生涯現役の立場で雇用問題を考える①
2013年4月12日 お仕事 生涯現役の立場で雇用問題を考えるとき、あなたは流動化と安定化のどちらを選ぶべきだと思われますか?
ご参考までに日経ビジネスWeb を以下にご紹介します。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130403/246069/?ST=politics
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い ま 必 要 な の は
雇 用 の 流 動 化 で は な く 、
安 定 化 だ
安 藤 至 大・日本大学総合科学研究科准教授に聞く
安 藤 至 大(あんどう・むねとも)【プロフィール】
日本大学大学院総合科学研究科(ARISH)准教授。1998年3月法政大学経済学部経済学科卒業、2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授などを経て2005年4月から現職。専門は契約と組織の経済学、労働経済学、法と経済学。 NHK(Eテレ)の「オイコノミア」に講師役で時々出演。
広 野 彩 子 【プロフィール】
日経ビジネス記者。1993年早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。阪神大震災から温暖化防止京都会議(COP3)まで幅広い取材を経験した後、2001年1月から日経ビジネス記者に転身。国内外の小売・消費財・不動産・保険・マクロ経済などを担当、『日経ビジネスオンライン』、『日経ビジネスマネジメント』(休刊)の創刊に従事。休職してCWAJ(College Women’s Association of Japan)と米プリンストン大学の奨学金により同大学ウッドローウィルソンスクールに留学、2005年に修士課程修了(公共政策修士)。近年は経済学コラムの企画・編集、マネジメント手法に関する取材、執筆などを担当。
高年齢者雇用安定化法の改正で、65歳までは希望者全員を引き続き雇用することが義務づけられた。少子高齢化が進み生産年齢人口が減っていく一方、増え続ける高齢労働者。労働力の高齢化の影響は、社会にどのような形で現れるのか、労働経済学が専門の安藤至大・日本大学准教授に聞いた。
4月から、60歳で定年を迎えた会社員でも、希望すれば会社に引き続き雇用されるようになりました。
安藤:多くの人がこれを大ざっぱに「定年延長」と言ってしまうんですが、それは間違いだということをまず整理しておきましょう。高年齢者雇用安定法では、これまでも高齢者の継続雇用を義務付けていました。その際に、定年の引き上げも選択肢の1つですが、そのほかに定年を廃止することと継続雇用制度を導入すること、合わせて3つのやり方をから選ぶことができました。そして継続雇用制度を選んだ場合に、これまでは労使の合意があれば対象者を限定できる仕組みがあったのですが、これが廃止されたのが今回の法改正の注目点ですね。
辞めてほしかった人にも居座られてしまうことに
継続雇用というのは、雇用関係は定年で終了し、その後に新たに契約するということです。ですから、そこで待遇を変えても良いし、仕事の中身を変えてもいい。子会社や関連会社での継続雇用も認められています。極端な話、直前まで部長さんだった人を子会社の平社員にして、最低賃金で雇っても理論上は問題ありません。
これまでも、大企業などでは定年退職でいったん辞めてもらい、子会社などで再雇用している例は多いですよね。
安藤:高齢者の継続雇用自体は、大企業を中心として、ニーズに応じて以前からありました。2007年問題とか、2012年問題などと言われたように、団塊の世代が大量に退職することから、企業内の知識や技能が失われてしまう懸念があったことも大きいですね。ただ、全員が継続雇用されていたわけではありません。高齢者になると、健康面や能力面で差が生まれてしまいますから。
積極的に後進を指導し、皆に慕われるような高齢者もいるでしょうが、50代後半から、戦力にならないどころか若手の足を引っ張っているような「ちょっと、この人はお引き取り願いたいなあ」という社員も実際にいるわけです。このような場合でも、これまでなら定年の60歳までは約束した通り雇い続けますが、それ以降については事実上、そうした人々の再雇用を避けることができた。ところが4月からは、本人が望むなら原則として働く場を用意しなければならなくなった。厚生労働省のホームページのQ&Aのコーナーにもありますが、心身の状態や勤務状況が著しく悪い場合には継続雇用をしなくて良いとされています。しかし、多くの企業では、争いになることを避けるために、何らかの仕事を用意することになるでしょう。最近のニュースでは、NTTとトヨタ自動車で象徴的な事例がありました。
NTTの場合は、労働組合と話し合った結果として、60歳以降でがくっと待遇が落ちるのではなく、60歳以降もある程度給料をもらう代わりに40代、50代から賃金を下げるという方法を採るようです。現在40代、50代の人たちは、今の給料を下げる代わり、後払いで受け取るようなものです。今ちょうど59歳の人は、ラッキーかもしれません。 つづく
