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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.35
            発信日:2014年 3月 3日 / 発信者:加藤特許事務所
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 大宰府市の大宰府天満宮で、1月30日御神木「飛梅(とびうめ)」が開花しました。現在の開花状況は、御神木「飛梅」が満開、境内の梅は見頃を迎えています。境内には、200種、約6,000本の白梅・紅梅がありますので、ぜひ皆様、出向かれて、一足早い春の香りに包まれたらいかがでしょうか。
★ 目 次 ★
 1.所長コラム
  ●日本人の英会話苦手は、日本語の母音数に要因あり!?
 2.知財ニュース
  ●新型の万能細胞(STAP細胞)のPCT国際出願、既に公開中
  ●2013年米国特許取得、IBM連続1位、2位サムスン、3位キヤノン
 3.連載 知財講座
  ●第35回:特許「分割出願について」
 4.事務所からのお知らせ
  ●特許庁「知的財産権活用企業事例集2014」刊行
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1.所長コラム
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●日本人の英会話苦手は、日本語の母音数に要因あり!?

 特許の世界では英語が公用語です。アメリカ以外の国でもヨーロッパやフィリピンは英語で出願ができますし、その他の国でも、先ず英語の明細書をつくって、それを現地に送って現地代理人が現地語に翻訳するという手順になることが大半です。

 話はいきなり変わって、下世話な話題で恐縮ですが、フィリピンパブなんかに行くと、中学しか出てないようなフィリピンの娘が日本に3ヶ月もいると、片言の日本語を話す、ということがよくあります(←あくまで、聞いた話です)。あるいは、アメリカ人が日本に一年くらいいると、それなりに日常会話をこなしている、ということも珍しくありません。ただ、そういう人達に共通して言えることは、聞く・話すの会話はOKだけども、読み書きはほとんどダメ、という点です。

 長い間、これが不思議でした。最近になって、ようやくその理由らしきものがわかりました。これも、特許の世界で英語と日本語の両方に接してきた賜物です。

 これはあくまでも個人的な考えですが、その原因は日本語の「音(オン)」です。もっと具体的に言えば、世界の言語の中でも一二を争うくらい日本語は発音しやすい言語である、ということです。

 その理由は母音の数です。日本語の母音の数は「あいうえお」の5個です。世界の主要な言語を見てみると、日本語よりも母音の数が少ないのはアラビア語ぐらいです(3個)。日本語よりも母音の数が多い言語がほとんどです。韓国語が10個、英語、フランス語、ドイツ語が12-14個、中国語に至っては20個。

 言語の発音のしやすさは母音の数に比例すると考えて、まず間違いないはずです。となると、日本語はかなり発音がしやすい(従って、同時に聞き取りやすい)言語と言えます。こう考えると、日本にやってくる外国人が短期間で日本語の会話をマスターできる理由がわかろうかというものです。普段から母音の数が多い英語を話しているアメリカ人からすれば、母音の数の少ない日本語を聞き取るのは、おそらく日本人が考えているよりも簡単なのでしょう。聞き取りができれば、話せるようになるのに時間はかかりません。

 この逆を考えると、日本人の英会話下手も理解できます。中学で3年、高校で3年、大学でもだいたい2年以上、英語を勉強しても、英会話はほとんど(←「全く」に近い)できないのが現状です。教え方が悪いという意見もあるでしょうが、それは違います。日本語の発音が簡単すぎるため、普段からそういう言語を話していると、より発音が難しい言語(例えば、英語)を話すのは至難の業ということになる訳です。つまり、皮肉なことに、日本人の英会話下手は日本語の発音体系がそれだけ優秀であるという何よりの証であるわけです。

 最近では、小学校から英語の授業があるそうですが、普段から日本語を話しているかぎり、たいした成果は望めないでしょう。英語の読み書きは学校で文法を習えば何とかなりますが、「聞く・話す」の会話だけは日本人は必死で勉強しないとマスターできないのです。これも、日本人自身ですら全く自覚していない日本語の発音のしやすさのおかげです。
                         副所長 弁理士 天野 広
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2.知財ニュース
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●新型の万能細胞(STAP細胞)のPCT国際出願は、既に公開中

