聖路加国際病院:日野原重明理事長から、商社マンとして経験した生々しい問題をキリスト教の聖書を教える側から取り上げると、どうしたらうまく対処できるか、どのような生き方が生まれるかを具体的に説いた素晴らしい本「もしキリストがサラリーマンだったら」(2005年12月・阪急コミュニケーションズ出版)で、壮・中高年の方々にお勧めしたい・・・。
  また作家の江上 剛氏も、世界経済はキリスト教国家が支配している。キリスト教を知らずして経営は語れない。その意味で聖書は最高の経営書であり、その中には経営のエッセンスが詰まっている。ところがここに聖書以上の経営のバイブルが誕生した。何たってキリストがあなたと同じ悩めるサラリーマンなんだから!
・・・という絶賛推薦付きの、鍋谷根津教会牧師ご著書「もしキリストがサラリーマンだったら」から、52歳での人生ベンチャー実践家の、実に見事な神に活かされる鍋谷牧師ご夫妻のご献身振りに大いに学ばせられ、以下ご紹介いたします。
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   5  2  歳  の  決  断       
                  根津教会牧師  鍋谷 憲一(なべたに けんいち)さん 

 東京の下町・根津の住宅地に立つ「日本基督教団根津教会」。水色の外観の木造だ。

 牧師を務める鍋谷憲一さん(67)は、元商社マン。行きつけの居酒屋で信徒たちと楽しく酒を飲み、最後に祈りをささげる姿は、近所では有名だ。教会でコンサートなどのイベントが行われる時は、短時間、聖書の話をする。「教会を開かれた場にしたい。何か悩みを抱えた時に、思い出してもらえれば」と話す。

 1970年、大学卒業後に三井物産に入社。鉄鋼輸出部門一筋で働き、海外駐在も3か国で計11年、経験した。転機は93年、妻の順子さん(65)がインドネシアの教会で洗礼を受けたことだった。

  自分は「人生の岐路で、十分に悩んだ上で選択すれば幸福になれる。宗教など不要」と信じてきた。だが、その頃、この人生観に迷いが生じていた。妻の勧めで聖書を読むと、進むべき方向を示してくれているように感じ、のめり込んだ。

帰国後、家庭的な雰囲気にひかれ、根津教会で洗礼を受けた。教会役員になると、老朽化した礼拝堂と集会室の建て替えや、約20人にまで減った信徒をどう増やすかなど、幾つもの課題にかかわるように。80歳代後半の先代の牧師は、後継者として期待を寄せるようになった。

 95年、「生き馬の目を抜くようなビジネスの世界はもういい」と子会社に出向した。99年、先代の牧師が引退を宣言し、後継者探しが始まった。折しも会社は早期退職者を募集していた。「自分がやろう」。52歳で決断した。
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 東京神学大学3年に編入し、妻と教会に移り住んだ。夫に殴られた女性が「泊めて下さい」と駆け込んでくることもあれば、リストラされて「死にたい」と訴える人もあった。「一人一人の人生に寄り添う」教会の役割を実感した。

 2001年、説教ができる「補教師」となったことで根津教会の招聘(しょうへい)を受け、正式に就任。「多くの人が訪れる機会を増やしたい」との思いもあり、05年に教会の大規模改修に着手した。教会役員との協議や費用の確保、設計士・施工業者の選定、価格交渉など、様々な場面で、商社で培った交渉術が役立った。

 広くなった集会室には、イベントなどで多くの人が集う。信徒は60人以上に増えた。

 「牧師は大変な仕事ですが、求道する仲間を迎えるのは非常な喜び。この道に感謝しています」(社会保障部 針原陽子)

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