで卵にして味を評価したところ、期限後30日まで食べられたそうだ。食パンも期限の3週間後まで問題なく、納豆も期限切れから3週間まで食べられたという。
もう一つの問題が、いわゆる「3分の1ルール」と呼ばれる加工食品業界の商慣習だ。賞味期限が製造日から6カ月であれば、メーカーや卸が小売店へ納品できるのは最初の3分の1(2カ月)までとし、販売できるのは最初の3分の2までとする業界ルールだ。(オルタナ編集長 森 摂)
(この続きは、朝日新聞社WEBRONZAの筆者連載コーナーと月刊誌「月刊総務」連載コラムに近日掲載します)
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第8期は2014年10月スタート http://www.alterna.co.jp/11609
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