 世界中をあっと驚かせた、新型の万能細胞(STAP細胞)に関する特許は、2013年4月24日にPCT国際出願され、WIPO(世界知的所有権機関)のWebサイトで既に公開されています。
(国際出願番号:PCT/US2013/037996、国際公開番号:WO/2013/163296)

 発明の名称は「GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO(新たな多能性細胞の生成)」となっています。
 発明者は、STAP細胞の発表で、一躍、脚光を浴びました小保方晴子さんを含め7人で、氏名から判断しますと日系5人、米系2人ですが、KOJIMA,Kojiさんは(US)の扱いとなっています。
 出願人は、ハーバード大学のブリガム・アンド・ウイメンズ病院、東京女子医大と理研の3者になっています。

 詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL] http://patentscope.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2013163296&recNum=1&maxRec=11&office=&prevFilter=&sortOption=%E5%85%AC%E9%96%8B%E6%97%A5%EF%BC%88%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E9%A0%86%EF%BC%89&queryString=FP%3A%28obokata+%29&tab=PCT+Biblio

●2013年米国特許取得、IBM連続1位、2位サムスン、3位キヤノン
 特許のデータベースや分析サービスを提供する米IFI CLAMIMS Patent Servicesは、1月14日、米国特許商標庁が認めた2013年の米国特許取得件数状況を発表しました。

 2013年の米国特許取得件数の総数は、前年より約10%増加し、2年連続2桁の増加となり、過去最多の27万7835件となりました。
 企業別では、1位が21年連続のIBMで、前年比5%増の6809件、2位から4位は前年と同じで、2位サムスン電子4675件、3位キヤノン3825件、4位ソニー3098件、以下5位マイクロソフト、6位パナソニック、7位東芝、8位鴻海精密工業、9位クアルコム、10位LG電子となっています。 詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL]
http://ificlaims.com/index.php?page=news&type=view&id=ifi-claims%2F2013-u-s-patent-trends&keep_session=491681395
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3.連載 知財講座
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第35回:特許「分割出願について」

 分割出願とは、特許出願に複数の発明が含まれている場合に、その一部を新たな出願とするものです(特許法44条1項)。適法に行われた分割出願は、出願日が実際の出願日ではなく、元の特許出願の日にされたものとみなされます(出願日の遡及)。

 分割出願は、単一性(37条)の要件違反の拒絶理由通知を受けた場合にこれを解消するために行ったり、一部の請求項のみに拒絶理由が通知された場合に、拒絶の対象でない請求項のみ先に権利を成立させ、拒絶理由となっている請求項を分割出願として出し直したりする場合に行います。

 また、出願当初には、特許請求の範囲に記載していないけれども、明細書等には記載されている発明について、分割出願する場合があります。さらに、単一性の要件を満たしているけれども、特許管理上の理由から別出願にしたい場合もあります。

 このように分割出願は大変便利な制度ですが、分割出願の書類には、原出願の出願当初明細書等に記載された事項以外を含ませることはできません。審査により、分割の要件を満たしていないと判断された場合、分割出願は通常の特許出願であるとされ、出願日の遡及効果を得ることができなくなります。

 また、出願できる時期には制限が設けられており、原則として(1)明細書等の補正が可能な時期、(2)特許査定謄本送達の日から30日以内、あるいは(3)最初の拒絶査定謄本送達の日から3月以内となっております(例外があります)。

 なお、上記(2)の特許査定後の分割は、平成18年改正法で導入されましたが、先ずは審査中の請求項記載の発明の権利化を確定し、併せて明細書記載の他の発明の権利化を図るという戦略的な活用が可能です。弊所では、特許査定が出ますと、登録の要否と共に分割出願の要否につき顧客の皆様にお問い合わせをさせて頂いておりますので、ご留意頂ければと存じます。
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4.事務所からのお知らせ
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●特許庁「知的財産権活用企業事例集2014」刊行

 特許庁は、知恵と知財を武器に様々な分野で活躍している中小企業等の取り組み139事例を紹介した「知的財産権活用企業事例集2014」を刊行しました。
 本事例集が、皆さまの知財を活用した事業活動に参考になるのではと思っております。詳細は、下記のURLよりご覧ください。
[URL]
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/chushou/kigyou_jireii2014.htm
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