毎日新聞 News:「菅原洋一 の生涯現役」
2014年6月25日 お仕事【 毎日新聞 2014年06月25日 東京夕刊 】
ご紹介URL=http://mainichi.jp/shimen/news/20140625dde012070009000c.html
P O P S こ ぼ れ っ 話 : パ リ 祭 、
菅 原 洋 一 は 生 涯 現 役
7月12、13日、東京・渋谷のNHKホールで「シャンソンの祭典・パリ祭」が開かれる。今年で52回目。その後、名古屋、神戸、岡山などを巡演する。
★
「シャンソン」の意味も定かでなかった1960年代の日本に、本場の舞台を踏んできた石井好子が、フランス独立記念日の7月14日に引っ掛けてフランスの歌を広めようと、企画したイベントである。
石井が亡くなっても、遺志は引き継がれ、今年もゲストに永六輔、麻実れいを迎え、戸川昌子、加藤登紀子、山本リンダ、クミコ、ROLLYらなじみの歌手延べ50人以上が出演する。今年はパリにちなんだ歌を特集。「ア・パリ」「パリ・カナイユ」などが並ぶ。
★
「私はタンゴ歌手だったのに、石井さんに呼ばれて無理やりシャンソンを歌わされた」とにこやかに振り返るのは、「ほぼ最年長でしょう」と言う菅原洋一である。今年は「小雨降る径(みち)」を12日に歌う。パリ祭は75年にゲスト出演し、98年以降、レギュラーとなった。
「65年に、シャンソン『恋心』のレコードを出した。でも、なかにし礼さんの詞は肩に力が入ってて、岸洋子さんの歌がヒットした。なぜか僕はB面の『知りたくないの』がヒットした。この曲はカントリーソングです。歌というものは共感してもらえればいい。歌手は『聴いてもらいたい』という気持ちだけなんです」
★
大げさだったり、演劇的だったり、“日本のシャンソン”は、どこか奇妙なスタイルを誇張する場面が少なくない。菅原の歌にはそれがない。誠実な語り口そのままである。
「僕のヒット曲にオリジナル曲はないんです。歌手生活56年間、全部他人の歌。いいんです。僕が音大に進んだのも、虚弱児童だから長生きしないだろう、好きなことやらせなさい、という家の意向だった。歌を伝えていければいいんです」
8月21日で81歳になる。その前日の20日、東京・青山のアイビーホールでバースデー・ディナーショー。9月15日には東京・なかのゼロホールでコンサートを開く。「生涯現役のつもりはないですが」と言いながら、現役感がみなぎる。
「毎日訓練。人生『楽』しちゃだめです」。運命を粛々と受容しているようでいて、運命を楽しんでいる。(川崎浩・専門編集委員)
ご紹介URL=http://mainichi.jp/shimen/news/20140625dde012070009000c.html
P O P S こ ぼ れ っ 話 : パ リ 祭 、
菅 原 洋 一 は 生 涯 現 役
7月12、13日、東京・渋谷のNHKホールで「シャンソンの祭典・パリ祭」が開かれる。今年で52回目。その後、名古屋、神戸、岡山などを巡演する。
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「シャンソン」の意味も定かでなかった1960年代の日本に、本場の舞台を踏んできた石井好子が、フランス独立記念日の7月14日に引っ掛けてフランスの歌を広めようと、企画したイベントである。
石井が亡くなっても、遺志は引き継がれ、今年もゲストに永六輔、麻実れいを迎え、戸川昌子、加藤登紀子、山本リンダ、クミコ、ROLLYらなじみの歌手延べ50人以上が出演する。今年はパリにちなんだ歌を特集。「ア・パリ」「パリ・カナイユ」などが並ぶ。
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「私はタンゴ歌手だったのに、石井さんに呼ばれて無理やりシャンソンを歌わされた」とにこやかに振り返るのは、「ほぼ最年長でしょう」と言う菅原洋一である。今年は「小雨降る径(みち)」を12日に歌う。パリ祭は75年にゲスト出演し、98年以降、レギュラーとなった。
「65年に、シャンソン『恋心』のレコードを出した。でも、なかにし礼さんの詞は肩に力が入ってて、岸洋子さんの歌がヒットした。なぜか僕はB面の『知りたくないの』がヒットした。この曲はカントリーソングです。歌というものは共感してもらえればいい。歌手は『聴いてもらいたい』という気持ちだけなんです」
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大げさだったり、演劇的だったり、“日本のシャンソン”は、どこか奇妙なスタイルを誇張する場面が少なくない。菅原の歌にはそれがない。誠実な語り口そのままである。
「僕のヒット曲にオリジナル曲はないんです。歌手生活56年間、全部他人の歌。いいんです。僕が音大に進んだのも、虚弱児童だから長生きしないだろう、好きなことやらせなさい、という家の意向だった。歌を伝えていければいいんです」
8月21日で81歳になる。その前日の20日、東京・青山のアイビーホールでバースデー・ディナーショー。9月15日には東京・なかのゼロホールでコンサートを開く。「生涯現役のつもりはないですが」と言いながら、現役感がみなぎる。
「毎日訓練。人生『楽』しちゃだめです」。運命を粛々と受容しているようでいて、運命を楽しんでいる。(川崎浩・専門編集委員)
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