ご参考までに日経ビジネスWeb を以下にご紹介します。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130403/246069/?ST=politics
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い ま 必 要 な の は
雇 用 の 流 動 化 で は な く 、
安 定 化 だ
安 藤 至 大・日本大学総合科学研究科准教授に聞く
安 藤 至 大(あんどう・むねとも)【プロフィール】
日本大学大学院総合科学研究科(ARISH)准教授。1998年3月法政大学経済学部経済学科卒業、2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授などを経て2005年4月から現職。専門は契約と組織の経済学、労働経済学、法と経済学。 NHK(Eテレ)の「オイコノミア」に講師役で時々出演。
広 野 彩 子 【プロフィール】
日経ビジネス記者。1993年早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。阪神大震災から温暖化防止京都会議(COP3)まで幅広い取材を経験した後、2001年1月から日経ビジネス記者に転身。国内外の小売・消費財・不動産・保険・マクロ経済などを担当、『日経ビジネスオンライン』、『日経ビジネスマネジメント』(休刊)の創刊に従事。休職してCWAJ(College Women’s Association of Japan)と米プリンストン大学の奨学金により同大学ウッドローウィルソンスクールに留学、2005年に修士課程修了(公共政策修士)。近年は経済学コラムの企画・編集、マネジメント手法に関する取材、執筆などを担当。
高年齢者雇用安定化法の改正で、65歳までは希望者全員を引き続き雇用することが義務づけられた。少子高齢化が進み生産年齢人口が減っていく一方、増え続ける高齢労働者。労働力の高齢化の影響は、社会にどのような形で現れるのか、労働経済学が専門の安藤至大・日本大学准教授に聞いた。
4月から、60歳で定年を迎えた会社員でも、希望すれば会社に引き続き雇用されるようになりました。
安藤:多くの人がこれを大ざっぱに「定年延長」と言ってしまうんですが、それは間違いだということをまず整理しておきましょう。高年齢者雇用安定法では、これまでも高齢者の継続雇用を義務付けていました。その際に、定年の引き上げも選択肢の1つですが、そのほかに定年を廃止することと継続雇用制度を導入すること、合わせて3つのやり方をから選ぶことができました。そして継続雇用制度を選んだ場合に、これまでは労使の合意があれば対象者を限定できる仕組みがあったのですが、これが廃止されたのが今回の法改正の注目点ですね。
辞めてほしかった人にも居座られてしまうことに
継続雇用というのは、雇用関係は定年で終了し、その後に新たに契約するということです。ですから、そこで待遇を変えても良いし、仕事の中身を変えてもいい。子会社や関連会社での継続雇用も認められています。極端な話、直前まで部長さんだった人を子会社の平社員にして、最低賃金で雇っても理論上は問題ありません。
これまでも、大企業などでは定年退職でいったん辞めてもらい、子会社などで再雇用している例は多いですよね。
安藤:高齢者の継続雇用自体は、大企業を中心として、ニーズに応じて以前からありました。2007年問題とか、2012年問題などと言われたように、団塊の世代が大量に退職することから、企業内の知識や技能が失われてしまう懸念があったことも大きいですね。ただ、全員が継続雇用されていたわけではありません。高齢者になると、健康面や能力面で差が生まれてしまいますから。
積極的に後進を指導し、皆に慕われるような高齢者もいるでしょうが、50代後半から、戦力にならないどころか若手の足を引っ張っているような「ちょっと、この人はお引き取り願いたいなあ」という社員も実際にいるわけです。このような場合でも、これまでなら定年の60歳までは約束した通り雇い続けますが、それ以降については事実上、そうした人々の再雇用を避けることができた。ところが4月からは、本人が望むなら原則として働く場を用意しなければならなくなった。厚生労働省のホームページのQ&Aのコーナーにもありますが、心身の状態や勤務状況が著しく悪い場合には継続雇用をしなくて良いとされています。しかし、多くの企業では、争いになることを避けるために、何らかの仕事を用意することになるでしょう。最近のニュースでは、NTTとトヨタ自動車で象徴的な事例がありました。
NTTの場合は、労働組合と話し合った結果として、60歳以降でがくっと待遇が落ちるのではなく、60歳以降もある程度給料をもらう代わりに40代、50代から賃金を下げるという方法を採るようです。現在40代、50代の人たちは、今の給料を下げる代わり、後払いで受け取るようなものです。今ちょうど59歳の人は、ラッキーかもしれません。 つづく
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